1. ハンバーガーの栄養
ハンバーガーは、主にバンズと呼ばれるパン、ハンバーグ(パティ)、野菜で構成されている。まずは、ハンバーグにどのような栄養素が含まれているのか見ていこう。
たんぱく質
肉や魚、卵、豆などに含まれる主な栄養成分である。エネルギー産生栄養素の一つであるとともに、動物や植物の細胞を構成する主要な成分だ(※1)。ハンバーガーの具材であるハンバーグ(パティ)は牛肉や豚肉で作られているため、たんぱく質が多く含まれる(※2)。
脂質
エネルギー産生栄養素の一つで、エネルギー源として働くほか細胞膜を構成したりする役割ももつ。余剰分は体内に蓄積される。(※3)油脂の主要成分であり、肉や魚の脂、卵にも含まれる。ハンバーグには牛肉や豚肉の脂が使用されているが、フライを具材としたバーガーも脂質が多くなりやすい。(※2)
炭水化物・糖質
エネルギー産生栄養素の一つである。炭水化物から体内で消化されない食物繊維を除いたものが糖質で、エネルギー源として働く。余剰分は脂質と同様に中性脂肪となり、体内に蓄積される。(※4)主にパン(バンズ)に多く含まれる(※2)。
ナトリウム
ミネラルの一種で、主に食塩として摂取される。体液の浸透圧の調整などの働きをする人体に必要な栄養素だが、欠乏することはほとんどない。過剰摂取にリスクがあるため摂取量の減少が望ましい。(※5)ハンバーガーの味付けとして、下味用の塩やソースなどに含まれる。
食物繊維
消化酵素で消化されず、大腸まで達する栄養素である。主に、便の体積を増やし便通を促す働きをする。動物性食品にはほとんど含まれず、豆や穀類、きのこ、野菜などの植物性食品に多く含まれる。一般的なハンバーガーにはあまり含まれていない。(※6)
2. 各店のハンバーガーのカロリーを比較
ハンバーガーは、店によって大きさや使用食材、製法が異なる。提供メニューに違いがあるだけでなく、同じ名称のメニューであってもカロリーに差が出ることは少なくない。そこで、有名な各ファストフード店の主力商品のカロリーを比較してみよう。
マクドナルド
- ハンバーガー:256kcal
- チーズバーガー:307kcal
- てりやきマックバーガー:478kcal
- フィレオフィッシュ:323kcal
- ビッグマック:525kcal
バーガーキング
- ハンバーガー:325kcal
- チーズバーガー:364kcal
- ワッパー:676kcal
- テリヤキワッパー:687kcal
- タルタルチキンバーガー:429kcal
モスバーガー
- ハンバーガー:308kcal
- モスバーガー:367kcal
- テリヤキバーガー:377kcal
- フィッシュバーガー:385kcal
- 海老カツバーガー:430kcal
ドムドムハンバーガー
- ハンバーガー:305kcal
- チーズバーガー:348kcal
- てりやきバーガー:385kcal
- 甘辛チキンバーガー:453kcal
- エビカツバーガー:328kcal
フレッシュネスバーガー
- フレッシュネスバーガー:385kcal
- チーズバーガー:393kcal
- テリヤキバーガー:344kcal
- フィッシュバーガー:431kcal
- クラシックバーガー:418kcal
ケンタッキー
- チキンフィレサンド:415kcal
- ダブルチキンフィレサンド:697kcal
- 和風チキンカツサンド:478kcal
コメダ珈琲
- ドミグラスバーガー:710kcal
- コロッケバーガー:730kcal
- エッグバーガー:782kcal
- フィッシュフライバーガー:760kcal
クアアイナのハンバーガーのカロリーは?
ハワイ発祥のバーガーショップ、クアアイナでは、創業当時よりカロリー計算や表示を実施していない。豪快に食べることでハンバーガーの美味しさを楽しんでほしいという思いからだ。今後実施する可能性はあるが、2021年8月現在は検討していないとのことである。
3. ハンバーガーのカロリーが高くなりがちな理由
ハンバーガーのカロリーは、内容によっても店によっても異なるが、低いものでも250~300kcal、高いものでは700kcalを超えてしまう。ハンバーガーは一般的に高カロリーな食べものといわざるを得ない。では、なぜカロリーが高くなりがちなのだろうか。
パティやバンズ、ソースなど高脂質・高糖質の材料が多い
ハンバーガーに使用される食材は、脂質や糖質が高いものが多い。たとえば、一般的なパティ(ハンバーグ)には牛ひき肉が使われる。生の牛ひき肉のカロリーは100gあたり251kcalで、脂質は21.1gも含まれているのだ(※7)。また、バンズ(パン)の主要な栄養成分は糖質である(※2)。さらに、ソースにも牛脂や砂糖などが使用される。脂質、糖質ともにエネルギー産生栄養素(※3、4)であるため、必然的に高カロリーになるのだ。
4. ハンバーガーセットはさらに高カロリー
ファストフードでハンバーガーを食べる際、単品のほかサイドメニューやドリンクが付くセットで注文する方法もある。しかし、ハンバーガーセットは単品よりもさらに高カロリーになりやすい。組み合わせ方によっては、軽く1000kcalを超えてしまうため注意が必要だ。代表的なサイドメニューとドリンクのカロリーを紹介する。
サイドメニューのカロリー
- マックフライポテト(M):410kcal(マクドナルド)
- フレンチフライポテト(L):341kcal(モスバーガー)
- チリチーズフライ:314kcal(バーガーキング)
- チキンマックナゲット5ピース:270kcal(マクドナルド)
- モスチキン:269kcal(モスバーガー)
- シャカチキ:243kcal(マクドナルド)
- オニオンフライ:250kcal(モスバーガー)
- ハッシュブラウン:116kcal(バーガーキング)
- ホットアップルパイ:211kcal(マクドナルド)
- わたくしのショコラパイ:229kcal(バーガーキング)
ドリンクのカロリー
- マックシェイクバニラ(M):353kcal(マクドナルド)
- モスシェイクコーヒー(M):290kcal(モスバーガー)
- カナダドライジンジャーエール(M):111kcal(バーガーキング)
- Qooすっきり白ブドウ(M):146kcal(マクドナルド)
- ファンタメロンソーダ(M):144kcal(バーガーキング)
- スプライト(M):124kcal(マクドナルド)
- ミニッツメイドオレンジ(M):135kcal(バーガーキング)
- アイスカフェラテ(M):104kcal(マクドナルド)
- コーンスープ:146kcal(モスバーガー)
- クラムチャウダー:119kcal(モスバーガー)
5. 減量中にハンバーガーが食べたいときは?
