1. つぶ貝の唾液腺は取らないと危険!正しい取り方を覚えよう
一般に「真つぶ」や「青つぶ」と呼ばれるエゾボラ科の貝類には、唾液腺と呼ばれる部位にテトラミンという毒素が含まれており、白くブヨブヨしていることから北海道ではこの部分を「アブラ」と呼ぶことがある。
テトラミンはつぶ貝がエサを捕食する際に麻痺させるために使われるものである。テトラミンの含有量はつぶ貝によって個体差はあるものの、つぶ貝1個分の唾液腺で中毒を起こす量に達するものもあるので注意したい。そのまま食べた場合、30分から1時間程度で物が二重に見える視覚異常やめまい、頭痛、船酔い感などが現れることから必ず取り除く必要がある。しかし実際にはテトラミンによる死亡例はなく、数時間で回復することが多いようだ。(※1)
つぶ貝の処理方法
- つぶ貝の身を貝から取り出し内臓と肉を切断する。
- 貝のふたを下にして切り口を入れ開く。
- 白っぽいブヨブヨしたものが唾液腺なので指でしごいて取り外す。
- よく確認し、水で洗い流す。
2. つぶ貝の唾液腺は加熱調理する時も取る必要ある?
つぶ貝はサザエやアワビほどではないが適度な歯ごたえがあり、ほのかな旨みと甘みがある。淡白な味であるため刺身だけでなくさまざまな料理に使われている食材だ。そのため、刺身だけでなく網で焼きならが醤油をたらす網焼きや、寒い時期になるとおでんの具として、ほかには煮付けやアヒージョのように煮込む料理もある。
しかし、つぶ貝の唾液腺の毒は非常に熱に強く加熱しても分解されることがないため、これらの調理を行う場合にも唾液腺は取り除く必要がある。また、水溶性の毒であることから唾液腺を取らずにそのまま煮てしまうと、身の部分や煮汁にも一部ではあるが移行してしまうため、必ず調理前に取り除いてほしい。網焼きであれば一度殻から中身を取り出して内臓と唾液腺を取り除いてから殻に戻すという作業が必要になるのだ。(※2)
3. 唾液腺をしっかり処理したら美味しく食べられる!おすすめメニューは?
唾液腺に含まれるテトラミンについて触れてきたが、死亡例がなく簡単に処理できることから、唾液腺を取り除きさえすればおそれる必要はない。(※3)むしろ非常に美味しい食材であることから積極的に味わってほしい。ここではつぶ貝のおすすめメニューを紹介する。
刺身
やはり、まずは定番の刺身で食べたい。殻を使わないのであればハンマーで割り、内臓、唾液腺を取り除いたら、塩を付けてこすり洗いするとヌメリが取れる。スライスにして切り分けるが、表面がツルツルしていて箸が滑りやすいことから「小波切り(さざなみぎり)」といって表面をギザギザにして切ると滑り防止になり食べやすい。
網焼き
一度殻から身を取り出して唾液腺を取り除いてから、また殻に戻す。手間のように感じるかもしれないが、どの料理法でも唾液腺は取り除かなくてはいけないため、実際の手間は同じである。それよりもつぶ貝を網で焼きながら醤油をたらして食べる香ばしさは、堪らなく食欲をそそるものである。つぶ貝の本場北海道では、屋台のこの香りに引き寄せられる客も多い。
アヒージョ
オリーブオイルに鷹の爪、にんにくを入れつぶ貝を煮込んで塩こしょうで味を調えるだけなので簡単に作ることができる。バゲットをオイルに漬けながら楽しみたい。
結論
つぶ貝の唾液腺はテトラミンという毒素を持っている。そのまま食べると30分から1時間後に視覚異常やめまい、頭痛、船酔い感などの症状が現れるがこれまで死亡例はない。しかし、テトラミンは加熱しても分解されず、水溶性のため必ず取り除いてから調理する必要がある。コリコリした食感で生でも煮ても焼いても美味しく食べられ、唾液腺の除去も難しくないことからつぶ貝の調理にもチャレンジしてみてほしい。
(参考文献)
※1 厚生労働省 「自然毒のリスクプロファイル」
https://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/animal_14.html
※2 宇都宮市 「ツブ貝による食中毒にご注意ください」
https://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/kurashi/eisei/shokuhin/1005468.html
※3 食品安全委員会 「ハザード概要シート(テトラミン)」
https://www.fsc.go.jp/sonota/hazard/doubutu_9.pdf
※1 厚生労働省 「自然毒のリスクプロファイル」
https://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/animal_14.html
※2 宇都宮市 「ツブ貝による食中毒にご注意ください」
https://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/kurashi/eisei/shokuhin/1005468.html
※3 食品安全委員会 「ハザード概要シート(テトラミン)」
https://www.fsc.go.jp/sonota/hazard/doubutu_9.pdf
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