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味噌の種類と違いとは?色や原料の違いを専門家に聞いてみた

味噌の種類と違いとは?色や原料の違いを専門家に聞いてみた

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:東京農業大学 醸造科学科 教授 前橋健二(まえはしけんじ)

鉛筆アイコン 2021年9月16日

日本人の食生活に欠かせない味噌。ほとんど毎日といっていいほど、味噌汁が食卓に並ぶ方も多いだろう。一方で、普段の買い物の際に、あまり考えずに味噌を選んでいないだろうか?今回は、豊富な味噌の種類がどのような違いによって生まれるのか、普段の食生活にはどのように摂り入れるべきか、東京農業大学醸造科学科の教授、前橋健二先生に詳しく聞いてみた。

  

1. 味噌の原料の違い


ー味噌には大豆以外にどのような原料が使用されているのでしょうか?

味噌は、大豆を麹の働きで発酵熟成したもので、使う麹の原料によって味噌の種類が分かれ、米味噌、麦味噌、豆味噌、調合味噌の4種類にわかれます。

味噌の原料

米味噌の原料は大豆と米と塩ですが、米は米麹にして大豆に加えられます。麦味噌の原料は大豆と大麦と塩ですが、大麦は麦麹にして大豆に加えられます。豆味噌の原料は大豆と塩のみで、大豆すべてを麹にして豆麹を作り、塩と混ぜます。
その他、違う種類の麹を組み合わせて作った味噌や、異なる麹原料の味噌を混ぜたものは調合味噌と呼ばれます。
このように、味噌の原料には大豆と塩が必ず使われていて、麹の原料は大豆のほかに米や麦が使われるということになります。

原料の配合割合による違い

味噌は原料の違いによって味や香りは大きく変わりますが、原料の配合割合によっても味は大きく変わります。
米味噌や麦味噌の場合、大豆に対する米や麦の使用割合を麹歩合といいます。麹の使用割合が大きいほど、味は甘くなります。例えば、8割麹の米味噌という場合は、大豆と米麹が10:8で混合されているのもであり、10割麹という場合は大豆と米麹が等量使われています。米や麦はでんぷんを多く含む原料なので、これらの割合が多いとでんぷんからブドウ糖がたくさんできて甘味の強い味噌になります。豆味噌だけは原料すべてを麹にするので麹歩合を考える必要はありません。

塩の割合と味の違い

糀に対する塩の使用割合を塩切り歩合といいます。これは、味噌造りでは塩は麹と混ぜてから蒸大豆と混合されるからです。塩を加えた麹を塩切り麹とよびます。
塩切り歩合が高いと塩辛い味噌になり、塩切り歩合が低いと甘口の味噌になりますが、一般ではあまり塩切り歩合という言葉が使われることはありません。辛口味噌といったら食塩11%~12%、甘口味噌といったら食塩7~12%、甘味噌といったら食塩5%~7%になっています。

ー原料だけでなく、それぞれの配合割合によっても味噌の味わいが変わるんですね。他にも味噌の種類があれば教えてください。

米味噌、麦味噌、豆味噌、調合味噌のほかに、嘗め味噌というのがあります。嘗め味噌はおかず味噌ともいい、ご飯のお供にして食べる味噌です。金山寺味噌や鯛味噌などがよく知られているでしょう。嘗め味噌は醸造嘗め味噌と加工嘗め味噌にわかれます。醸造嘗め味噌は大豆と麹のほか野菜類を加えて発酵させて作られる味噌です。加工嘗め味噌は普通の味噌に砂糖、水あめ、調味料などを加えて練り上げた後に野菜や肉などの具を混ぜて作られるものです。
ちなみに、醸造嘗め味噌の中には、浜松の浜納豆や京都の大徳寺納豆も含まれます。これらは納豆といっても糸は引かず、煮大豆の粒に麹を生やしてから塩漬けにして発酵さたもので、味噌の原型ともいえます。

2. 味噌の色の違い


ー味噌の種類と言えば、味の違いだけではなく、色の違いも印象的です。この色の違いはなぜ生まれるんでしょうか?

米味噌や麦味噌は、色の違いで白味噌、淡色味噌、赤色味噌に分けられます。
味噌の色は、熟成中に化学反応で形成されます。これはアミノカルボニル反応とかメイラード反応と呼ばれるもので、糖とアミノ酸が反応することで褐色の色素が作られます。
この色素が少ないと黄色っぽく、白味噌と呼ばれます。褐色色素がたくさんつくられると赤褐色になり、赤色味噌と呼ばれます。その中間の色の味噌は淡色味噌または中味噌と呼ばれます。

白味噌の種類

白味噌の代表には京都の西京味噌、広島の府中味噌、香川の讃岐味噌などがあります。赤色味噌の代表には仙台味噌や秋田味噌などがあります。淡色味噌の代表は信州味噌です。

ー色の違いは原料の違いではなく、化学反応による違いだったんですね。この化学反応の違いはどのように生じているのでしょうか?

