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穴子とうなぎの違いとは?見た目はそっくりでも値段が違う理由

穴子とうなぎの違いとは?見た目はそっくりでも値段が違う理由

投稿者:ライター 諸田結(もろたゆい)

監修者:管理栄養士 児玉智絢(こだまちひろ)

鉛筆アイコン 2021年8月 5日

穴子やうなぎを食べたり購入したりする際、見た目が同じで迷った経験はないだろうか。とくに調理済みの穴子やうなぎであれば、見分けるのはなかなか難しい。そこで今回は、穴子とうなぎのさまざまな違いについてまとめてみた。生態や見た目の特徴、味わいや栄養素などさまざまな観点から違いを探してみよう。

  

1. 穴子とうなぎは似てるけど別物!生態に違いがある

穴子とうなぎは非常によく似ているが、じつは生態には大きな違いがある。まずは、それぞれの特徴とともに、違いを比較してみよう。

穴子は海水魚

穴子はウナギ目アナゴ科黒アナゴ属に分類される。おもに食べられているのは真穴子という種類。穴子は夜行性で、昼間は基本的に砂泥地の穴などに潜り込んでおり、夜にならないと動かない。穴子は海水魚であるのに対し、うなぎはほとんどの時期を川や湖など淡水の場所で過ごし、産卵や孵化のときだけ海で過ごす降河回遊魚である。

うなぎは回遊魚

うなぎはウナギ目ウナギ科ウナギ属に分類される。淡水に生息していると思われているが、産卵と孵化を海で行う降河回遊魚である。世界には18種類のうなぎが生息しているとされ、日本にはニホンウナギとオオウナギが生息している。環境によって性転換を行うので、雄雌の見分けはかなり難しい。
穴子とうなぎの生態の違いだけを見ても、これだけ大きな違いがあるとは驚きである。

2. 穴子とうなぎの違い:値段を比較

穴子とうなぎは生態だけでなく、値段にも違いがある。それぞれの相場とともに、価格が異なる理由を見てみよう。

穴子とうなぎの値段の相場

穴子やうなぎの値段は店舗や時期などによっても異なるが、一般的な蒲焼き1人前の相場は以下の通り。

穴子...1000円
うなぎ...2000~3000円

相場を見ても分かるように、うなぎのほうが2~3倍も高価なのだ。

うなぎが穴子より高い理由

うなぎは海で産卵して川で生活する生き物のため、飼育が難しい。また、穴子に比べて稚魚などの漁獲量が少なく、量産できないことから価格が高くなってしまう。実際には穴子の漁獲量も減っているが、うなぎのほうが市場規模が大きいためあまり影響がないのだ。穴子の市場規模はうなぎの1/8ともいわれており、日本人の嗜好がうなぎの価格を高騰させているとも考えられる。

3. 穴子とうなぎの違い:見分け方

穴子とうなぎは見た目が非常に似ているように見えるが、実はいろいろなところに違いがある。見た目の違いを覚えておけば、スーパーなどでもパッと見分けられるだろう。

穴子やうなぎの見た目や大きさ

穴子は茶褐色で白い斑点があり、口を閉じると上顎が下顎にかぶさるのが特徴だ。雌のほうが大きく体長は90cmほどにもなる。雄はその半分以下の40cmほど。背側は茶褐色で腹は銀色、側面に白い斑点が並んでいるのが特徴的である。一方でうなぎの見た目は背側が黒く、腹は白い。穴子とは違って斑点はなく、全体が黒いのが特徴である。また、口元は下顎が上顎にかぶさっており、穴子とは、真逆の見た目だ。体長は60cmほどだが、大きいものになると1mを超えるものもいるらしい。

穴子やうなぎの旬の季節

穴子の旬は夏で、春に稚魚であるノレソレが漁獲される。うなぎの旬は冬眠時期をのぞく5~12月頃であるが、天然物は非常に稀である。じつは穴子の旬は冬にもあるため、旬の時期だけで見分けるのはなかなか難しい。種類や産地によっては同じ時期にどちらも流通している場合もあるため、旬ではなく見た目の違いなどで見分けよう。

4. 穴子とうなぎの違い:味や食べ方を比較

穴子とうなぎはよく似ているが、味わいや食べ方にも違いがある。ここではそれぞれの食べ方の特徴や、地方による違いなどを比較してみよう。

穴子の味の特徴

穴子は甘辛く煮て寿司のネタにしたり、サクサクの天ぷらにして食べると美味しい。また、蒲焼きや白焼きなどでも親しまれている。穴子は比較的あっさりとした味わいで、しつこくないのが特徴である。そのため、揚げ物や味の濃い料理にしても飽きることなく食べられる。穴子に含まれる旨み成分であるアミノ酸の含有量は以下の通り。(※1)

イソロイシン...830mg
ロイシン...1400mg
リシン...1600mg
トレオニン...780mg
アルギニン...1100mg
アラニン...1000mg
アスパラギン酸...1700mg
グルタミン酸...2400mg
グリシン...970mg

アミノ酸合計...17000mg

うなぎの味の特徴

うなぎは穴子に比べて濃厚でこってりとした味わいが特徴だ。脂が多く含まれているため、蒲焼きや白焼きなどのシンプルな料理に適している。ちなみに、うなぎに含まれる主なアミノ酸は以下の通り。(※2)

イソロイシン...630mg
ロイシン...1100mg
リシン...1300mg
トレオニン...730mg
アルギニン...1100mg
アラニン...1200mg
アスパラギン酸...1500mg
グルタミン酸...2200mg
グリシン...1700mg

アミノ酸合計...17000 mg

穴子とうなぎの主なアミノ酸を比べても、旨みにはほとんど違いがないと分かる。

穴子の蒲焼きにうなぎのタレは使える?

