1. クレープシュゼットとは
日本でクレープといえば、生地の中に生クリームやフルーツを入れて巻いたものが定番だが、本場フランスでは、折りたたんだクレープを皿の上に平たく盛りつけ、ナイフとフォークを使って食べることが多い。では、クレープとクレープシュゼットにはどのような違いがあるのだろうか。
偶然が生んだデザート「クレープシュゼット」
クレープシュゼットを考案したのは、アンリ・シャルパンティエという人物だ。19世紀の料理人である同氏は、砂糖とオレンジで味付けしたクレープを不注意からフランベしてしまう。しかし、その味わいが見事であったことから、当時のイギリス皇太子(のちのイギリス国王エドワード7世)に献じたところいたく気に入られ、そのクレープには皇太子の恋人の名である「シュゼット」が与えられたといわれている。このエピソードからもわかるように、クレープシュゼットでは、それまで使われなかったフランベという調理法が用いられていることが、クレープとの大きな違いなのである。
ほろ苦く甘い濃厚ソースともっちりとした食感を味わう
クレープシュゼットは、フランベによりオレンジの風味豊かなカラメルソースが温められ、濃厚でほろ苦い甘さをまとい、もっちりとした食感が醸し出される。日本でも、老舗ホテルなどに赴けば、本格的なワゴンサービスを受けながらクレープシュゼットを味わうことが可能だ。
2. フランベして作る本格クレープシュゼット
フランベは、調理途中や仕上げの段階で、リキュールやブランデーなどをふりかけ、火をつけることでアルコールを飛ばす調理法だ。フランベした食材には、リキュールの香りや風味が移り、味わいを豊かにしてくれる。続いては、クレープシュゼットに使われるリキュールについて見ていこう。
クレープシュゼットのフランベに使われるリキュールとは
クレープシュゼットには、オレンジリキュールのグランマルニエが使われている。グランマルニエは、高温で調理しても香りが飛びにくく、味に深みをプラスしてくれるためフランベをする料理に使われやすい。同じくオレンジリキュールのコアントローもクレープシュゼットに使われる頻度は高いため、あわせて覚えておくとよいだろう。
クレープシュゼットはデザート&食後酒である
フランスでは、コース料理の前後に蒸留酒を楽しむ文化があることはご存知の方も多いだろう。酒造技術が古くから培われていた土地ならではの文化だが、クレープシュゼットはリキュールを使ったフランベを行うため、デザートと食後酒、双方のイメージをもって提供される特徴がある。食べる順番に迷ったときには、ぜひ思い出してみてほしい。
3. クレープシュゼットを簡単に作るには
本格的なクレープシュゼットでは、その場で絞ったフレッシュなオレンジ果汁が使われることも多いが、家で楽しむときにはオレンジジュースを代用品として使うと簡単に調理ができる。あわせてマーマレードジャムとレモン汁を加えれば、クレープシュゼットソースの完成だ。クレープは1から材料をそろえて手作りすることも可能だが、すでに調理済みのクレープとソースがセットになった商品がネット通販などで販売されていることをお伝えしておきたい。クレープシュゼットを簡単に作りたいときには、購入を検討してみるとよいだろう。
4. オレンジ以外のクレープシュゼット
クレープシュゼットは一般的にオレンジソースで作られるが、オレンジ以外の果物を使って作ることも可能である。方法は、材料内のオレンジジュースやオレンジの果肉を、好みの果物に変えるだけだ。オレンジ以外の果物では、りんごやレモン、みかんなどを使ったクレープシュゼットが作られている。果物を変えたら、それぞれの甘みに応じて砂糖などの分量を微調整するとよいだろう。また、フランベするリキュールをそれぞれの果物に応じたものに変え、ひと味違ったクレープシュゼットの風味を楽しんでみることもおすすめである。
結論
クレープシュゼットの歴史や特徴、味わいなどを知っていくと、ただ甘いだけでないデザートであることがわかってくる。オレンジジュースやマーマレードを使うと自宅でも手軽に作れるため、機会があればぜひ味わってみてはいかがだろうか。
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