1. 強い抗酸化作用が特徴!ビタミンEとは
まずは、ビタミンEの働きについて紹介しよう。
ビタミンEの働きや効能
ビタミンEは、4種のトコトリエノールと4種のトコフェロール、合計8種類の化合物の総称だ。特徴は強い抗酸化作用。赤血球の溶血の防止して生殖を正常に保つことに関与し、生体膜の機能を正常に保つ働きがある。
天然のトコフェロールには、α(アルファ)・β(ベータ)・γ(ガンマ)・δ(デルタ)の4種類がある。体内で最も多くて生理作用が強いのは、α-トコフェロールだ。たとえばα-トコフェロールの生理作用が100なら、β-トコフェロールは40で、γ-トコフェロールは10でδ-トコフェロールは1といわれている(※1)。
ビタミンEの女性への効果
先述したようにビタミンEは強い抗酸化作用があり、若返りのビタミンなどと呼ばれている。女性に嬉しい効果として、ホルモンの分泌と作用を整え、妊娠の維持に機能することが期待できる。逆に不足すると生理痛をおこしやすいともいわれている(※2)。
ビタミンEの肌への効果
ビタミンEには、紫外線から肌を守り、肌荒れや肌の老化を防ぐ効果も期待できる(※3)。逆に不足すると、シミやシワができやすくなる(※2)。
2. ビタミンEが多い食べ物は?
ここではビタミンEが多い食べ物を紹介しよう。
ビタミンEの多い食べ物
ビタミンEが多い食品を、100gあたりの含有量とともに紹介しよう。(※1)
【種実類】
アーモンド 乾:30.3mg
落花生 乾 大粒種:11.4mg
落花生 ピーナッツバター:4.8mg
【油脂類】
ひまわり油(ハイリノール・ミッドオレイック・ハイオレイック):38.7mg
オリーブ油:7.4mg
有塩バター:1.5mg
【穀類】
クロワッサン:1.9mg
ロールパン:0.5mg
食パン:0.5mg
【魚介類】
うなぎ 養殖 生:7.4mg
すけとうだら たらこ 生:7.1mg
にじます 海面養殖 皮つき 生:5.5mg
【豆類】
豆乳 調製豆乳:2.2mg
きな粉 全粒大豆 黄大豆:1.7mg
ひきわり納豆:0.8mg
【野菜類】
らっかせい 未熟豆 生:7.2mg
モロヘイヤ 茎葉 生:6.5mg
西洋かぼちゃ 果実 生:4.9mg
いろいろな食材に、ビタミンEが含まれていることが理解できるだろうか。
ビタミンEを効果的に摂取する方法
とくに妊娠中や授乳中の人は、妊娠していない人と比べて、ビタミンEを多めに摂取するようすすめられている(※1)。効果的に摂取する方法のひとつが、ビタミンCと一緒に摂ることだ。ビタミンEは体内の脂質を活性酸素から守るが、このときにビタミンCがあると、サビ取りをして疲れたビタミンEを再びよみがえらせてくれるからだ。
また、ビタミンEは油に溶けるため、一緒に食べる脂質の量により吸収率が異なる。ビタミンEを摂取するときは、油とタンパク質も一緒に摂るとよい(※4)。
3. ビタミンEの1日の摂取量の目安
次に性別や年齢別に、ビタミンEの摂取量の目安を紹介しよう。1日にどのくらいのビタミンEを摂取すべきなのだろうか。(※1)
【男性】
15~17歳:7.5mg
18~29歳:6.5mg
30~49歳:6.5mg
50~69歳:6.5mg
70歳以上:6.5mg
【女性】
15~17歳:6.0mg
18~29歳:6.0mg
30~49歳:6.0mg
50~69歳:6.0mg
70歳以上:6.0mg
妊婦:6.5mg
授乳婦:7.0mg
女性より男性のほうがビタミンEを多く摂取する必要があるが、妊婦や授乳婦も多めに摂る必要があるようだ。
4. ビタミンEの過剰摂取のリスク
ここでは、ビタミンEを過剰摂取したときのリスクについて紹介する。
ビタミンEは過剰摂取になりにくい
過剰摂取の症状として、血液が止まりにくくなることがあるようだ。実際には摂取量の2/3が便で排出されるので、脂溶性ビタミンの中でもビタミンEは比較的体内に蓄積されにくく、通常の食事では過剰症はほとんど起こらないといわれている。ただし必要以上に摂取すると、骨量を減らして骨粗鬆症のリスクを高めることが示唆されている。(※1、5)
サプリメントの含有量には気を付ける
先述したようにビタミンEは通常の食事で過剰症がみられることはほぼないが、サプリメントで極端に過剰摂取すると、健康障害がみられる可能性は否定できない。そのため1日当たりの耐容上限量は、30~49歳の男性で900mgと定められている(※1)。
ビタミンEの過剰摂取にはどのような問題がある?
ビタミンEを食事やサプリメントで摂取することが、前立腺がんの発生リスクに影響を及ぼすか否かが、一部の研究で検討された。しかし、29,000人を超える男性を対象とした研究では、食事やサプリメントからビタミンEを摂取することと、前立腺がんのリスクとに関連性は認められなかったという(※6)。ほかにもさまざまな研究がなされているが、ビタミンEの摂取とがんのリスクとの関係は、まだはっきりとわかっていないようだ。
5. ビタミンEは不足するとどうなる?
基本的には不足しにくいビタミンEだが(※1)、欠乏するとどうなるのかを解説する。
ビタミンE不足の症状やリスク
ビタミンE不足になると神経や筋障害の症状がみられ、血行が悪くなって冷え性や肩こり、頭痛などを起こしやすくなる。また、抗酸化力が低下して肌を紫外線の刺激から守りにくくし、シミとシワができやすくなる。さらに血液中のコレステロールが酸化しやすくなるので、これが血管壁に入り込んで溜まり、動脈硬化の原因につながるともいわれている(※1)。
肝臓障害だと不足しやすい
肝機能が低下するとビタミンが不足しやすいため、ビタミンEを多く含むモロヘイヤやかぼちゃのような緑黄色野菜、アーモンド、落花生などのナッツ類を十分に摂取するようにしよう(※7)。
結論
ビタミンEの特徴や1日の摂取量の目安、不足するとどうなるのかなどを紹介した。先述したように効果的に摂取する方法の1つが、ビタミンCと一緒に摂ることだ。これまでとくに意識せず摂取していた人も、心がけてみてはいかがだろうか。
(参考文献)
※1出典:公益財団法人 長寿科学振興財団「ビタミンEの働きと1日の摂取量」
※2出典:内科・小児科マリヤ・クリニック「ビタミンE」
※3出典:公益社団法人 日本缶詰びん詰レトルト食品協会「紫外線対策レシピ??(5月)」
※4出典:一般社団法人 オーソモレキュラー栄養医学研究所「ビタミンE」
※5出典:一般社団法人 東京顕微鏡院「栄養成分 各論 ①ビタミン」
※6出典:厚生労働省「ビタミンE」
※7出典:全国保険協会「11月 肝機能が気になったら」
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