目次
1. すき焼きとは?関東と関西それぞれの特徴も!

すき焼き(すき焼)とは日本で誕生した牛肉料理の一つで、明治時代に横浜で流行した「牛鍋」がルーツだと考えられている。一般的には薄切りにした牛肉、ネギ、白菜、春菊、人参、キノコ類、しらたき、焼き豆腐などの具材(ザク)を煮たり焼いたりして作り、それを溶き卵に絡めながら食べることが多い。また「関東と関西で味付けや作り方が異なる」ということが特徴となっている(※1)。
関東風すき焼きは「煮る料理」
関東風すき焼きの特徴は、割り下(わりした)を使って具材を煮詰めることだ。割り下とは醤油・みりん・だし汁・砂糖などを合わせた調味料(煮汁)である。また、実際には以下のような手順で作る。
- 鍋に牛肉と長ネギに軽く焼き色を付ける
- 鍋に割り下を入れて牛肉と長ネギを煮込む
- ある程度煮詰めたら、ほかの具材を入れて完成
- 溶き卵などを絡めながら食べると美味しい
関西風すき焼きは「焼く料理」
関西風すき焼きでは、関東風のような割り下を使わない。その分、牛肉をしっかりと焼くため、焼き物料理の一つとして親しまれている。関西風すき焼きの基本的な作り方は以下のようになっている。
- 牛脂で牛肉を両面しっかりと焼く
- 長ネギにも焼き色を付けておく
- 多めの砂糖・醤油・酒を入れる
- 白菜などの野菜を入れて水分を出す
- しいたけや焼き豆腐などを入れて煮詰めたら完成
2. すき焼きの定番の具材8種類とその切り方

すき焼きに使われる食材は、地域や家庭によって大きく異なる。まずは定番のすき焼きの具材と、それぞれの切り方を紹介する。
その1.牛肉
牛肉料理である「すき焼き」のメインは当然、牛肉である。部位は基本的にお好みでいいが、牛モモ肉や肩ロースなどが使われることが多い。また、量もお好みだが、通常は野菜も入れるので一人前100~200g程度が目安となる。もし牛肉が大きすぎるなら、適当なサイズに切ると食べやすくなる。
その2.長ネギ
すき焼きの味を引き立てて、美味しい具材にもなる長ネギ。すき焼きに入れる場合は「斜め切り」と「ぶつ切り」の二通りがあるが、適当なサイズに切る「ぶつ切り」のほうがおすすめだ。斜め切りだと煮詰めた際にバラバラになってしまう。なお、長ネギは上部の青い部分と根元の1㎝は使わない。
その3.白菜
鍋料理の鉄板食材である白菜。すき焼きの煮汁を吸った白菜は、ホロホロとした優しい口当たりで美味しい仕上がりになる。根元を切り落とし、一枚ずつ白い部分と葉の部分に切り分けよう。それから白い部分は包丁を斜めに入れる「そぎ切り」にし、葉の部分は「ざく切り」にするのがおすすめだ。
その4.春菊
独特の苦みと鮮やかな緑色の見た目で、すき焼きのアクセントになる春菊。春菊の切り方は、根元を切り落としたら、5㎝幅(または2~3等分程度を目安)の「ざく切り」にするとよい。
その5.人参
すき焼きの煮汁を吸って、さらに甘みが増す人参。主な切り方には「短冊切り」「いちょう切り」「飾り切り」などがあるが、火が通りにくいので「薄切り」がおすすめ。または、ピーラーで剥いた「そぎ切り」でもよい。シャキシャキとした歯ごたえが非常にクセになる。
その6.キノコ類(しいたけ)
うま味も出て、すき焼きを格段に美味しくするキノコ類。中でも人気があるのが「しいたけ」だ。石づきを落としたら、かさの部分に十字の切れ込みを入れて「飾り切り」にするのがおすすめだ。
その7.しらたき
すき焼きの美味しい煮汁をたっぷりと吸い込むしらたき。しらたきは鍋に入れる前に湯通しをして、臭み・あくをとっておくほうがよい。そのあと、食べやすいように2~3等分に切っておこう。余談だが「しらたき(糸こんにゃく)は牛肉を硬くする」という噂があるが、これは間違いである(※2)。
その8.焼き豆腐
あっさりとした味付けで、すき焼きの箸休めにもなる焼き豆腐。焼き豆腐はしっかり水気を切り、一丁を6等分ほどに切るとよい。また、木綿豆腐をフライパンで炒めて焼き豆腐にしても美味しい。
3. すき焼きで試してみたい変わった具材10選!

