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脂質とはどんな栄養素?1日の摂取量と不足や取り過ぎのデメリット

脂質とはどんな栄養素?1日の摂取量と不足や取り過ぎのデメリット

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:管理栄養士 小林里穂(こばやしりほ)

鉛筆アイコン 2021年11月 3日

脂質は「太る」「ダイエットの大敵」など、悪者にされがちだが、実際には生命維持に欠かすことのできない三大栄養素のひとつである。今回はそんな脂質にフィーチャーして、役割や種類を詳しく紹介していこう。さらに高脂血症改め、脂質異常症と呼ばれるようになった疾患についても学んでいきたい。

  

1. 脂質とはどんな栄養素

健康診断書の脂質の項目
脂質とは、エネルギー変換される栄養素のひとつである。エネルギー量が高いため、効率のよいエネルギー源と言われることも多い。ここではまず、そんな脂質が一体どんな栄養素なのかを学んでいこう。

脂質の役割

脂質はタンパク質、糖質と並ぶ三大栄養素のひとつである。なかでもエネルギー効率がよいとされており、カロリーが1gあたり9kcaある。エネルギー源以外にもホルモンや細胞膜の構成や、体を寒さから守る働き、脂溶性ビタミンの吸収を助けるなど、さまざまな役割を果たしている。
一方で、そのカロリーの高さゆえ、脂質は摂りすぎると肥満の原因になりかねない。

脂質の種類

脂質は、いくつかの種類に分類することができる。脂質は脂肪酸で構成されている。肉や乳製品など常温で固体の状態を維持する飽和脂肪酸と、植物や魚の油など常温で液体の状態を有する不飽和脂肪酸にまず分けることができる。
さらに不飽和脂肪酸には、体内生産ができない多価不飽和脂肪酸と、体内合成できる一価不飽和脂肪酸に分けることができる。多価不飽和脂肪酸のn-6系脂肪酸とn-3系脂肪酸は、必須脂肪酸であり、食事からの摂取が欠かせない。特にn-3系脂肪酸は、多くの健康効果が期待できると注目を集めている存在だ。EPAやDHAなど、魚の油に含まれているものも多い。

2. 脂質の一日の必要摂取量は何グラム?

顕微鏡でみた脂肪
脂質の摂りすぎは危険だが、人間の生命には欠かすことのできない存在である。一日に必要な量はどれくらいなのかを詳しく調べていこう。

脂質の摂取量の目安

現在、自由に日常を営んでいる日本人であれば、脂質が著しく不足しているという事態にはなりにくい。脂質は一日に必要なエネルギーの20?30%であると考えられている。たとえば、2000kcal必要な人であれば、およそ55gとなる。これを三食で分けると一食あたり18g前後。ただし筋トレや激しい運動をしている、成長期であるなどの理由でこれに準じないこともある。
また、前述の通り脂質といってもさまざまな種類があり、なかでも体内生成できない不飽和脂肪酸は食品からの摂取が求められる。脂質摂取量が総エネルギー比の20?30%であっても、内訳の脂質バランスに注意する必要があるのだ。ちなみに成人における飽和脂肪酸の目標値は、脂質エネルギー比で7%以下である。n-6系脂肪酸とn-3系脂肪酸は、以下のような目標値が挙げられている。

【n-6系脂肪酸目安量(男性:女性)】

  • 18~29歳:11g:8g
  • 30~49歳:10g:8g
  • 50~64歳:10g:8g
  • 65~74歳:9g:8g
  • 75歳以上:8g:7g
  • 【n-3系脂肪酸目安量(男性:女性)】

  • 18~29歳:2.0g:1.6g
  • 30~49歳:2.0g:1.6g
  • 50~64歳:2.2g:1.9g
  • 65~74歳:2.2g:2.0g
  • 75歳以上:2.1g:1.8g
  • (※1)を参考に算出
    この結果、一概に脂質の一日の摂取量目安を30gや100gと示すことはできない。

    脂質制限で脂質不足になると

    前述の通り、一般的な生活をしているうえでは不足しにくい栄養素ではあるが、過剰なダイエットや貧困など、さまざまな要素で不足することもある。脂質が不足するとエネルギー不足になるので、疲れやすくなる、抵抗力がなくなるなどの症状が考えられる。また脂溶性ビタミンの吸収を助ける効果が得られないので、ビタミン欠乏の恐れも考えられる。過度に脂質を減らすことは、おすすめできない。

    脂質を摂りすぎると

    逆に脂質を摂りすぎているケースは、容易に考えられる。脂質はエネルギーが高いため、過剰摂取すると肥満を招く恐れがある。血中コレステロールや中性脂肪を増加させる可能性がある飽和脂肪酸の過剰摂取は、循環器疾患に繋がるリスクも考えられる。(※1)

