1. タカベとは?

タカベとは、イスズミ科タカベ属(タカベ科タカベ属)に属する海水魚の一種である。細長い紡錘形であり、全長は20cm程度に達する。また、腹側は銀色をしており、背側は青い縞模様があるのが特徴だ。日本では主に伊豆諸島周辺で多く漁獲されており、特に初夏から夏にかけて流通する旬のものは高値で取引されることも少なくない。塩焼きや煮付けなどすると非常に美味しくて人気がある。
タカベの主な産地と流通時期
タカベは本州から九州まで生息しているが、産地は東京都(伊豆諸島)、千葉県、静岡県と比較的少ない。この中で特に有名な産地は伊豆諸島であり、伊豆諸島近海では1年間で160~360トンほど漁獲されている。また、タカベは4~10月頃に漁獲されるが、旬であるメインシーズンは6~8月頃となっている。この時期は特に高値で取引されており、1kgあたり2000~3000円程度になるという。
タカベの名前の由来とは?
「タカベ」という名前は、タカベが岩礁地帯に多く生息していることから命名されたという。漁師用語・漁村用語では「タカ」には岩礁という意味があり、「ベ」には魚という意味があるそうだ。そのことからタカベという名前で呼ばれるようになったという。なお、タカベは主に関東地方での呼び方であり、ベント(高知県)、シャカ(和歌山県)、ホタ(鹿児島県)などと呼ぶこともある。
2. タカベの特徴や魅力を紹介!

前述のとおり旬のタカベは高値で取引されており、高級魚の一種として見られることも多い。ここではそんな旬の時期のタカベの特徴や魅力について確認しておこう。
その1.焼いても身が柔らかい
タカベは一般的な魚類と異なり、刺身ではなく「焼き専門」で食べられている。それにも関わらず高値で取引されていることがタカベの特徴の一つだ。また、焼いたときの味わいは絶品であり、中には「タカベ以上に美味しい焼き魚はない」と思う人もいるそうだ。焼いても身が硬くならないことや、しっかりと乗った脂を堪能できることもタカベの魅力となっている。
その2.干物にしても美味しい
生のタカベは、一般的なスーパーやネット通販などではあまり見かけない。しかし、干物にしたものはネット通販を中心に比較的簡単に入手することができる。しかも、干物にしたタカベはうま味やコクが凝縮されていて、非常に味がよくて美味しく食べられる。もし近くのスーパーや鮮魚店などでタカベが見つからなければ、ネット通販でタカベの干物を探してみるのもおすすめだ。
3. タカベの基本的な栄養価

タカベは、ほかの魚類と同じでたんぱく質や脂質が豊富である。また、DHAやEPAなどの不飽和脂肪酸も多く含んでいる。そんなタカベ100gあたりの栄養価を、文部科学省の「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」を参考にしながら確認してみよう(※1)。
タカベ(生)100gあたりの栄養価
- エネルギー:148kcal
- たんぱく質:18.7g
- 脂質:9.0g
- 炭水化物:0g
- 脂肪酸
・飽和脂肪酸:2.71g
・一価不飽和脂肪酸:2.17g
・多価不飽和脂肪酸:2.16g - ビタミン
・ビタミンA:16μg
・ビタミンD:4.0μg
・ビタミンE:1.4mg
・ビタミンK:0μg
・ビタミンB1:0.06mg
・ビタミンB2:0.18mg
・ナイアシン:3.7mg
・ビタミンB6:0.23mg
・ビタミンB12:2.0μg
・葉酸:3μg
・パントテン酸:0.48mg
・ビタミンC:1mg - ミネラル
・ナトリウム:120mg
・カリウム:380mg
・カルシウム:41mg
・マグネシウム:34mg
・リン:210mg
・鉄:0.6mg
・亜鉛:1.3mg
・銅:0.04mg
・マンガン:0.01mg - 食物繊維:0g
4. タカベの美味しい食べ方

最も美味しい食べ方は塩焼きといわれているタカベ。そんなタカベだが、煮付けや唐揚げ、ムニエルなどにしても美味しく食べられる。ここではそんなタカベの美味しい食べ方をチェックしておこう。
その1.タカベの塩焼き
タカベを食べるならまず「塩焼き」がおすすめだ。脂が乗ったタカベを塩焼きにすると、うま味が詰まった非常に柔らかくて美味しい身を楽しむことができる。なお、上手に焼くポイントとして「塩を馴染ませるために振り塩をしてから寝かしておく」「脂が溶け出ないよう腹には包丁を入れない」「じっくりと丁寧に焼く」などが必要だ。こうして丁寧に焼いたタカベは格別の美味しさである。
その2.タカベの煮付け
タカベは「煮付け」にしても美味しい。煮付けにするときは、まずタカベを捌いておこう。それから鍋に酒・砂糖・醤油・水などで作った煮汁を煮立たせておき、そこに下処理しておいたタカベを入れて10分ほど煮れば完成する。産地では主に漁師の間で食べられているそうだ。
その3.タカベのムニエル
タカベは塩焼き・煮付け・唐揚げなどにすることが多いが、腹を開いたタカベに小麦粉をまぶしてこんがりと焼き「ムニエル」にしても美味しい。ムニエルにしてもタカベらしい柔らかな身を楽しむことができる。タカベがたくさん手に入ったら、洋風にして楽しんでもよいだろう。
結論
夏の風物詩として知られているタカベは、小型の魚でありながら高級魚として扱われることもある。その味は本当に美味しくて、特に塩焼きにすると格別の美味しさを楽しめるという。旬の時期であればスーパーや鮮魚店で見かけることもあるが、あまり流通量が多くないため見かけないこともあるだろう。もし興味があるならネット通販を利用して、タカベの干物を食べてみるのもよいだろう。
【参考文献】
- ※:東京都島しょ農林水産総合センター「タカベ」
https://www.ifarc.metro.tokyo.lg.jp/archive/27,1037,55,227.html - ※:東京都農林水産振興財団「タカベ | 東京の水産物」
https://tokyogrown.jp/product/detail?id=571331 - ※1:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
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