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御節料理の歴史とは?お正月に食べる理由や重箱の由来も簡単に説明

投稿者:ライター 佐々木このみ(ささきこのみ)

監修者:管理栄養士 渡邉里英(わたなべりえ)

鉛筆アイコン 2022年1月 1日

正月に欠かせない御節料理には、長い歴史がある。本記事では、御節料理の起源や由来をはじめ、それが時代とともにどのように変化していったのかを解説する。御節料理に込められた意味も含め、その歴史に触れながら知識を深めよう。

  

1. 日本のお正月に欠かせない「御節料理」の歴史

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現在の御節料理は、子ども向けのものやより簡単にアレンジされたものなど、バラエティ豊富だ。御節料理は、内容だけでなく位置付けに関しても、歴史のなかで変化してきた。その起源は弥生時代にまで遡る。まずは、御節料理がどのように誕生し広まってきたのか見ていこう。

御節料理は弥生時代の行事・節供が起源

御節料理の由来は、弥生時代に中国から伝わった節供にある。節供は、稲作とともに伝来した風習だ。季節の変わり目とする節ごとに、収穫を感謝し神様にお供え物をするというものである。収穫した作物を料理し節供として供えたことが、御節料理のはじまりだといわれている。

奈良時代から平安時代の御節料理

節の儀式である節会が宮中行事とされるようになった奈良時代以降、御節料理は定着していった。そこでは御節供(おせちく)と呼ばれるお祝い料理が振る舞われたが、当時はまだ正月料理という位置付けではなかった。平安時代には1月1日(元日)をはじめ、1月7日(白馬)、1月16日(踏歌)、5月5日(端午)、11月(豊明)の五節句に開かれる節会が五節会として、重要視されていたようだ。

御節料理を正月に用意するようになった江戸時代

江戸時代以降、五節句が幕府の公式行事とされるようになった。江戸時代の五節句は、1月7日(人日)、3月3日(上巳)、5月5日(端午)、7月7日(七夕)、9月9日(重陽)とされている。御節供は民間行事としても広まり、庶民の間でも五節句には豪華な料理が振舞われるようになった。
五節句のなかでも最も重要とされる人日の節句の御節供が、正月料理として定着したのも江戸時代である。後期には、料理一つひとつに意味を込めることや、大晦日に作った御節料理を正月に家族で食べる風習が誕生したといわれている。

2. 御節料理の歴史からひも解くいろいろな意味や由来

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御節料理には、その名や重箱に詰めるスタイルなど、さまざまな特徴がある。そしてそれら一つひとつには意味が込められているという。

御節料理の名前の由来

御節料理という名前は、奈良時代から平安時代にかけて定着していった御節供が由来といわれている。御節供(おせちく)が略され御節となったということだ。ただし、呼称として定着したのは、昭和に入ってから(第二次世界大戦後)といわれている。

御節料理を重箱に詰める意味

御節料理を詰める重箱には、幸せを重ねる、福が重なるという願いが込められていた。さらに、ふたをすることで保存しやすくなる、重ねることで場所を取らない、そのまま振る舞えるなどメリットが多いことも、重箱が選ばれるようになった理由といわれる。
重箱の使用が定着したのは、江戸時代末期から明治時代以降だ。以前は食積と呼ばれる鑑賞用の御節料理を別に用意していた。しかし重箱の材質が改良されたことで食積用の料理も食用の御節とともに食べられるようになった。そのような背景から、重箱入りの御節料理が一般化していったという。

御節料理を正月に食べる意味

正月は、五節句のなかでも最も重視されていた。それは、1年の福徳を司る神様とされる「歳徳神」を招き入れる日だからである。その年の無病息災や豊作への願いを込める意味で、御節料理をお供えし家族で食べるようになった。元々は大晦日の夜に行われる行事だったが、現在は多くの地域で大晦日に年越しそば、正月に御節料理を食べる風習に変わっている。

御節料理を祝箸で食べる意味

祝箸とは、柳の木で作られた八寸(約24cm)の丸箸で、両端が細くなった形状が特徴である。柳は縁起のよいものであり、末広がりを象徴する八という字は幸運の数字とされる。また、祝箸は両端が細くなっているのが特徴だが、これには神様と共食するという意味が込められている。両口箸、柳箸、俵箸などの別名もある。

3. 御節料理の中身の変化と歴史

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御節料理の内容も、時代とともに変化してきた。昔と現在では、どのような違いがあるのだろうか。それぞれの特徴や傾向を見ていこう。

昔の御節料理の中身

御節料理が庶民の間にも広まった江戸時代は、鑑賞用の食積として松竹梅、裏白、ゆずり葉、昆布、伊勢海老、橙、勝栗、炒り米などが用いられた。また、食用の御節料理としては、黒豆、数の子、田作り(ごまめ)を用いた祝い肴を中心とした料理が重箱に詰められていたようだ。

現代の御節料理の中身

かつての御節料理は、祝い肴を含めすべてが和食で統一されていた。しかし、現代は洋食や中華などを盛り込んだ御節料理も親しまれている。また、産地限定品や高級食材などを使用したものも人気が高く、内容は非常にバラエティ豊かとなった。食の多様化や保存技術の進歩などが要因と考えられる。

4. 御節料理の種類と由来

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重箱や祝箸に意味が込められているように、御節料理の中身にも一つひとつ意味がある。定番の御節料理にはどのような種類があるのだろうか。代表的な御節料理の種類と、それぞれの意味について紹介する。
  • 黒豆:まめで健康であるようにという願いを込めた。また黒色は魔除けの意味をもつ
  • 数の子:「二親(にしん)健在」に通じており、卵の数が多いことから子孫繁栄を願う
  • 田作り(ごまめ):田畑の肥料としても用いられるイワシを使っており、五穀豊穣を願う
  • 伊勢海老:腰の曲がった海老の姿より、長寿を願う
  • 伊達巻き:知性の象徴である巻き物を表し、文化の発展を願う。口取りの定番
  • かまぼこ:初日の出の象徴とされており、紅白の色合いもめでたい。赤は魔除け、白は清浄の意味ももつ。口取りの定番
  • 煮物(筑前煮):さまざまな食材を一緒に煮ることから、家庭円満を願う
  • 酢の物(なます):大根は、清らかさや安定を意味する
  • 焼き物:縁起のよい鯛の姿焼きや、出世を願う鰤の照り焼きが用いられる

結論

御節料理の起源は弥生時代にまで遡り、非常に長い歴史をもつ。神様に供える料理として用いられてきたもので、祝箸などからもその意味が感じられる。料理一つひとつにも由来や意味があり、1年のはじまりを迎えるのにふさわしい文化であることを再認識させられる。現在は時代の変化とともに御節料理も多様化しているが、人々の願いはいまも昔も同じなのではないだろうか。
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  • 更新日:

    2022年1月 1日

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