1. カリウムは必須ミネラルの一種

最初にカリウムの特徴や効果、不足するとどのような症状になるのか、摂取量の目安を紹介する。
カリウムの効果
カリウムとは人体に必要なミネラルの一種で、野菜や果物のほか、一部の減塩調味料に使われており、むくみを改善するサプリメントにも含まれている(※1、2)。カリウムには、細胞の浸透圧を調節する働きがある。
カリウムを摂取することで、ナトリウムが腎臓から排泄されやすくなり、血圧が低下する。また血管内皮を保護する働きもあり、動脈硬化と脳卒中を予防する(※3)。
カリウム不足の症状
先述したように身体によい健康効果が期待できるカリウムだが、不足するとどのような症状になってしまうのだろうか。カリウムは植物性食品や動物性食品に豊富に含まれており、通常の食事では、ほとんど欠乏症はみられない。しかし、激しい嘔吐と下痢のときや利尿降圧剤を長期使用する場合は、カリウムの排泄量が増して不足するケースがある。カリウム不足のおもな症状は、食欲不振・脱力感・筋力低下・骨格筋の麻痺などだ(※4)。
カリウム摂取量の目安
1日のカリウム摂取の目安量を、年齢や性別ごとに紹介しよう。単位はmgだ。
【男性(※4)】
15~17歳:2,800
18~29歳:2,500
30~49歳:2,500
50~69歳:2,500
70歳以上:2,500
【女性(※4)】
15~17歳:2,100
18~29歳:2,000
30~49歳:2,000
50~69歳:2,000
70歳以上:2,000
目安量とは、一定の栄養状態を保つのに十分な量で、目安量以上を摂取すると不足のリスクはほとんどない(※4)。
2. カリウムを多く含むおすすめ食品とは

次にカリウムを多く含む食べ物を紹介しよう。
カリウムが多い食材
カリウムは、藻類・果実類・いも及びでん粉類・野菜類・豆類、肉類、魚介類などに多く含まれている。とくに生鮮食品に多く含まれており、加工や精製がすすむと含有量は減少する(※4)。多く含む食材を100gあたりの含有量とともにピックアップして紹介しよう。単位はすべてmgだ。また、30~49歳の男性の摂取の目安量に対して、どのくらいの割合なのかを()内で紹介する。
【カリウムを多く含む食材(※4)】
- 刻み昆布:8,200(328%の量)
- ひじき ほしひじき 鉄釜 乾:6,400(256%の量)
- ぶどう 干しぶどう:740(約30%の量)
- かき 干しがき:670(約27%の量)
- さつまいも 蒸し切干(干しいも):980(約40%の量)
- ひきわり納豆:700(約28%の量)
- にわとり(若鶏肉)ささ身 生:420(約17%の量)
- さわら 生:490(約20%の量)
- 切干しだいこん 乾:3,500(140%の量)
- えだまめ 生:590(約24%の量)
カリウムが多い飲み物
次にカリウムを多く含む飲み物を、100gあたりの含有量とともに紹介しよう。単位はすべてmgだ。食材と同じように、30~49歳の男性の摂取の目安量に対してどのくらいの割合なのかを()内で紹介する。
【カリウムを多く含む飲み物(※5)】
- 玉露:340(約14%の量)
- 野菜ジュース:200(約8%の量)
- 100%オレンジジュース:190(約8%の量)
- 豆乳:190(約8%の量)
- 牛乳:150(約6%の量)
野菜ジュースや豆乳などにも、意外に多くのカリウムが含まれていることがわかるだろう。
3. 摂りすぎもNG!カリウムが高いといわれたら

ここではカリウムを摂りすぎると、どのようなデメリットがあるかを紹介しよう。
カリウムの正常値
血液検査でKと表記されているカリウムの基準値は3.5~5.0mEq/lだ(※6)。カリウムを摂取しすぎると、手指や唇がしびれたり全身がだるくなったり、不整脈のような症状があらわれるといわれている(※7)。しかし、健康な人が通常の食事を摂る場合では、摂取過剰による症状が出ることはまずない。
カリウムが高くなる原因
カリウムが高くなる原因としては、腎臓の機能が低下していたり、血中カリウム濃度を上げやすい薬を内服していたり、ホルモンの異常がある場合などが挙げられる(※8)。
サプリメントでの摂取にも注意が必要
上述の通り、腎機能が正常でサプリメントを使用していなければ、通常の食事では過剰症になるリスクは低いと考えられている。「日本人の食事摂取基準」において、カリウムの耐容上限量が設定されていないのは、このためだ(※4)。
食材のカリウムを減らす方法
食材に含まれるカリウムを減らす方法は、生野菜であれば水にさらすこと。また、野菜やいも類はいったん茹でこぼしてから調理すると、口に入るカリウムの量を減らすことができる。茹で汁にはカリウムが多く含まれているので、料理に使用しないようにしよう(※7)。
結論
カリウムの特徴や摂取することで期待できる健康効果、不足や過剰摂取のデメリットについて解説した。健康な人が通常の食事を摂るのであれば、過剰摂取や摂取不足による症状が起きることはほとんどないといわれている。ただし、サプリメントを飲んでいたりする場合には、過剰摂取に注意が必要だ。
(参考文献)
※出典1:厚生労働省「カリウム」
※出典2:公益財団法人 日本心臓財団「悪玉ナトリウムと善玉カリウム」
※出典3:公益財団法人 日本心臓財団「野菜を一日350g食べよう!」
※出典4:公益財団法人 長寿科学振興財団「カリウムの働きと1日の摂取量」
※出典5:医療法人社団 松和会「飲み物について」
※出典6:益田市立介護老人施設 くにさき苑「栄養ニュース59号「カリウムを減らしましょうと言われたら...」
※出典7:医療法人社団昇陽会 阿佐谷すずき診療所「4.カリウムを控える」
※出典8:長崎県保険医協会「内科/カリウムが高いと言われたら」
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