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くわいとは?おせち料理にも使われる食材の栄養価や美味しい食べ方!

くわいとは?おせち料理にも使われる食材の栄養価や美味しい食べ方!

投稿者:食生活アドバイザー 吉田昌弘

監修者:管理栄養士 中山沙折(なかやまさおり)

鉛筆アイコン 2022年3月24日

正月の縁起物として食べられることが多い「くわい」。ほろ苦さの中に甘みがあり、ホクホクとした食感が非常に美味しいことで有名である。今回は、そんなくわいの特徴や栄養価などを詳しく解説する。また、鮮度のいいものの選び方や美味しい食べ方なども紹介する。

  

1. くわい(慈姑)とは?

くわいとは
くわい(慈姑)とは、中国原産のオモダカ科オモダカ属の水生植物である。丸い塊茎(芋)から芽が伸びているのが特徴で、その見た目から「芽が出る(目が出る)」という意味の縁起物とされている。おせち料理の定番食材として知られているほか、産地の福山市などではホクホクとした食感を活かして煮物や揚げ物にされることが多い。11月頃から流通量は増え始め、年末にピークを迎える(※1)。

くわいの産地は広島県福山市など

農林水産省の「地域特産野菜生産状況調査」によれば(※2)、2018年のくわいの収穫量は272トン。このうち最も収穫量が多かったのは広島県の147トン(約54%)で、次いで埼玉県の90トン(約33%)、茨城県の13トンとなった。また、広島県の中で最も有名な産地は福山市であり、。福山産のものは「福山のくわい」というブランドで知られている(※3)。

2. くわいの主な種類は3つある

くわいとは
くわいには大きく「青くわい」「吹田くわい」「白くわい」の3種類がある。青くわいと吹田くわいは日本で多く食べられており、白くわいは主に中国で食べられている。なお、くわいは世界中のさまざまな地域に生息しているが、食用としているのは日本と中国だけとなっている。

主なくわいの特徴とは?

・青くわい:青藍色で扁球形の見た目をしている。柔らかい食感とほろ苦い味が特徴となっている
・白くわい:淡青色で楕円形の見た目をしている。大型だが身が硬く淡白な風味となっている
・吹田くわい:主に吹田市で作られている小粒のくわい。味が濃くて最も美味しいといわれている

3. くわいの栄養価と主な栄養素の特徴

くわいとは
野菜としてはイモ類に分類されるくわいは、ほかのイモ類と同じようにデンプン(糖質)が多い。また、野菜類の中でもたんぱく質やカリウムなどが多いことで知られている。ここでは文部科学省の「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」を参考に(※4)、くわいの主な栄養価などを紹介する。

くわい(塊茎/生)の100gあたりの栄養価

・エネルギー:128kcal
・たんぱく質:6.3g
・脂質:0.1g
・炭水化物:26.6g
・ビタミン
 ・βカロテン:0μg
 ・ビタミンD:0μg
 ・ビタミンE:3mg
 ・ビタミンK:1μg
 ・ビタミンB1:0.12mg
 ・ビタミンB2:0.07mg
 ・ナイアシン:1.9mg
 ・ビタミンB6:0.34mg
 ・ビタミンB12:0μg
 ・葉酸:140μg
 ・パントテン酸:0.78mg
 ・ビオチン:7.2μg
 ・ビタミンC:2mg
・ミネラル
 ・ナトリウム:3mg
 ・カリウム:600mg
 ・カルシウム:5mg
 ・マグネシウム:34mg
 ・リン:150mg
 ・鉄:0.8mg
 ・亜鉛:2.2mg
 ・銅:0.71mg
 ・マンガン:0.13mg
 ・ヨウ素:1μg
 ・セレン:1μg
 ・クロム:Tr
 ・モリブデン:4μg
・食物繊維:2.4g
 (・水溶性食物繊維:0.6g)
 (・不溶性食物繊維:1.8g)

ほかのイモ類と同じく炭水化物が多い

くわいには糖質である「デンプン」や食物繊維である「ペクチン」など、炭水化物が多く含まれている。その含有量は100gあたり26.6gであり、同じイモ類のじゃがいも(皮なし)の17.3gよりも多い。くわいのホクホクとした食感と、優しい甘みの理由にはこのデンプンの多さが関係しているそうだ。

野菜類の中でも特にたんぱく質が多い

くわいは、たんぱく質を100gあたり6.3g含んでいる。この数値はたんぱく質が多いことで知られている芽キャベツ(5.7g)や、貝類であるはまぐり(6.1g)よりも多い。野菜でありながらも、たんぱく質を多く摂れるバランスのよさが魅力である。

野菜類の中でもカリウムが多め

くわいはビタミン類・ミネラル類も多く含むことで知られており、特にカリウムの含有量は100gあたり600mgと非常に多い。芽キャベツ(610mg)とほぼ同じで、じゃがいも(410mg)の約1.5倍となっている。カリウムは、ナトリウムの排出などをサポートする栄養素として知られている(※5)。

4. 美味しいくわいの選び方

くわいとは
新鮮で美味しいくわいを見分けるには、以下に紹介する「色味」「見た目」「芽」の3つを意識するとよい。また、調理する便利さを考えると「大きさ」も気にするといいだろう。

美味しいくわいの主な特徴

・色味:きれいな青色をしているものがよい
・見た目:表面に光沢(ツヤ)があるものがよい
・芽:ハリがありしっかりと伸びているものがよい
・大きさ:直径4cm程度の大きいもののほうが使いやすい

