1. ラカントSとは
ラカント誕生の背景
ラカントの正式名称は、ラカントS。衛生、環境、健康を事業の柱とするサラヤから発売されている甘味料だ。洗剤などを扱う企業としてサラヤを認識している人もいるだろう。サラヤは個人だけでなく企業、医療関係にも幅広く商品を届けており、商品数のバリエーションも非常に多い。
そんなサラヤがラカントの発売に乗り出した背景には、人々の健康に対する憂いがあった。戦後目覚ましい経済成長を迎えた日本は、飽食の時代を迎える。しかし次第に、生活習慣病をはじめとする現代病への危惧がそこかしこでみられるようになる。結果、人々の関心は徐々に健康へと向いていった。1980年代になるとヘルシーという謳い文句で、合成甘味料が登場する。その反面、安全性についてはつねに議論がなされていた。
その現状を踏まえ、サラヤが発売したのが、低カロリーの天然甘味料「トーカット」である。これはラカントSの前身ともいえる存在で、昔から日本で食されてきた甘草を使った調味料であった。しかし、甘草は独特の風味があり、砂糖の代替え品には、なりきれない。より質のいい自然派原料を探した末、たどり着いたのが羅漢果である。
羅漢果とは
羅漢果は、中国広西チュワン族自治区の桂林原産のウリ科の多年生つる草本。ブドウのように棚を作って栽培され、緑色の果実をつける。この果実は古くから漢方薬としても珍重されてきた。栽培が難しいことから、中国では保護植物として扱われ、国外への持ち出しが禁じられている。この羅漢果から取れるエキスを使っているのがラカントSである。
一般的な羅漢果エキスは、砂糖の50倍ほどの甘さ。これだけでもすごい甘さだが、サラヤのラカントSに使われているものは、砂糖の300倍の甘さだ。この高純度羅漢果エキスは、サラヤの特許製造品。1kgから10gしか取れない希少なエキスが原料の一部になっている。
ラカントSとして発売
ラカントが誕生したのは、1995年。トウモロコシの発酵から抽出した天然甘味成分「エリスリトール」と合わせて植物由来100%の甘味料として世に登場する。その後も改良を重ね、1999年に砂糖と同じ甘さに到達。2003年になると液体タイプもラインナップ。アメリカにも渡り、さまざまな商品とのコラボレーションも実現している。
2. ここがすごい!ラカントS
カロリーも糖類もゼロ
天然成分だけを合わせた自然派生まれの甘味料でありながら、カロリーはゼロ。成分表を見ると炭水化物が100gあたり99.8g含まれているが、これはエリスリトールの糖質分。しかしこれらは、血糖値にはほとんど影響を与えないため、実質熱量はないという計算になる。体重管理をしたい人、糖質制限している人、ロカボを実践している人などの強い味方になってくれそうだ。
砂糖と同じ甘さ
砂糖と同じ甘さなので、特別な換算をする必要はなし。レシピ通り、いつも通り使えばいいだけと、置き換えが非常に簡単。手軽にカロリーオフできる。
加熱もOK
ラカントSは熱に強い。甘みが損なわれることがないため、料理や高温で焼き上げるお菓子にもぴったり。低カロリー甘味料は一般的に苦味や独特の甘みがあるものが多いが、そういった心配がないところも優秀だ。
3. ラカントSを使う際の注意点
焦げ目はできない
ラカントSは、カラメル化やメイラード反応が起こらないので、照りを出したい場合は、みりんを加えるなどの工夫をするのが正解。カラメルはできないので、砂糖を使って作ろう。
ふっくら食感は砂糖をミックス
ラカントSは、砂糖に比べると保水力が弱い。保水力はお菓子をふっくらした食感に仕上げるのに欠かせない要素なので、ラカントSだけで仕上げると硬くなってしまう場合がある。お菓子作りの際には、砂糖の半分から15%ほどをラカントSに置き換えるのがおすすめ。ちなみにパンを焼くときに、イーストに砂糖を合わせて発酵を促すが、ラカントSは栄養にならないので、置き換えはできない。
顆粒とシロップの使い分け
顆粒は、焼き物や煮物、お菓子作りに向いている。対してシロップは溶けやすいので和え物やマリネ、そのままヨーグルトにかけるなどといった使い方が吉。とくに冷たい料理にはシロップが向いている。上手に使い分けをすることで、ラカントSの利点をさらに楽しむことができそうだ。
結論
ラカントSは、古くから漢方薬として使われてきた中国原産の羅漢果の高純度エキスとトウモロコシの発酵などから得られるエリスリトールを合わせて作られた植物由来の甘味料だ。カロリーと糖類がゼロなので、甘みがほしいけれど、さまざまな理由で控えたいという人はもちろん、糖質過多になりがちな現代人の強い味方といえそうだ。
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