味噌の色が変わる理由

熟成期間が長いほどメイラード反応がよく進行していて色が濃くなります。つまり色の濃さから熟成期間が長いことがわかります。赤色味噌は1年から3年くらいかけて熟成させるので、しっかりと色付いています。赤色味噌製造では、大豆を煮るのではなく蒸すことも着色を促進させることにつながっています。
逆に白味噌の製造は、5日から7日程度しかかけていません。白味噌は麹の使用割合が極端に高くて塩分が非常に低いので、高めの温度で麹の酵素作用を促進させて短期間でつくるのです。白味噌製造では他にも大豆を煮たり皮を除いたり等と、少しでも色が淡くなるよう努力してつくられます。
淡色味噌は赤色味噌ほどではありませんが、じっくり時間をかけて発酵熟成させることで、ほどよい色合いにします。淡色味噌製造は、ちょうど酵母が旺盛に発酵し終わったくらいの期間であるため、発酵香が豊かであることも特徴です。

豆味噌は全て赤味噌

豆味噌は、熟成に長期間かかるので、色は非常に濃くなり、黒に近い赤色です。赤味噌というと、ふつう豆味噌のことを指しますが、豆味噌自体の色はほとんど黒色で、味噌汁にすると赤色になります。

3. 味噌の種類と栄養


ー味噌には原料の違いや熟成の違いにより、味わいや色に変化が生まれることがわかりました。こうした違いにより、味噌の栄養成分にも差は生じますか?

原料の違いによる栄養の違い

味噌は、栄養や機能性に富む食品ですが、その効果を多くは大豆によるものです。従って、大豆の健康効果を最も多く得られるのは、大豆だけで作られる豆味噌といえるでしょう。大豆の主要成分であるタンパク質、タンパク質が麹菌の酵素で分解してできたペプチドやアミノ酸、また大豆に特徴的に含まれるイソフラボンなどが代表的な健康成分です。これらは血圧低下作用、疲労回復、がん抑制、カルシウム吸収促進、抗酸化性などの効果が知られています。
米味噌や麦味噌には米麹や麦麹の効果が加わります。米味噌に含まれる米麹成分は甘酒と同じで、ブドウ糖、オリゴ糖、米タンパク質分解物、米や麹菌由来の食物繊維、セラミド、フェルラ酸などの抗酸化物質、遊離アミノ酸、ビタミンB群などが含まれます。これらは麹菌酵素の働きで発酵中に生まれるもので、腸内環境改善や美容美肌、疲労回復効果などがあります。また、米味噌や麦味噌では酵母がよく発酵するので、脂肪酸エステルやHEMFという香気物質などが生まれます。ある種の脂肪酸エステルには発がん抑制効果が、HEMFには抗腫瘍効果・抗酸化効果が期待されています。

色の違いによる栄養の違い

白味噌は、米麹の使用量が大きいので、米麹、すなわち甘酒の栄養・健康効果を併せ持ちます。
よく着色した味噌は大豆をたくさん使っている味噌なので、大豆成分であるイソフラボンが含まれています。大豆に含まれるイソフラボンは水溶性のため、大豆を煮るとイソフラボンが流れ出て減ってしまいますが、赤色味噌では大豆を蒸すので、イソフラボンの損失が少なく味噌に豊富に含まれることになります。

大豆イソフラボンの効果

イソフラボンは、抗酸化性物質としてLDLコレステロール酸化防止効果があるほか、コレステロールの合成を阻害したり、骨そしょう症を防ぐ働きがあります。また、イソフラボンには、更年期障害の改善効果や、乳がんの予防に効果があるといわれています。

4. 味噌の食生活への摂り入れ方


ー味噌に含まれる栄養は調理によって減少することはあるのでしょうか?

味噌には、ブドウ糖、アミノ酸、脂肪酸、各種ミネラル及びビタミンB群などの栄養成分や、ペプチド、オリゴ糖、食物繊維、ポリフェノールなどの機能性成分が豊富に含まれていますが、これらはどれも加熱によって容易に損なわれるものではありません。
味噌汁を作るときは、味噌は最後に溶いて加えて、すぐ火は止めるものです。これは味噌の香りが逃げていくのを防ぐためですが、この程度の加熱は栄養成分・機能性成分にとっても全く問題ありません。
ただ、炒め物や揚げ物などではビタミンB群やペプチドなどは分解したりして損失があるでしょう。

ー日々の食生活に味噌を取り入れるうえで、おすすめの方法はありますか?

生味噌に含まれる麹由来のデンプン分解酵素やたんぱく質分解酵素などの消化酵素は、沸騰湯中でほとんど消失します。味噌に含まれる消化酵素は、胃の中で消化を助ける効果も多少期待できますが、それよりも調理中に肉や野菜など食素材に働いて軟らかくしたりうま味を引き出してくれる効果が大事なので、食材を味噌で和えたり味噌だれに漬け込んだりした後に、加熱調理すればよいでしょう。

やっぱりおすすめは「味噌汁」

味噌は味噌汁として摂取するのが最も一般的であり、効果的です。味噌の健康効果は、味噌汁の具をおいしく食べられるようにしてくれることが最大の効果です。野菜を味噌汁の具にすることでたくさんの野菜を効率よく摂ることができますし、肉や魚を具にすれば味噌で臭みが消え、油がさっぱりして食べやすくなります。
味噌は、調味料であり食品でもあるので、調味食品と呼ばれます。味噌自身が優れた健康食品であると同時に、あらゆる食材をおいしく調味付けできる万能調味料ですので、健康とおいしさのために味噌を日々の食生活に取り入れることをお勧めします。

結論

非常に豊富な味噌の種類が、どのような違いによって生まれているのか、初めて知った方も多いのではないだろうか?健康にも、味わいにもいい影響を及ぼす味噌を、味噌汁を中心に無理なく食生活に入れてみてはいかがだろうか。
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  • 公開日:

    2021年9月11日

  • 更新日:

    2021年9月16日

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