1. 紅はるかとは?

紅はるか(べにはるか)は、九州沖縄農業研究センターにて作られ、2010年に品種登録されたサツマイモである。見た目が優れている「九州121号」と味が優れている「春こがね」を交配させた品種で、サツマイモらしい見た目と高い糖度が特徴である。特に焼き芋にしたときの糖度は40度以上あり、甘いものだと60度に達することもあるという。そのうえ、後味がいいのも特徴となっている。
紅はるかの名前の由来
紅はるかは、既存のサツマイモよりも外観や食味が「はるかに優れている」という意味が由来となっている。また、JA全農おおいたの「甘太くん」、ポテトかいつかの「紅天使」、くしまアオイファームの「葵はるか」などのように、全国各地で紅はるかを使ったブランドも展開されている。
紅はるかの生産シェア率
農林水産省によれば、日本では現在60品種程度のサツマイモが栽培されており、紅はるかの2017年の品種別作付けシェアは約13.1%で第3位になっている。また、全国の紅はるかの作付面積は約4656haで、茨城県(約2576ha)、千葉県(約1074ha)、鹿児島県(約350ha)などで多く栽培されている(※1)。茨城県には「紅天使」を手掛けているポテトかいつかの本社が置かれている。
2. 紅はるかの特徴を紹介!

紅はるかが比較的新しい品種であるにも関わらず人気である理由は、メディアで取り上げられていることも関係しているが、食味や外観が優れていることが強く関係している。そこでここでは紅はるかの食味と外観それぞれの特徴について確認しておこう。
特徴1.焼き芋の糖度は60度近い
紅はるかの特徴の1つ目は、その高い糖度である。比較されることが多い安納芋の場合、焼き芋にすると糖度は40度程度になるという。一方、紅はるかを焼き芋にすると40度以上になり、個体によっては糖度が60度に達することもあるそうだ。また、ネットリ系の味わいでありながら、ホクホクとした食感が楽しめるのも特徴。そのため、サツマイモのいいとこどりをした品種となっている。
特徴2.サツマイモらしいキレイな見た目
紅はるかの特徴の2つ目は、そのキレイな見た目である。紅はるかは見た目が優れている「九州121号」から作られており、サツマイモらしい紡錘形の形状、赤紫色の外皮、薄黄色の果肉が特徴となっている。また、紅はるかの大きさは「中程度」で、一般的なサツマイモと同じくらいである。
3. 美味しい紅はるかの見分け方

紅はるかは流通量が多いため、時期が合えば一般的なスーパーや八百屋などでも購入することが可能だ。紅はるかの選び方は、基本的にはその他のサツマイモを選ぶときと同じである。以下に紹介している皮・見た目・切り口などのポイントを参考に、美味しい紅はるかを選ぶようにしよう。
- 皮:鮮やかでツヤ感があり、色味にムラがないもの
- 見た目:ふっくらとしているもの
- 切り口:黒く蜜が染み出たあとがあるもの
一方で、表面にキズや斑点などがあるものは傷んでいたり、鮮度が落ちていたりする可能性がある。鮮度が落ちたものは、新鮮なものに比べて甘みが弱くて、苦味を感じることもある。そのため、上記のポイントを参考にできるだけ美味しいサツマイモを選ぶようにしよう。
4. 紅はるかの美味しい食べ方3種類

濃厚な甘みが楽しめる紅はるかは、一般的に焼き芋にすることが多い。また、てんぷらやスイートポテトなどにしても美味しい。ここで紅はるかの美味しい食べ方を3種類紹介しておこう。
食べ方1.焼き芋
紅はるかの甘みを楽しむなら「焼き芋」がおすすめ。自宅で焼き芋を作る際は、フライパンや炊飯器などでも作れるが、オーブントースターを使うのが簡単である。あらかじめ紅はるかをアルミホイルで包んでおき、160℃程度に予熱しておいたオーブンで1時間~1時間30分程度焼けばよい。また、焼き芋の作り方は以下の記事で詳しく解説しているのでチェックしてみよう。
食べ方2.天ぷら
紅はるかはネットリ系サツマイモではあるが、しっかりとした芋感もあるので「天ぷら」にしても美味しい。作り方は、紅はるかを皮付きのまま1cm程度の厚さで斜め切りにする。その後、カットした紅はるかを衣にくぐらせてから、160~170℃程度の熱しておいた油の中でカラッと揚げればよい。出来上がった紅はるかの天ぷらは、天つゆや塩などで美味しく食べよう。
食べ方3.スイートポテト
紅はるかの甘みを楽しむなら、「スイートポテト」にするのもよい。皮をむいた紅はるかを電子レンジで加熱して火を通す。そして、柔らかくなった紅はるかをフードプロセッサーにかけて、ペースト状になったところにバター・生クリーム・砂糖を加える。その生地の形を整えて卵黄を塗ったら、トースターでこんがりと焼こう。これでホクホクとした甘いスイートポテトの完成だ。
5. 紅はるかの正しい保存方法

紅はるかなどのサツマイモは寒さに弱いため、冷蔵庫で保管すると傷んでしまう可能性が高い。そのため、通常は冷暗所などの涼しい場所に常温保存すればよい。また、冷暗所が寒くなりすぎる場合には、新聞紙で紅はるかを包むと寒さ対策になる。状態がよければ3週間程度もつこともあるが、出荷されている時点で美味しい状態なのでできるだけ早く食べるようにしよう。
結論
安納芋よりもはるかに甘いことからその名前を付けられた「紅はるか」は、今では生産シェア第3位の代表的なサツマイモとなっている。また、流通量が多いためスーパーや八百屋などでも比較的入手しやすいのがメリットである。もし実店舗で見つからない場合には、ECモールやサツマイモ卸売業者のオンラインショップなどで探してみるのもよいだろう。
【参考文献】
- ※:日本いも類研究会「べにはるか(農林64号)」
https://www.jrt.gr.jp/var_s/beni_haruka.html - ※1:農林水産省「令和元年度いも・でん粉に関する資料」
https://www.maff.go.jp/j/seisan/tokusan/imo/attach/pdf/r1shiryou-158.pdf
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