カロリーや糖質を制限しているときでも、ハンバーガーが食べたくなることがあるかもしれない。頻繁に食べることはもちろんおすすめできないが、我慢し過ぎるのもよくない。次のようなポイントを意識しながら食べるとよいだろう。
野菜から先に食べるなど「食べ方」を工夫する
サイドメニューのサラダを注文し、ハンバーガーより先に野菜から食べよう。またドリンクも、糖分の多いジュースではなく無糖のお茶などを選び、水分を摂りながら食べるとよい。低カロリーな野菜やドリンクで空腹を落ち着かせることにより、高カロリーなハンバーガーの食べ過ぎを防げる。
翌日のカロリーを抑えるなど「バランス」を考える
ハンバーガーを食べてカロリーを摂り過ぎた場合は、翌日の食事で調整しよう。主食の量を減らし、植物性のたんぱく質や野菜中心の低カロリーな献立にすることで、カロリーの調整だけでなく栄養バランスを整えることもできる。
6. ハンバーガーのカロリーオフは可能?
ハンバーガーは高カロリーな食べものだが、工夫次第でカロリーを抑えることもできる。カロリーや糖質が気になる人のために、低糖質、低脂質のハンバーガーを販売している店もある。
低カロリー・低糖質のハンバーガーを選ぶ
- ハンバーガー:256kcal(マクドナルド)
- ソイ野菜ハンバーガー:260kcal(ロッテリア)
- モスの菜摘(なつみ)モス野菜:207kcal
- モスの菜摘(なつみ)テリヤキチキン:186kcal
モスバーガーで販売されている「モスの菜摘(なつみ)」シリーズは、バンズの代わりにレタスを使用したハンバーガーだ。カロリーだけでなく、糖質量も10g程度と低い。種類も豊富なため、カロリーや糖質を抑えたい場合におすすめである。マクドナルドでは、オーソドックスなハンバーガーが比較的低カロリーである。ロッテリアのソイ野菜ハンバーガーはモーニングメニューで選ぶことができる。低糖質ではないが、大豆を使用したパティが特徴で低脂質だ。
低カロリー・低糖質のハンバーガーを手作りする
身近なファストフードショップに低カロリーや低脂質のハンバーガーがない場合は、手作りする方法もおすすめだ。自分で大きさを調整できるほか、野菜をたっぷり挟んでボリュームを出す、バンズをレタスにする、ソースの量を控えめにする、脂質の少ない食材でパティを作るなど、さまざまな工夫が可能である。
7. ハンバーガーのカロリーが気になるなら食べ方に工夫を
ハンバーガーはエネルギー源となる食材を組み合わせて作られているため、基本的に高カロリーである。気になる場合は、低カロリーなメニューを組み合わせる、ほかの食事で調整するなどの工夫をしよう。カロリーが低めのハンバーガーを選ぶ、手作りするという方法もあるため、自分に合った方法を取り入れるとよいだろう。
結論
カロリーが気になる場合でも、量や栄養バランスを意識して食べ方を工夫すれば、ハンバーガーを楽しむことはできる。カロリーや糖質の高いハンバーガーを食べてしまった場合でも、翌日にセーブするなど調整すればよいのだ。あまり細かく考え過ぎずに美味しく食べるということも大切である。
(参考文献)
※1、3、4、5、6 厚生労働省e-ヘルスネット
※1「たんぱく質」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-044.html
※2 厚生労働省「六つの基礎食品」
https://www.eiyou-chiba.or.jp/wp-content/uploads/2011/08/bd7c37506faa0e87b719cc8f50f45a7b.pdf
※3「脂肪 / 脂質」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-014.html
※4「炭水化物 / 糖質」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-018.html
※5「ナトリウム」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-024.html
※6「食物繊維の必要性と健康」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
※7 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」肉類/<畜肉類>/うし/[ひき肉]/生
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=11_11089_7
※1、3、4、5、6 厚生労働省e-ヘルスネット
※1「たんぱく質」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-044.html
※2 厚生労働省「六つの基礎食品」
https://www.eiyou-chiba.or.jp/wp-content/uploads/2011/08/bd7c37506faa0e87b719cc8f50f45a7b.pdf
※3「脂肪 / 脂質」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-014.html
※4「炭水化物 / 糖質」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-018.html
※5「ナトリウム」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-024.html
※6「食物繊維の必要性と健康」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
※7 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」肉類/<畜肉類>/うし/[ひき肉]/生
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=11_11089_7