目次
1. コンフィチュールとは?

コンフィチュール(confiture)とは、果物を使ったコンフィの一種だ。コンフィ(confit)とはフランス料理における、油脂や砂糖に浸して保存性を高める調理法のことである。また、コンフィチュールは砂糖で果汁を浸出させてから、その果汁を煮詰めたものに果肉を漬けるという料理となっている。果肉を十分煮込んでいないため、果物の形は残っていることが多く、甘さはやや控えめになっている。
コンフィチュールの語源
コンフィチュール(confiture)はフランス語であり、語源は「油脂・砂糖で浸け込む」という意味の「コンフィ(confit)」である。これに女性名詞の「-ture」が付いて、コンフィチュールとなった。また、コンフィの語源はフランス語で「保存する」を表す「コンフィル(confire)」であり、さらにコンフィルの語源はラテン語で「準備する」を意味する「コンフィケレ(conficere)」である。
フリュイ・コンフィとは?
フリュイ・コンフィ(fruits confits)も果物を使ったコンフィである。しかし、フリュイ・コンフィは「果物の砂糖漬け」のことであり、カットした果物やそのままの果物をシロップに漬け込んだ料理となっている。店頭に並んでいるときも果物の色味や形がわかるものが多く、高級食品店に置かれていることも珍しくない。日本では「ドレンチェリー」などがフリュイ・コンフィとして有名である。
2. コンフィチュールに似ている料理

コンフィチュールは、一見するとジャムやプレザーブスタイルなどと見間違うこともある。しかし、これらはコンフィチュールと異なり、日本農林規格(JAS)によって定義が明確に決まっている(※1、2)。それぞれの定義とともにコンフィチュールとの違いを確認しておこう。
ジャムとの違いは?
ジャムとは、ジャム類のうちマーマレード(柑橘類の果実を原料としたもの)とゼリー(果実などの搾汁を原料としたもの)を除いたものをいう。ジャム類とは果実を砂糖類などでゼリー化するまで煮詰めたものを指し、「可溶性固形分(糖度)が40%以上のもので、果実等含有率が33%以上のものと定義されている。また、コンフィチュールに使うようなナッツ・香辛料・ハーブ類は使えない。
プレザーブスタイルとの違いは?
プレザーブスタイルとは、ジャムの中でも果肉の原形が残ったもののことを指す。このプレザーブスタイルの「果物の原形が残っている」という基準は、以下のように使用する果物によって異なる。
- ベリー類(イチゴを除く):果肉が丸ごと残っている
- イチゴ:丸ごとまたは2つ割りの状態で残っている
- ベリー類以外の果物:5mm以上の厚みの果肉が残っている
3. コンフィチュールの作り方2種類

コンフィチュールとジャムは、実は作り方が少し異なる。そこで以下では、本場のイチゴのコンフィチュール(Confiture de fraises)の作り方と、家庭でも作りやすい簡易版の作り方をそれぞれ紹介する。イチゴ・砂糖・レモン汁などを準備したら、さっそくコンフィチュール作りに挑戦してみよう。
本場のイチゴのコンフィチュールの作り方
- ボウルにヘタを取ったイチゴを入れる
- ボウルに砂糖を加えてからよくかき混ぜる
- レモン汁を絞ってからかき混ぜて12時間寝かす
- ザルを置いたボウルを使い、イチゴとシロップを分ける
- シロップだけを鍋に入れて強火で10分程度加熱する
- 鍋にイチゴを加えて、弱火で20~30分程度加熱する
- ジャムをお皿に取り傾け、あまり流れないようになったら完成
簡単なイチゴのコンフィチュールの作り方
- ボウルにヘタを取ったイチゴを入れる
- ボウルに砂糖を加えてからよくかき混ぜる
- シロップが出るまで30分~1時間程度置いておく
- (3)を全て鍋に移して中火にかけて沸騰させる
- 沸騰したら弱火にして15~30分程度煮詰める
- 仕上げにレモン汁を加えて軽く煮詰めたら完成
4. コンフィチュールを美味しく作るポイント

