1. 肉を低温調理するメリット

低温調理とは、通常よりも低い温度で行う加熱調理のことである。一般的に食材を茹でるときには沸騰している100℃のお湯を使うが、低温調理では40~60℃程度のお湯でじっくりと加熱調理する。このようにして低温調理された肉は、身が硬くなる原因の一つである「アクチン」というたんぱく質が変性しにくいため(※1)、水分(肉汁)が保たれておりジューシーで柔らかな食感に仕上がる。
2. 牛肉の低温調理のやり方

牛肉を使った料理・メニューにはビーフステーキ・ハンバーグ・ビーフシチューなどさまざまなものがあるが、低温調理はこれらの下ごしらえや仕上げに取り入れることが可能である。例えば、低温調理と相性がいい「ローストビーフ」の場合は以下のようにして低温調理を使うことが多い。
低温調理を使ったローストビーフの作り方
- 叩いておいた牛肉のブロックに塩コショウを振る
- 耐熱用の密閉袋に牛肉を入れてしっかりと閉じる
- 鍋にお湯を用意して低温調理器をセットする
※加熱温度・時間は調理器具の説明書の通りに従う - お湯の中に入れて既定の時間そのまま茹でる
- 袋から牛肉を取り出しフライパンで両面を焼く
※表面に焼き色が付くくらいの加熱でOK - 牛肉を休ませてからスライスすれば完成
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3. 豚肉の低温調理のやり方

豚肉を使った料理には、豚カツ・ローストポーク・ポークチョップ・酢豚・ベーコンなどがあるが、これらの下ごしらえや仕上げにも低温調理を取り入れることが可能だ。特に人気なのが低温調理で作る「煮豚」である。煮豚を作るときには以下のようにして低温調理を取り入れてみよう。
低温調理を使った煮豚の作り方
- フォークで穴を開けた豚肉ブロックに塩コショウを振る
- オリーブオイルを引いたフライパンで豚肉の表面を焼く
- 耐熱用の密閉袋に豚肉と漬け汁を入れて冷蔵庫で一晩寝かせる
- 一晩寝かせたら、鍋にお湯を用意して低温調理器をセットする
※加熱温度・時間は調理器具の説明書の通りに従う - (3)~(4)をもう一度繰り返す
- 豚肉の粗熱を取ってから適当な厚みにスライスすれば完成
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4. 鶏肉の低温調理のやり方

鶏肉を使った料理には、サラダチキン・チキンカレー・チキンソテー・つくね・鶏のテリヤキ・鶏レバーなどがあり、これらの料理にも低温調理を取り入れることが可能だ。鶏肉料理の中で特に人気なのは「サラダチキン」である。低温調理でサラダチキンを作る場合は以下のようにしてみよう。
低温調理を使ったサラダチキンの作り方
- 鶏むね肉に塩コショウをすり込む
- 耐熱用の密閉袋に鶏むね肉を入れて封をする
- 鍋にお湯を用意して低温調理器をセットする
※加熱温度・時間は調理器具の説明書の通りに従う - 粗熱が取れたら適当な厚みにカットすれば完成
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5. 肉の低温調理を行う際の注意点

肉の低温調理で最も注意すべきことの一つが「食中毒」。特に通常の加熱調理と異なり、低温調理の場合は加熱による殺菌が難しいため食中毒のリスクが高くなる。安全に美味しく肉の低温調理を行うためにも、以下で説明しているような注意点を守るようにしよう。
注意1.既定の温度・時間通りに加熱する
厚生労働省は「肉類は75℃で1分以上加熱する」「63℃で30分以上加熱する」などのような食肉の加熱に関する安全基準を設けている(※2)。そのため、肉類の低温加熱を行う際は、これらの安全基準に従って調理するのが重要だ。また、低温調理を行う際は専用の低温調理器を使うのがおすすめ。これらの説明書には加熱時間などが記載されており、食肉を適切に加熱できるようになっている。
注意2.新鮮な食肉を使うようにする
低温調理に使う食肉は、スーパーや精肉店で買ってきた新鮮なものを使うようにしよう。一般的に低温調理機に記載されている加熱時間は「鮮度がいい食材を使っていること」を想定している。そのため、古くなった食肉を使う場合、表示通りに加熱しても殺菌が十分かどうか確認できない。安全に美味しく食べるためにも、低温調理の際は新鮮な食肉を使おう。
注意3.手や調理器具なども清潔にしておく
食肉を調理する際は、手や調理器具などの衛生面にも配慮する必要がある。これは低温調理に限らず調理する際に共通することだが、手やまな板、包丁、皿などにばい菌が付いていると食中毒のリスクは高くなってしまう。そのため、必ず調理場・調理器具なども清潔な状態にしておこう。また、東京都福祉保健局などが説明している「食中毒予防6つのポイント」なども確認しよう(※3)。
6. 肉料理におすすめの低温調理器3選

低温調理器はさまざまなメーカーから販売されており、機能・性能・値段もそれぞれ異なっている。そこで数ある低温調理器の中から、特に肉の低温調理に向いているアイテムを3種類紹介する。
おすすめ1.葉山社中「BONIQ」
「BONIQ(ボニーク)」は、神奈川県三浦郡にある葉山社中が販売している低温調理器である。ボタン一つで簡単に温度や時間を調整でき、温度は0.5℃単位での調節が可能。また、デザイン性が高くスタイリッシであること、参考レシピが充実していることなども魅力となっている。2021年9月中旬頃から、最新モデルの「BONIQ 2.0」をリリースする予定である。
おすすめ2.アイリスオーヤマ「低温調理器(LTC-01)」
「低温調理器(LTC-01)」は、生活用品の企画・製造・販売などを手掛けるアイリスオーヤマの低温調理器である。操作性が高い大きなタッチパネルがあること、1000Wの消費電力によってパワフルに加熱できることなどがポイントとなっている。安定して加熱できるため、肉のうま味をしっかりと閉じ込められるのが魅力だ。
おすすめ3.Azrsty「低温調理器」
「低温調理器(真空調理プロ低速料理 サーキュレーター)」は、Azrstyの低温調理器である。大きなパネルと数値設定用のダイヤルが付いているのが特徴で、使い勝手のよさが魅力となっている。また、リーズナブルな価格であり、初心者にもおすすめの低温調理器といえる。肉料理に使うと柔らかくて仕上がりもよい。
結論
近年、新しい調理方法として注目を集めている「低温調理」。この低温調理で作られた肉料理はジューシーで柔らかく、非常に美味しいものとなる。食中毒のリスクもあるため十分注意する必要があるが、市販されている専用の低温調理機を正しく使えば安全に作ることが可能だ。ローストビーフ・煮豚・サラダチキンなど、さまざまな肉料理にぜひ低温調理を取り入れてみよう。
【参考文献】
- ※1:関西食文化研究会「第30回定期イベント 「肉と火入れの新時代」」
http://www.food-culture.jp/event/regular/190707_onkochishin/report05.html - ※2:厚生労働省「お肉はよく焼いて食べよう」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000049964.html - ※3:東京都福祉保健局「食品衛生の窓 家庭で行うHACCP」
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/haccp/haccp-1.html
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