    3. 脂質の多い食べ物ランキング

    アーモンド
    前述の通り、脂質と一口に言ってもさまざまな種類の脂質がある。一概に多い、少ないで判断するのは本末転倒だが、脂質が多い食品を知っておくことは重要である。ここではよく高脂質と言われる食べ物をランキング形式でお届けしていこう。
    1位アーモンド 51.8g(※2)
    2位アボカド 17.5g(※3)
    3位アイスクリーム(高脂肪)12.0g(※4)
    含有量で比べるとアーモンドが非常に多いように感じられるが、飽和脂肪酸は3.95gなので一概に多いとは言いにくい。またこれはどれも100gの含有量なので、日々食べる量とは異なる場合も多い。

    4. 脂質摂取の注意点

    ハニーチーズトースト
    ここまでお届けしてきた通り、脂質はどうしても摂りすぎの危険を伴う。ここでは、そんな脂肪摂取の注意点についてお届けしていこう。

    目に見える脂質だけでなく見えない脂質にも注意する

    脂質は、肉の脂のように目に見えるものだけでないところが盲点になりやすい。たとえば、天ぷらやフライなどの揚げ物をすれば、もちろん油が含まれる。トーストに塗るバターも脂質のひとつだ。調理中に使う脂質をはじめとする、目に見えにくい脂質を意識していないと過剰摂取になりやすいので注意したい。

    必須脂肪酸を多く含む脂質を摂る

    前述の通り、n-6系脂肪酸とn-3系脂肪酸は必須脂肪酸だ。食事からの摂取が欠かせない。n-6系脂肪酸はごま油や紅花油などに豊富で比較的摂取しやすいが、n-3系脂肪酸は意識が必要だ。n-3系脂肪酸にはα-リノレン酸、EPA、DHAがある。α-リノレン酸はあまに油に多く含まれている。対してEPAやDHAは、青魚に多く含まれている。アレルギーがある場合を除いて、意識して摂取するといいだろう。

    5. 脂質異常症とは

    血液検査の結果表
    これまで高脂血症と呼ばれていた疾患が「脂質異常症」と改名されたのは、2007年だ。これは中性脂肪やコレステロールなど、脂質代謝に異常をきたす状態を指す言葉である。ここでは具体的な症状や定義を学んでいこう。

    脂質異常症とは

    • LDLコレステロールが140mg/dl以上......高LDLコレステロール血症
    • HDLコレステロールが40mg/dl未満......低HDLコレステロール血症
    • 中性脂肪が150mg/dl以上......高トリグリセライド血症 (高中性脂肪血症)
    脂質異常症は大きく分けて3つだ。コレステロールや脂質は生命維持に欠かせないと同時に、多すぎると問題をきたす場合がある。同じように善玉コレステロールが少なすぎることも弊害になりうる。また中性脂肪も多すぎると肥満や脂肪肝を引き起こす原因になる。脂質異常症は、動脈硬化を引き起こす危険因子であることから、注意が促されている。(※5,6)

    症状の症状

    脂質異常症が怖いのは、症状が出にくいところである。脂質異常症になることで変化を起こすのは血管内なので、目に見えない。放置してしまう人も多いようだが、実はこれは非常に危険。
    血管内でLDLコレステロールが増加すると、血管の壁が傷つき、プラークと呼ばれる塊ができやすくなる。プラークが破れると、修復のために血小板が集まり、血栓ができる。血栓が大きくなると、心臓や脳の血管が塞がる可能性がある。このように脂質異常症は、脳梗塞・心筋梗塞などの動脈硬化性疾患を引き起こす大きな要因と言われている。(※5)

    原因を紹介

    脂質異常症を引き起こす大きな要因とされているのが、生活習慣の乱れや遺伝だ。このほか、ホルモン異常やほかの疾患と関連する場合もある。生活習慣の乱れとは、動物性脂肪の摂取過多、喫煙、運動不足、過食、偏った食事、過多な飲酒が挙げられる。思い当たる節があるという人も多いかもしれない。

    改善方法を紹介

    原因がわからないと一概に改善方法は述べられないが、基本的には規則正しい生活とバランスのよい食事は欠かすことができない。特に質のいい脂質を取ることは必要不可欠。前述の通り、脂質のなかでも必須脂肪酸を上手に取り入れる必要がある。また肉より魚や大豆からタンパク質を摂取する、野菜や海藻などでミネラルや食物繊維を積極的に摂取する工夫も必要だ。またトランス脂肪酸は極力避けることをおすすめしたい。

    結論

    脂質とは、三大栄養素のひとつであり、人間の生命維持に欠かすことのできない栄養素である。研究が広がり、脂質と一口にいってもさまざまな種類があり、より積極的に摂取すべきものと控えるべきものとがあることがわかってきた。脂質=太るという概念は、もう過去の話。どんな脂質をどれくらい摂取すべきなのか?今一度、考えてみたい。
    (参考文献)
    ※1出典:日本人の食事摂取基準(2020 年版)|厚生労働省
    ※2出典:アーモンド/乾|食品成分データ
    ※3出典:アイスクリーム/高脂質|食品成分データ
    ※4出典:アボカド/生|食品成分データ
    ※5出典:脂質異常症|e-ヘルスネット
    ※6出典:脂肪肝|e-ヘルスネット
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    • 更新日:

      2021年11月 3日

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