ネギや白菜、シイタケなどの定番の具材以外にも、実はすき焼きにはさまざまな具材が使われている。そこで、家庭料理としてのすき焼きで使われることのある具材についてまとめておくとする。
- 豚肉:「豚すき」のこと。豚肩ロースを使うとうま味もあり、柔らかくて美味しい
- 鶏肉:「鶏すき」のこと。角切りにした鶏もも肉で食べると、違ったすき焼きを楽しめる
- お麩:焼き麩か揚げ麩がおすすめ。甘いすき焼きの煮汁を吸って美味しく仕上がる
- お餅:薄くスライスしたお餅がよい。煮汁で溶け出すため、トロリとした食感が楽しめる
- ちくわ:すき焼きは練り物との相性もよい。斜め切りにしてしっかりと味を染み込ませよう
- はんぺん:ちくわと同じく相性がよい。四等分にカットしたものを最後のほうに入れるのがコツ
- ごぼう:硬い歯ごたえが非常によい。ささがきにしたものを煮詰めると美味しい
- 大根:煮汁を吸い込んで美味しく仕上がる。短冊切りにして早めに煮詰めるようにしよう
- キャベツ:煮ることで柔らかくしっとりとした食感が楽しめる。一口大にカットするとよい
- もやし:シャキシャキ感がアクセントになる。ボリュームも増えてお腹いっぱいになれる
4. すき焼きの美味しい食べ方3選

煮込んだすき焼きは、溶き卵に絡めて食べるのが一般的だ。しかし、実は「大根おろし」や「七味とうがらし(一味とうがらし)」などで食べても美味しい。そんなすき焼きの美味しい食べ方を確認しよう。
その1.生卵
すき焼きを生卵に付けて食べる人は多く、すき焼きの美味しい食べ方として一般的だ。生卵をつけることですき焼きの味をまろやかにし、牛肉特有の臭みを和らげることもできる。また、鍋の中で熱くなっている具材に生卵を絡めることで、食べやすい温度まで冷ますこともできる。
その2.大根おろし
甘辛く濃厚や脂っぽいすき焼きをさっぱりと食べたいなら、大根おろしがおすすめ。大根おろしを絡めることで味が和らぎ食べやすくなる。「生卵とは違った味付けで食べたい」という人には特におすすめの食べ方である。
その3.七味とうがらし・一味とうがらし
七味とうがらしや一味とうがらしは、辛いもの好きの人におすすめの食べ方だ。甘辛く味付けされたすき焼きに飽きを感じたら、七味とうがらし(一味とうがらし)をふりかけてみよう。ピリッとした刺激がよいアクセントになって、すき焼きを美味しく食べられるようになる。
5. ダイエット中でも食べられる「すき焼き」の作り方!

すき焼きはカロリーが高い料理のひとつだ。そのため、ダイエット中の多くの人が食べることを避けているだろう。しかし、工夫次第でダイエット中の人でも食べられるようになる。ダイエット中でもすき焼きが食べたいという人は、ぜひ試してみてほしい。
ポイント1.赤身のお肉や鶏肉を使う
すき焼きに使う肉は霜降りの脂の乗った部分ではなく、低カロリーの赤身のお肉にしよう。また、牛肉ではなく、鶏肉に変えればさらにカロリーを低めに抑えることが可能だ。ほかにも肉の量を少なめにし、野菜や豆腐を増やして満腹感を得るというのもポイントになる。
ポイント2.醤油と甘味料で味付けする
割り下には砂糖やみりんがたくさん使われていて、カロリーが高めになっている。そのため割り下を使わずに、醤油と甘味料だけで味付けをしよう。割り下を使ったものよりはやや味付けがあっさりとするが、カロリーを低く抑えた美味しいすき焼きを作ることができる。
ポイント3.大根おろしにつけて食べよう
ダイエット中は生卵ではなく、大根おろしであっさりと食べるのがおすすめだ。これでカロリーを相当減らすことができる。また、どうしても生卵で食べたいときは、卵を絡めすぎないことがコツ。すき焼きでは何個も卵を使いたくなるが、一個くらいで我慢するのも重要になる。
結論
すき焼きにはいろいろな食べ方があり、関東風・関西風それぞれの美味しさがある。また、何を具材にするか、何をつけて食べるかによっても、違ったすき焼きを楽しむことができるのだ。いろいろな食べ方を試してみて、自分の好みに合った美味しいすき焼きの食べ方をぜひ見つけてほしい。
【参考文献】
- ※1:財団法人 関西・大阪21世紀協会「大阪鍋物語」
https://www.osaka21.or.jp/web_magazine/nabe/yomoyama/bunmei/story02.html - ※2:日本こんにゃく協会「「しらたき(糸こんにゃく)がすき焼きの肉を硬くする」は誤解だった」
http://www.konnyaku.or.jp/pdf/2017.2.23.pdf