目次
1. フードマイレージとは

収穫された農作物や製造された食品などが、食卓まで届くまでには、多くの時間、距離がかかる。その距離を表したものをフードマイレージと呼ぶ。食料の輸送量に輸送距離を掛け合わせた数が指標となる。
フードマイルズ運動
フードマイレージは、1990年代にイギリスで生まれた考え。Food Miles(食料の量×輸送距離)を意識し、なるべく地域内で生産された食料を消費することで、環境負荷を減らしていこうという市民運動が始まりだ。より少ないフードマイレージ=輸送距離が短い食料を食べた方が、環境への負荷が少ないであろうという仮定を前提とした考え方だ。
問題は環境にかける負荷
一体フードマイレージが多いとどのように環境に負荷をかけるのか?例えば、農場や牧場、工場などから、食料がスーパーや家庭に運ばれるまでには、飛行機や車、船など、多くの輸送手段が使用される。そのたびに、二酸化炭素が排出される。もちろん距離が遠ければ遠いほど、排出量は多くなるし、燃料も多く必要になる。これが環境へ負荷をかけるということ。
2. 日本のフードマイレージ

日本の食料自給率
日本は、食料自給率がとても低い。食料のおよそ60%を輸入に頼っているのが現状だ。ピンと来ない方もいるかもしれないが、輸入に頼っている食料を代表するのが、うどんなどの麺類、天ぷらなどに使われる小麦、豆腐や醤油の原料である大豆、油の原料になる菜種など。日本の暮らしに欠かすことのできない食料を輸入に頼っていることがわかる。そのほか、畜産、水産、農産物と多くの食材を輸入することで、豊かな日本の暮らしが成り立っている。
日本とフードマイレージ
輸入が多い、ということは必然的にフードマイレージも非常に高い。日本は世界の国々と比べ、非常に高い水準だと言われている。輸入食品に関わるフードマイレージにおいては、韓国やアメリカ、イギリス、フランス、ドイツと比べると日本は各国の少なくとも倍、3倍、4倍以上のケースもある。
CO2排出量
輸入に伴うCO2排出量は、年間約1,690万トンに対して国内における食料輸送に伴うCO2排出量約900万トン。輸入にかかる排出量は、国内輸送のおよそ1.87倍。数にするとその膨大さが際立つ。ちなみに一人当たりに計算すると130kgになるという。
3. 解決の糸口

地産地消
少しでもフードマイレージを減らそうというなかで生まれたのが、地産地消という取り組み。これは文字通り、その土地で取れたものをその土地で食べるということ。これはフードマイレージの観点だけでなく、新鮮な食材が食べられる、食料自給率の向上にも繋がると利点がたくさん。多くの地域で取り入れられている。
国内生産の拡大
輸入に関わるフードマイレージは、フードマイレージ全体の多くを占めている。すなわちフードマイレージを減らすためには、輸入量を減らす必要があるというわけ。ただ、減らした分の需要が減るわけではないので、供給先を見出さなくてはならない。その一手となるのが国内生産の拡大だ。減少の一途をたどっている農家のバックアップなど、課題を解決していく必要がありそうだ。
結論
フードマイレージは、日本に大きく関わる概念。普通の人が意識できるとすれば、できるだけ地産地消を意識すること、小麦や大豆、それに関わる加工品は、国産のものを選ぶこと。小さな積み重ねが大きな一歩になると信じ、ぜひ考えてみてほしい。
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