避けたほうがいいくわいの特徴

芽がしおれているくわいは、鮮度が落ちている可能性があるので注意しよう。また、特に縁起物として使う場合は、芽が折れているとあまりよい印象ではない。そのほか重箱に入れることを考えると小ぶりのくわいのほうが便利だが、普段使いするなら調理がしやすい大きめのものを選ぶとよい。

5. くわいの下ごしらえ・下処理方法

くわいとは
くわいはアクが強いので、煮物や炒め物にする場合は以下のような手順でアク抜きをしておくほうがよい。なお、揚げ物などにする場合はアク抜きをする必要はない。

くわいの下ごしらえのやり方・手順

1.くわいの芽を折らないように気を付けつつ皮を剥く
2.芽が1.5~2cm程度残るようにして、先端部分を切り落とす
3.水に1時間程度浸けておき、アク抜きを行う

6. くわいの美味しい食べ方5選

くわいとは
くわいは「含め煮(甘煮)」としておせち料理によく使われている。しかし、含め煮以外にも素揚げや汁物、炒め物などにしても美味しい。ここではそんなくわいの美味しい食べ方を5種類紹介する。

食べ方1.くわいの含め煮(甘煮)

くわいの含め煮は、正月や雛の日などの縁起物としてよく食べられている。砂糖とみりん、醤油で甘く煮詰めたくわいは、ほんのりとした甘さが美味しくホクホクとした食感も楽しめる。また、だし汁で煮詰めれば通常よりも上品な味わいを楽しむことができる。

食べ方2.くわいの素焼き・丸焼き

くわいを素焼きにすると、芋らしいホクホク感を楽しめるようになる。作り方は、フライパンに下ごしらえしたくわい(丸のままでも可)とオリーブオイルを入れて加熱するだけだ。フタをして5分程度加熱すれば中まで火が通って美味しく仕上がる。お酒のおつまみにもピッタリの一品である。

食べ方3.くわいと豚肉の炒め物

炒め物の中なら、「くわいと豚肉の炒め物」がおすすめである。フライパンにゴマ油を引いておき、豚バラ肉を炒めてからスライスしたくわいを入れる。くわいの水気がなくなったら、塩で味を調えれば完成だ。なお、舞茸やピーマンなどは相性がいいので、合わせてみるのもいいだろう。

食べ方4.くわいのチップス

大きめのくわいが余っているなら、輪切りにスライスしたくわいを使ってチップスにするのもおすすめだ。お菓子感覚で食べることができるため、産地である福山市やさいたま市緑区などでは子どものおやつとしても楽しまれているそうだ。大人が食べても美味しいし、お酒のおつまみにもよく合う。

食べ方5.くわいの素揚げ

衣をつけずに揚げる「くわいの素揚げ(空揚げ)」も非常に美味しい。大粒のくわいだと揚げるのに時間がかかってしまうため、直径2cmほどの小粒のくわいを使うのがおすすめ。お酒にも合う一品なので、余ったくわいがあるならぜひ試してみるといいだろう。

7. くわいの正しい保存方法

くわいとは
くわいは生野菜であるため、早めに使い切る必要がある。もしすぐに使用しないのなら、乾燥に注意しつつ以下に紹介する「冷蔵保存」または「常温保存」を行うようにしよう。

くわいの冷蔵保存・常温保存のポイント

・冷蔵保存:水道水で洗ってから水気を切り、ラップで包んでから冷蔵庫で保存する
・常温保存:水を張ったバケツに浸けて、冷暗所で保管しておく

8. くわいに関するよくある質問

くわいとは
ここまで、くわいについて詳しく解説してきた。しかし中には「くわいの名前の由来が何か」や「大黒くわいや黒くわいとの」、「くわいはどこで手に入るのか」などが気になる人もいるだろう。そこで最後に、くわいに関するよくある質問・疑問に回答する。

Q1.くわい(慈姑)の名前の由来とは?

くわいの由来は元々「鍬芋(くわいも)」と呼ばれており、それがなまって「くわい」と呼ばれるようになったと考えられている。また、漢字では「慈姑(姑を慈しむ)」と書く。この漢字が使われている理由は諸説あるが、一般的には「くわいの地下茎の先にたくさんの塊茎(芋)ができる状態が、慈悲深い姑がたくさんの子どもに乳を与えているように見えるから」だとされている。

Q2.大黒くわいや黒くわいとは何か?

くわいという名前の植物には「大黒くわい」や「黒くわい」と呼ばれる種類もあるが、これはカヤツリグサ科の栽培品種のことである。一方、ここで紹介しているくわいは、オモダカ科オモダカ属の水生植物のことである。これらは別の植物であるため、混同しないように注意しよう。

Q3.くわいはどこで入手できるのか?

くわいは、旬の時期(11月~12月頃で)あれば通常のスーパーや八百屋などで売られている。値段は産地や店舗により異なるが、通常は1パック(5粒程度)で200~300円程度。また、農家やJAなどが運営しているオンラインショップでも販売されている。もし近くのスーパーや八百屋などで見つからなかったら、ネット通販を利用するとよいだろう。

結論

おせち料理の「含み煮(甘煮)」として有名なくわい。実はたんぱく質やミネラルなどが豊富で、栄養面でも優れている食材である。定番の含み煮以外にも、素揚げ・汁物・炒め物・丸焼きなどにしても美味しく、お酒にも合うので、冬の時期に手に入ったらぜひ試してみるといいだろう。
(参考文献)
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  • 公開日:

    2018年12月14日

  • 更新日:

    2022年3月24日

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