穴子とうなぎはどちらも蒲焼きにして丼にすると美味しい。しかし、それぞれに使われているタレの味は少し違う。うなぎのタレを使って穴子の蒲焼きを作ってももちろん美味しいが、あっさりとした味わいの穴子には「ツメ」と呼ばれる穴子用のタレが合うのだ。ツメは穴子の骨や野菜などを煮詰め、醤油などの調味料を加えて作られる濃厚なタレである。

関東・関西でも食べ方に違いあり

穴子は関東では江戸前寿司のネタとして知られる存在で、甘辛く煮たものが一般的。ほかにも穴子は江戸前天ぷらのネタとしても愛されてきた。江戸時代に花咲いた寿司や天ぷらといった食文化に、穴子は広く用いられているところも特筆すべき点である。ちなみに関西では穴子は焼いて食べるのが一般的。白焼きや蒲焼きにして食べることが多いそうだ。うなぎは、関東風というと背開きにして焼いてから蒸したものを指す。対して関西風というと腹開きにして焼いたものである。背開きと腹開きの違いは、一説には江戸には武士が多かったためといわれている。武士にとって腹を切る=切腹になるので、縁起が悪いとされ、背開きになったようだ。

5. 穴子とうなぎの違い:栄養を比較

味や特徴の違いが分かったところで、最後に栄養価を比較してみよう。

穴子の栄養価

穴子100g中に含まれる主な栄養素は以下の通り。(※1)

EPA...560mg
DHA...550mg
たんぱく質...17.3g
ビタミンA...500μg
ビタミンE...2.3mg
カルシウム...75mg

穴子にはコレステロール値を下げたり、ガン予防やアレルギー症状を緩和したりするEPAが豊富に含まれている。また、神経維持や認知症の予防効果が期待できるDHAも豊富である。魚の中ではトップクラスの含有量を誇るビタミンA、良質なたんぱく質、ビタミンEやカルシウムなど多くの栄養が含まれているのが特徴である。ビタミンAは目や粘膜の健康維持、眼精疲労の回復などに効果が期待できる。ビタミンEは高い抗酸化作用、カルシウムは骨粗しょう症の予防など、穴子だけでもこれだけの効果が期待できるのだ。

うなぎの栄養価

続いて、うなぎ100g中に含まれる主な栄養素は以下の通り。(※2)

EPA...580mg
DHA...1100mg
たんぱく質...17.1g
ビタミンA...2400μg
ビタミンE...7.5mg
カルシウム...130mg
亜鉛...1.4mg
ビタミンB1...0.37mg
ビタミンB2...0.48mg

必須脂肪酸であるEPAやDHAをはじめ、ビタミン類やカルシウムなどが穴子と同様に豊富に含まれているのが分かるだろう。また、味覚機能や免疫機能など、体内のさまざまな機能を正常に働かせるサポートをしている亜鉛も豊富である。ほかにも、ブドウ糖をエネルギーに変換するサポートをするビタミンB1や、糖質・たんぱく質・脂質などをエネルギーに変換するサポートをしているビタミンB2も豊富だ。穴子と比較するとビタミンAやDHAの数値が非常に高いのが分かるだろう。どちらも魚の中では良質な脂肪酸を含んでいるが、DHA含有量に関してはうなぎのほうが多い。

コレステロールやカロリーはうなぎより穴子のほうが低い

うなぎは土用の丑の日という習慣もあるように、夏バテ防止や滋養強壮の目的で古くから食べられてきた。これはうなぎが多くの栄養素を含んでいるからである。とくに、ビタミンAをはじめとするビタミン類が豊富に含まれている。もちろん穴子にも含まれてはいるものの、ここまで特記するほどではない。うなぎは特別、栄養価が高いといえるだろう。また、うなぎに含まれている脂質は穴子よりも多く、カロリーが高い。味わいもうなぎのほうが穴子よりはるかにこってりしている。脂質やコレステロール値、カロリーなどを気にするのであれば穴子がおすすめである。また、疲れたときの疲労回復や夏バテ予防として食べるのであればうなぎをおすすめする。状況によって食べ分けながら、両方の美味しさを楽しんでみてほしい。

結論

穴子とうなぎは似ているようで、じつは全く異なる食べ物だと分かった。生態や見た目、味だけでなく栄養素も異なる部分があるのだ。今回紹介した違いを参考にしながら、それぞれの美味しさを食べ比べてみてほしい。穴子には穴子の、うなぎにはうなぎの美味しさが感じられるだろう。
(参考文献)(レギュレーションに則り、必要に応じて参考文献を追加してください)
※1参照:文部科学省「食品成分表 穴子」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=10_10015_7&MODE=4
※2参照:文部科学省「食品成分表 うなぎ」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=10_10067_7&MODE=4
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  • 公開日:

    2020年1月13日

  • 更新日:

    2021年8月 5日

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