目次
- ※1出典:厚生労働省「アニサキスによる食中毒を予防しましょう」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000042953.html
1. ホウボウとはどんな魚?

ホウボウはカサゴ目の魚。美しい赤色の魚表が特徴で、その華やかさに目を引かれるという人もいるかもしれない。ここではまず、ホウボウがどんな魚かを詳しく解説していこう。
ホウボウの特徴
カサゴ目ホウボウ科ホウボウ属に属するホウボウ。暖かい海を好み、水深100~200mの海底に生息し、胸鰭についた3本の足のような軟条を使って、地底を這うようにして砂の中の獲物を捕食している珍しい魚だ。ちなみに胸鰭は広げるとまるで蝶の羽のような形をしており、色も青緑色で体表の鮮やかな赤色とのコントラストがエキゾチックな印象だ。頭が大きく、尻尾に向かって細くなる円錐形で、成魚は30cm程度。
美しい桜色の身はもっちりとしていて、甘みがある。白身に分類されるが、淡白さは少なめで一度食べると病みつきになる人も多い。
ホウボウの名前の意味と由来
ホウボウの名前の由来は諸説あるが、水揚げしたときに特徴的な声で鳴くことから、それが訛ってホウボウとついたともいわれている。また、特徴的な胸鰭を広げて方々(ホウボウ)を歩いて餌を探す姿からといった説も。
ホウボウの旬と値段
ホウボウは通年、漁獲されるため、明確な旬はないものの12~2月の冬シーズンはとくに脂が乗って美味しいとされている。値段はピンキリだが、1kg3,000円程度で取引されることが多いようで、小さめサイズであれば都内でも1尾500~800円程度で販売されているのを見かける。
2. ホウボウの美味しい食べ方

そもそもホウボウは超高級魚。江戸時代は「君魚」と呼ばれ、鯛などと並ぶ人気魚で、上流階級しか食べることができなかったそうだ。ホウボウは刺身はもちろん、焼いても揚げても煮ても旨いところもうれしい。ここでは美味しい食べ方について解説をしていこう。
ホウボウの刺身
ホウボウの刺身は、ほんのりとした甘みと旨みを味わうことができ、ファンも多い。カルパッチョにも向いている。アニサキスには注意が必要だが、ぜひ一度刺身で食べてみてほしい。
ホウボウの場合、刺身用の切り身になって販売されていることは少ないので、自分で捌く必要がある。とくに注意が必要なアニサキスは、魚が死ぬと内臓から身に移動するとされている。まずは新鮮なホウボウを手に入れること。さらにすぐに内臓を取り除き、早めに捌くこと。刺身にする場合は、身にアニサキスがいないか、目視で確認することも重要である。アニサキスは70℃以上の加熱、または-20℃で24時間以上冷凍することで死滅するとされている。(※1)
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ホウボウの煮付け
ホウボウは火を通すと身がぷりっとして、より旨みがアップする。頭が大きく食べる部分が少なめなので、煮付けにする場合は数尾まとめてするのがおすすめだ。和風の煮付けはもちろん、アクアパッツァなど洋風の煮付けにも適している。
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ホウボウの天ぷら
ホウボウはフライや天ぷらにすると身が口でほろりとほどけるような食感になり、より食べやすい味わいに。子どもにも好まれそうだ。フリットなどにも向いている。
ホウボウの塩焼き
ホウボウは塩焼きにすることも可能だ。やや身が固くなりがちなのでさっと焼き上げるのがおすすめ。少々物足りなさを感じる場合は、ポアレなど洋風にして、焦がしバターソースなどを合わせるといい。
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3. ホウボウの捌き方とコツ

ホウボウは独特の鱗が多くついている。このため、捌くときはまず鱗を落とすことから始める。
1.鱗落としやペットボトルのキャップで丁寧に鱗を落とす
2.頭を落とす
腹鰭が邪魔になるので、包丁を3方向から入れるとよい。
3.腹を割って内臓を出す
4.血ワタを落とす
歯ブラシなどを使って洗うといい。煮付けにする場合はここでしっかりと水を拭き取れば完成。
5.刺身にする場合は3枚におろしていく
6.身が小さいため、腹と背に身を分けずに、腹骨をそぎとり、結合部の血合骨を骨抜きで抜く
取りにくい場合は、血合骨ごとざっくり切り落としてもOK
7.皮を引いて完成
結論
ホウボウは、古くから日本で愛されてきた高級魚だ。派手な見た目とは裏腹に上品で繊細な味が特徴。生でも揚げても煮ても旨い。小さめの魚で食べる部分が少ないので、骨や頭で出汁を取って、旨みを存分に味わいたい。生食する場合は、アニサキスなど寄生虫に気をつけることも重要である。
(参考文献)
監修管理栄養士:渡邉里英
経歴:大学で栄養学を学び、大学院卒業後、医学関連出版社に就職。管理栄養士としての知識と医学雑誌の編集経験をもとに、オリひと食料理記事の監修に至る。