1. 畳にもカビが生える?
湿気が多い季節になると気になるのがカビの繁殖である。一見通気性がよさそうに見える畳にもカビは生える。
カビが生育する条件とは?
適度な湿気と温度、それにエサがあればカビは生育し繁殖する。この場合のエサとはホコリや皮脂、垢、食べカスなど多岐にわたる。湿度が高くなりやすい梅雨の時期はもちろん、暖房あるいは加湿器などを使う冬場も結露によって湿度が高くなりやすいため要注意だ。
2. 畳にカビが生えやすいケースとは?
カビが繁殖する条件は分かった。では、具体的にどういったシチュエーションで畳にカビが生えてしまうのだろうか?いくつか例を挙げるので、当てはまるものがないか振り返ってみてほしい。
換気が不十分である
通気性が悪いと湿気がこもり、カビが発生しやすくなってしまう。こまめに換気をするなどして湿気を飛ばしておくことが大切だ。
畳を新調したばかりである
天然い草は吸放湿性に優れている。これは畳の優れた機能のひとつだが、湿度が高いと湿気をどんどん吸収してしまい、カビが生えやすくなる。
布団が敷きっぱなしである
畳に布団を敷いて寝ている場合、汗などによって湿気がこもることがある。敷きっぱなしにしているとうまく湿気が抜けず、カビが生える原因となることがある。
湿気が溜まりやすい土地である
海沿いや川沿い、そのほか地形や気候などの影響で湿気が溜まりやすい土地にお住まいの場合、それ以外の土地と比べるとどうしてもカビの発生リスクが高くなってしまう。
日当たりや通気性が悪い部屋に畳がある
和室に日光が当たらない、隣家がすぐそこで通気性が悪いといった場合、湿気がうまく抜けずにカビが生えやすくなってしまうことがある。
3. 畳のカビを掃除する方法
畳にカビが生えてしまったときは、次の手順で掃除をしよう。
用意するもの
- 消毒用エタノール
- アルコール対応のスプレーボトル
- アルコール対応の小分け容器
- ブラシ(または汚れてもよい歯ブラシ)
- 雑巾
- マスク
- ゴム手袋(ビニール手袋)
これらを用意しよう。お持ちであれば、ゴーグルやメガネなど目の保護具もあるとよい。なお消毒用エタノールそのものがスプレータイプであれば、別途スプレーボトルを用意する必要はない。またアルコール対応の小分け容器がなければ、紙コップなどで代用しよう。
畳のカビ掃除の手順
- 消毒用エタノールをカビに吹きつけて15分ほど放置する
- 時間がきたら、ブラシに消毒用エタノールを吹きつける
- ブラシで畳の「目」に沿ってカビを掻き出すようにこする
- 小分け容器に消毒用エタノールを溜め、ブラシを洗いながらカビを落とす
- 手順「3」と「4」を、カビが取れるまで繰り返す
- 再びカビに消毒用エタノールを吹きつけ、雑巾で畳の「目」に沿って拭き取る
- 障子や窓などを開けて通気性を確保し、畳をよく乾燥させれば完了
消毒用エタノールは揮発性が高いため、そのまま乾かしてもとくに問題はない。だができるだけ速やかに乾燥させたいので、扇風機を当てるといった方法もおすすめだ。
可能なら風通しのよい場所で「陰干し」を
上記の手順でカビを掃除できても、畳の内部にはまだ湿気が残っている場合がある。新たなカビの発生を招く要因にもなるため、可能であれば畳を外して風通しのよい場所で陰干ししよう。
4. 畳のカビを掃除するときのNG行為とは?
畳のカビ掃除をする際、次のような行為は基本的にNGと考えておこう。
掃除機をかけてしまう
確かに一気に吸い込めるかもしれないが、排気口から胞子が放出されるおそれがある。あるいは排気で胞子が舞ってしまうかもしれない。そのため掃除機の使用は控えよう。
水拭きをしてしまう
水拭きでカビを拭き取れるかもしれないが、逆に伸ばして範囲を広げてしまったり栄養分である水分を与えてしまったりするおそれもある。畳にも決してよい方法ではないため控えよう。
強力な洗剤を使ってしまう
カビキラーなどの塩素系漂白剤といった、強力な洗剤を使用するのもNGだ。畳が変色したり傷んでしまったりする場合がある。消毒用エタノールもしくは畳にも使えるカビ取り剤、あるいは水などで薄めた食器用中性洗剤程度に留めよう。
熱湯をかけてしまう
畳に熱湯をドバっとかけることはまずないはずだが、熱で死滅させようとして熱湯をかけるのもNGだ。畳が傷んでしまうおそれがある。
無水エタノールを使ってしまう
無水エタノールは99.5vol%と非常に高濃度である。だが揮発性が極めて高いため、カビに効果が現れる前に蒸発してしまう。70〜80vol%程度の消毒用エタノールを使おう。
5. 畳のカビを掃除しても臭いが残るときは?