コンフィチュールの本場の作り方と簡易的な作り方は前述のとおりだが、以下のようなポイントを意識することでより美味しいコンフィチュールを作れるようになる。
ポイント1.シロップだけを煮詰めよう
コンフィチュールを作る際は、「寝かしてからシロップだけを煮込む」というひと手間を加えるのがおすすめだ。シロップだけを煮詰めることで、甘みが強くて果物の形がキレイなコンフィチュールを作ることができる。簡易版のようにすぐに作ることはできないが、本格的なコンフィチュールを作る際にはこの工程を取り入れてみよう。
ポイント2.ナッツ・ハーブ類を加えよう
コンフィチュールを美味しく仕上げるなら、煮詰めたあとに砕いたナッツや刻んだハーブなどを加えるのもおすすめ。ナッツやハーブを加えることで香りが増して美味しさがアップする。そこまで多く入れる必要はなく、おおよそコンフィチュール全体に対して1%程度の量を入れれば十分である。
ポイント3.レモン汁を加えよう
コンフィチュールを作る際にはレモン汁を加えるのがおすすめだ。レモン汁を加えることで果物の色味が鮮やかになり、キレイな見た目のコンフィチュールにすることができる。イチゴで作る場合はもちろん、桃・洋ナシ・ブドウ・オレンジなどで作る際にもレモン汁を加えるほうがキレイになる。
5. コンフィチュールの美味しい使い方

コンフィチュールはペースト状のジャムとは異なり、少しサラサラとしている。そのため、ジャムのようにトーストなどに塗るよりは、デザート用のフルーツソースなどとして使うほうがよい。ここではコンフィチュールの美味しい使い方を3種類紹介しておこう。
使い方1.コンフィチュールのソース
コンフィチュールは、フルーツソースとしてそのまま使っても美味しい。ヨーグルト・パンナコッタなどに乗せてもよく合い、クラッカー・マフィン・スコーンなどに付けてもいい。そのほかにも夏の暑い時期にかき氷のシロップとして、贅沢にコンフィチュールを使うという方法もある。
使い方2.コンフィチュールのドリンク
コンフィチュールを炭酸水で割ってフルーツドリンクにするのもおすすめ。炭酸水のシュワシュワ感とコンフィチュールの甘酸っぱさの相性は非常によくて、さっぱりと美味しく飲むことができる。また、コンフィチュールをホットティーに加えれば、簡単に上品なフルーツティーが完成する。
使い方3.コンフィチュールのドレッシング
コンフィチュールを使ったフルーツドレッシングも美味しい。オリーブオイルとコンフィチュールを混ぜたり、バルサミコ酢と合わせたりすれば簡単にフルーツドレッシングが作れる。爽やかな甘みと酸味を感じることができ、新鮮なサラダがいっそう美味しいものとなる。
6. コンフィチュールの正しい保存方法

コンフィチュールは煮沸消毒した保存容器できちんと保管すれば、冷蔵保存でも2週間程度は美味しく食べることができる。また、使いやすいサイズに小分けして冷凍保存すれば、1か月以上保存することも可能である。なお、常温保存したい場合には「瓶詰めの脱気・殺菌」を行うのもおすすめだ。
瓶詰めの脱気・殺菌のやり方
コンフィチュールを大量に作ったら、以下のような方法で瓶詰めの脱気・殺菌を行うとよい。これにより常温保存や冷蔵保存での長期保存が可能になる。なお、一度開けたら冷蔵保存しておこう。
- 保存瓶に8~9割程度のコンフィチュールを入れる
- 完全に蓋をしていない瓶を、鍋の中央に置いておく
- 瓶が半分浸かるくらいまでお湯を入れて加熱する
- 15分程度加熱したら、鍋から保存瓶を取り出す
※容器が熱くなっているため火傷に注意をする - 蓋をしっかりと閉めてから、裏返しの状態で冷ます
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結論
ペースト状のジャムと異なり、コンフィチュールはフルーツソースのようにして使うことができる。また、ドリンクやドレッシングなどにしても美味しい。ジャムに似ているが少し違いがあるため、料理などに合わせて使い分けてみるのもいいだろう。
【参考文献】
- ※1:農林水産省「ジャム類の日本農林規格」
https://www.maff.go.jp/j/kokuji_tuti/kokuji/k0000078.html - ※2:日本缶詰びん詰レトルト食品協会「ジャム類の日本農林規格(JAS)抜粋」
https://www.jca-can.or.jp/~njkk/standard.htm
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