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分子ガストロノミー(分子美食学)とは?料理の美味しさは科学的?

分子ガストロノミー(分子美食学)とは?料理の美味しさは科学的?

投稿者:食生活アドバイザー 吉田昌弘

監修者:管理栄養士 中山沙折(なかやまさおり)

鉛筆アイコン 2022年5月 3日

調理による食品の変化を分子レベルで科学的に解明しようとする学問の「分子ガストロノミー(分子美食学)」。1980年代に物理化学者エルベ・ティス博士によって提唱された研究分野であり、料理の技やコツの解明、美味しさの裏付けを明らかにすることを目標としている。また、この分子ガストロノミーを踏まえた料理法も登場している。今回はそんな分子ガストロノミーについて紹介する。

  

1. 分子ガストロノミーとは?

分子ガストロノミー
分子ガストロノミー(分子美食学)とは、調理による食品の変化を分子レベルで解明しようとする研究分野のことである。調理法の多くは経験によって伝えられてきたが、その技やコツを科学的に明らかにすること、また、美味しさについて理論的な裏付けをすることを目的としている。近年は科学技術を使った調理法全般を分子ガストロノミーと呼び、新しい料理のジャンルとして確立している。

2. 分子ガストロノミーの分類と意味

分子ガストロノミー
本来、分子ガストロノミーは研究分野のことを指していたが、時代の流れとともに科学的な調理法のことも指すようになった。そこでそれぞれの意味する分子ガストロノミーについて理解しておこう。

「研究」としての分子ガストロノミー

分子ガストロノミーは1988年に提唱され、1992年にイタリアで「伝統料理の調理法の背景にある科学を議論するためのワークショップ」が開催される。本来は調理法によって食材にどんな変化が生じるか、調理によって最終的にどのような食感や風味になるか、料理を見ることで人間にどんな影響が出るかなどを研究しており、これまでの調理法が正しいのかを検討することを目的としていた。

「調理法」としての分子ガストロノミー

しかし、1990年代後半から2000年代になると分子ガストロノミーは研究ではなく、科学技術を取り入れた新しい料理のジャンルとして取り扱われるようになる。また、それらに携わっていたシェフは分子ガストロノミーと関係ないとし、自分たちの料理を「前衛的な料理」「感動的な料理」などと呼ぶようになる。また、研究者からは、これらを「分子クッキング」として区別しているそうだ。

3. 分子ガストロノミーの主な調理法・技術

分子ガストロノミー
分子ガストロノミーは、日本では研究分野としてではなく、調理法または料理として紹介されることが多い。そんな科学的な調理法はさまざまあるが、代表的なものには低温調理(真空調理)、亜酸化窒素ガス(エスプーマ)、液体窒素などがある。ここでは、それぞれの特徴を紹介しておこう。

その1.低温調理

低温調理(真空調理)とは、40~60℃程度のお湯でじっくりと食材に火を通す調理法のこと。肉などの食材は高温で加熱すると固くなってしまうが、低温で中まで火を通すことでたんぱく質変性を抑えることができて柔らかく仕上がる。近年は家庭用の低温調理器も増えており、一般的な家庭でも低温調理を楽しむことが可能となっている。詳しくは以下のページで確認してみよう。
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その2.エスプーマ

エスプーマは、亜酸化窒素ガスを使って素材を泡立てる調理法のこと。スペインの三ツ星レストラン「エル・ブリ」の料理長であったフェラン・アドリア氏が考案した調理法であり、亜酸化窒素ガスを使うことで「空気のように軽い食感の泡」が作れるようになった。高級飲食店だけでなく、例えばカフェなどでもフワフワのホイップクリームを作るために使われていることがある。

その3.液体窒素

液体窒素とは-196℃以下の液体状の窒素のことで、これを使った調理法も存在する。液体窒素を使った調理法を最初に取り入れたのも「エル・ブリ」と言われており、食材を一瞬で凍らせた料理やスイーツなどを提供していた。常温では実現できない料理の形や演出などを楽しむことができる。

4. 分子ガストロノミーに関するよくある質問

分子ガストロノミー
ここまで、分子ガストロノミーについて詳しく解説してきた。しかしまだ「分子ガストロノミーの起源はいつごろなのか」や「ほかにはどんな調理法があるのか」などが気になる人もいるだろう。そこで最後に、分子ガストロノミーに関するよくある質問・疑問に回答する。

Q1.分子ガストロノミーの歴史とは?

分子ガストロノミーという言葉は、1988年にハンガリーの物理学者ニコラス・クルティ氏と、フランスの物理学者エルヴィ・ティス氏によって提唱される。その後、イタリアのエーリチェで国際会議が開催され、伝統料理の調理法の背景についての議論が交わされた。1998年にクルティ氏が亡くなってからは、ティス氏によってこの国際会議や研究などは引き継がれていくことになる。

Q2.ほかの調理法や技術には何があるか?

調理法としての分子ガストロノミーには低温調理やエスプーマのほかに、食品乾燥機を使った調理法や遠心分離機を使った調理法などもある。また、代替砂糖や代替肉なども分子ガストロノミーの技術として扱ったり、フードロス改善のための保存技術が含まれたりすることもある。

結論

分子ガストロノミーには「研究分野」と「調理法/技術」の2つの意味があり、日本では調理法や技術として紹介されることが多くなっている。その新しい調理法は、これまでとは全く異なる「食の体験」をさせてくれるようだ。もし興味があったら、分子ガストロノミーを取り入れているレストランなどに行ってみるとよいだろう。
  • 公開日:

    2019年11月 2日

  • 更新日:

    2022年5月 3日

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