見た目はキレイになっても、まだどこかカビ臭いということがある。その場合は、次のような方法を試してみよう。
「酢」で臭いを消す方法
水で5倍程度の希釈した酢を雑巾に含ませ、カビ臭が気になるところを拭き掃除しよう。酢のニオイが残るが、時間とともに解消されるはずだ。その頃にはカビ臭も消えているだろう。
「重曹」で臭いを消す方法
重曹には消臭作用や吸湿作用があるのをご存知だろうか?ガラスの空き容器などに重曹を入れたら、ガーゼなど通気性のよい布をかぶせて輪ゴムなどで固定しよう。そのままカビ臭が気になるところの近くに置いておけばOKだ。ただしあまりに広い空間では効果が期待できないこともある。
6. 畳にカビが生えるのを防ぐには?
畳のカビをうまく掃除できたら、次は再発を防ぐことが重要だ。次のようなポイントを押さえておこう。
定期的に畳を上げる
カラッと晴れた日限定だが、畳を上げて風通しをしてあげるとよい。枚数が多いなどで大変であれば、片側だけを上げて缶などを噛ませ、浮かせることで風通しをしよう。
湿度をうまくコントロールする
エアコンの除湿運転や除湿機、サーキュレーターや扇風機などをうまく活用して、畳がある部屋の湿度をコントロールしよう。もちろん、窓を開けて換気するだけでもよい。
畳の上には布団やカーペットなどを敷かない
毎朝たたんだりこまめに上げたりして通気性を確保できるならよいが、そうでないときは布団を敷いたりカーペットを敷いたりするのは控えたほうがよいだろう。湿気がこもりやすくなるためだ。
畳がある部屋に洗濯物を干さない
お伝えしたように、畳には吸湿機能が備わっている。畳がある部屋に洗濯物を干してしまうと、その水分を吸収して湿気が溜まってしまうおそれがある。部屋干しはフローリングなど畳以外の部屋でするか、どうしても畳がある部屋に干すのであれば除湿機やエアコンの除湿機能、サーキュレーターなどを駆使して湿度が高くなりすぎないように注意しよう。
畳の下に除湿シートを敷く
床板にも湿気は溜まるため、目に見えない畳の底のほうでカビが発生してしまうこともある。畳を上げたときにカビ臭がする、黒いシミのようなものが見える、湿気が溜まっているというときは防湿シートを敷いて対策しよう。
7. 畳のカビ掃除におすすめのアイテム3選
畳のカビ掃除に使える、おすすめのアイテムを紹介しよう。
ビーワンコーポレーション「カビホワイト カビソフト除去スプレー」
畳にも使えるカビ取り剤だ。ニオイも少なく、1〜3カ月程度のカビ防止効果も期待できる。
健栄製薬「消毒用エタノールIPA スプレー式 500ml」
カビ掃除に効果的な、濃度76.9〜81.4vol%の消毒用エタノールだ。スプレー式で使いやすい。
ドーバー酒造「パストリーゼ77」
濃度77vol%のアルコールスプレー。安全性が高く、食品に直接吹きかけることもできる。
8. 畳のカビは見かけたら即・掃除しよう
畳にもカビは生える。表面程度の軽いカビであれば、紹介してきた方法で掃除できるだろう。繁殖してしまわないうちに、できる限り速やかに掃除するのがポイントだ。手に負えないほどひどいときは、畳の新調も検討しよう。
結論
畳のカビ掃除には消毒用エタノールが有用である。掃除機はかけない、水拭きはしない、強力な洗剤は使わないなど、注意点とあわせて正しい掃除方法を覚えておこう。カビをキレイに掃除できたら、再発を防ぐためにも湿気を溜めないといった工夫を取り入れていこう。
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