1. おせち料理を重箱に入れる理由とは

おせち料理の起源はいつ?
おせち料理の起源は、弥生時代に神様のために煮炊きされた供物とも、奈良時代に朝廷内の儀式で供された高盛りの飯碗に由来するともいわれているが、現在のようにおせち料理を重箱に詰めるようになったのは、江戸時代から明治時代頃だとされている。
御節と食積の融合?
一説によると、膳に盛られた料理と重に詰められた料理のうち、膳に盛られた料理を「おせち」とよび、お膳に供えた煮物を「御節」、重詰めしたものを「食積」であったのが次第に融合されていったという。
現在の形は戦後のデパートが起源?
「福が重なるように」「めでたさを重ねる」というように、重箱にはおめでたいことが重なるようにという願いが込められているともいうが、重箱はたくさんの料理をコンパクトに収納できるということ、お重がふたの役割も兼ねているため食卓ですぐに広げて食べることができること、持ち運びが可能のため家の中の涼しく風通しのよい場所でおせち料理を数日保存することが可能なこと、年賀にくる客にふるまう対応がしやすいため、正月にのんびり過ごすために洗い物を少なくするため、などの理由が考えられる。ちなみに、現在のような豪華なおせちの形式が固まったのは、戦後のデパートで重箱のおせちを扱うようになってからだと言われている。
2. 重箱の詰め方

おせち料理を重箱に詰める方法には古典的ないくつかの型があり、和風に盛り付けることがお正月らしさを演出し、和の美しさを感じさせることができる。
一の重に三種の祝い肴を中心に詰め、二の重にはすすめ肴、三の重には煮しめ、与の重には酢の物など他に香りを移してはいけないものを詰めることが多いが、地方によっても異なったり、家庭で省略されたりと様々だ。
一の重に三種の祝い肴を中心に詰め、二の重にはすすめ肴、三の重には煮しめ、与の重には酢の物など他に香りを移してはいけないものを詰めることが多いが、地方によっても異なったり、家庭で省略されたりと様々だ。
市松詰め
縦横均等に区切り、日本の古典柄「市松模様」を模した詰め方。紅白のかまぼこなど小型の料理だけを市松模様に詰めることもある。
ますかけ詰め
手綱とも言われ、重箱を斜めに3分割または5分割して、斜めに料理を配置する詰め方。鯛やカニなどの豪華で大型な料理を引き立てる詰め方とされており、焼き物がメインとなる二段目に最適な盛り付け方です。斜め中央寄りに主菜を、両側に他の料理を詰める。
段取り詰め
料理を横一列に三段または五段に区切って詰める。
隅取り詰め
四隅の角から詰める、中央をひし形にとる。
七宝詰め
中心を真ん中に置き、周囲に六種の料理を詰める方法
八方詰め
幸せが四方八方に広がるようにとの願いを込めた詰め方。中心に一つの料理を詰め、そこから八方に広がるように他の料理を配置する。正面は特になくどの角度からでも正面になるように詰める。
3. 料理を詰めるポイント

縁起のいい奇数の料理を盛り込む
重箱などの折詰は、持ち運びすることが前提となっているため、余白なくぎっしりと詰めることが基本だ。そして、奇数は縁起の数字とされているため、奇数の料理を盛り込むということが決まりとされている。
味や香りが近いものは同じ段にする
基本的には味や香りが同系統の料理は同じ段に詰める。それぞれの料理の間は、抗菌作用のある笹の葉などを使って仕切りをすると、引き締まった印象になり、味移りや色移りも妨ぐことができる。斜めに配置する場合は、それぞれの食材を均等にずらすようにすると美しい。段詰めや市松詰めにする場合は、重箱の辺と平行に、色は隣り合うものと違うもの、もしくはひとマスでまとめることで、華やかさがでる。
器をうまく使う
黒豆やいくらなど小さなもの、汁気のあるものを盛り付けるときには、重箱にはいるくらいの豆鉢や竹筒、ゆずをくりぬいて作るゆず釜を器にするとよい。
飾りでより華やかに
「裏白」や「松葉」、「南天」、「千両・万両」、「梅の枝葉」などを添えることでいっそうおせちが引き立つ。
美しく盛り付けて楽しむ
家庭では家族がお重を囲むため、あえて正面を決めず、どこから見ても美しく見えるように詰めることがおすすめだ。たくさんあるからとバランス悪く盛り付けるよりは、入るだけ詰めて、あとは密閉容器に入れて冷蔵庫へ。重箱の中が少なくなったら足すようにし、食べても隙間があかないように工夫するといつまでも見栄えがよい。
結論
おせち料理を重箱に入れるようになり、今のような詰め方になったのは意外と近年になってからだ。重箱にはお正月らしくおめでたい謂れのある料理を詰めるが、重箱自体にも「福を重ねる」との思いが込められていたとされる。
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