目次
1. 床下収納とは

まずは床下収納の基本的な知識を解説する。種類や用途を紹介するのでぜひ参考にしてほしい。
床下のスペースを生かした収納庫
建築基準法では住宅の基礎となる地面から床板まで、45cm以上の高さが必要だ。床下にある空間を有効活用したのが床下収納。床に開口部を設けて下に収納ケースをはめ込んでいる。フタを閉めれば床板と一体化するため、上を歩くことも可能だ。床下収納はキッチンに設置されることが多いが、洗面所やその他の部屋に作ることもある。
「点検口」を活用することが多い
戸立ての住宅は、天井裏や床下を点検するために「点検口」を設けることが多い。収納ケースは外れる仕組みになっており、そこから床下への出入りが可能だ。床下収納は水回りに設けられることが多く、給排水管の状態をチェックしたり修理したりするときに役立つ。
主に「食品」の保管庫として使われる
床下収納は室内よりも温度が低い傾向がある。キッチンに設置されることが多いことから、食品の貯蔵庫として活用するのが一般的だ。長期保存ができる食品や、冷暗所で保管するのに適したお酒や漬物の保管に活躍する。
床下収納の種類
床下収納のフタは、扉のように開けるタイプと外れるタイプの2種類だ。外れるタイプの床下収納だと、ものの出し入れがしやすいが、収納スペースが広くなるとフタの枚数が増えて開閉が面倒になる。扉タイプの場合は開閉しやすいが、出し入れするときフタが邪魔になりやすい。
また、内部の収納ケースは固定式とスライド式に分かれる。固定式はフタを開けたときに、一つの収納ケースが設置されているタイプ。スライド式は複数の収納ケースが連結していて、左右に移動させることで出し入れをする仕組みだ。スライド式は固定式より多くのものを収納できる。
また、内部の収納ケースは固定式とスライド式に分かれる。固定式はフタを開けたときに、一つの収納ケースが設置されているタイプ。スライド式は複数の収納ケースが連結していて、左右に移動させることで出し入れをする仕組みだ。スライド式は固定式より多くのものを収納できる。
2. 床下収納のメリットとは

床下収納にはさまざまなメリット・デメリットがある。うまく使いこなすためにも両方を知っておくことが大切だ。まずはメリットから解説しよう。
収納スペースが確保できる
キッチンはものが多いが、収納スペースが少ないというご家庭も多いだろう。床下収納があれば限られたスペースでもプラスαの収納スペースを確保できる。収納場所に困る調理器具や、かさばりやすいストックなど、邪魔になりやすいものをまとめてしまうことが可能だ。
動線が確保できキッチンまわりがスッキリする
棚などに入り切らないものをそのまま出しておくと雑多に見えてしまうが、床下収納に入れておけば見た目がスッキリする。タンスや食器棚と違ってスペースを占領することがない。床下なので動線を邪魔することもなく、キッチンを広々使うことができるだろう。
キッチン掃除がしやすくなる
床下収納を活用して棚や台の上などにあったものを減らせれば、掃除もやりやすくなるはずだ。床掃除をするにしても、見えているのはフタだけなので拭き掃除や掃き掃除の邪魔になることはほとんどないだろう。
点検口として活用できる
床下収納は収納の目的以外に、点検口としての目的を兼ねている場合が多い。家を新築する場合、点検口を設けているが多く、建物の床下は、床下の配水管からの漏水、シロアリ、床下断熱材の劣化などいくつかの問題が発生する場所であるため、点検口自体は必要な設備といえるからだ。
つまり、床下収納があるから絶対に何かを収納しなければという考えは、見直してもよいということだ。そもそも、点検の際に床下収納に何か入っていた場合は、庫内のものをいったん取り出す作業が必要となる。逆に何も入っていなければ、すぐに点検作業に入れるというメリットがある。
つまり、床下収納があるから絶対に何かを収納しなければという考えは、見直してもよいということだ。そもそも、点検の際に床下収納に何か入っていた場合は、庫内のものをいったん取り出す作業が必要となる。逆に何も入っていなければ、すぐに点検作業に入れるというメリットがある。
3. 床下収納のデメリットとは

続いて床下収納のデメリットやリスクになりうる部分について解説する。頭に入れておけば対策が立てやすいので、ぜひチェックしてほしい。
床に若干の段差ができる
床下収納についている枠やフタの部品によって、若干の段差ができてしまう。わずかな出っ張りなので基本的に問題はないが、スリッパを履いているときなどはつまずく可能性がある。小さなお子さんやお年寄りがいるご家庭は注意が必要だ。
出し入れが大変な場合がある
床下収納はしゃがんだ姿勢で開ける必要があり、出し入れが大変だ。あまり重いものを入れると取り出す際の負担が大きいため、腰を痛める可能性もある。また、頻繁に出し入れするものの収納には向いていない。
湿気やチリ、ホコリが溜まりやすい
キッチンにある床下収納のフタのフチ周辺には細かいチリやホコリが溜まりやすい。人が何度も通る場所では細かなチリやホコリが落ちやすく、落ちたものが床下収納のフタのフチのわずかな隙間に入り込むからだ。
入り込んだチリやホコリは、床下収納庫の内部にそのまま落ちることもあれば、フタを開け閉めした際に庫内に落ちることもある。床下収納に日用品や食品を入れる場合は、袋に入れるなどして、チリやホコリから守る対策が必要となる。
入り込んだチリやホコリは、床下収納庫の内部にそのまま落ちることもあれば、フタを開け閉めした際に庫内に落ちることもある。床下収納に日用品や食品を入れる場合は、袋に入れるなどして、チリやホコリから守る対策が必要となる。
カビが生えやすい
床下は室内と違い温度管理がされていないため、地面からの冷気がダイレクトに影響し温度変化が大きい。温度変化が大きいだけでなく湿気もこもるので、床下収納にはカビが発生しやすいというデメリットがある。
カビが生えてしまうと食品が安全に保管できず、においが発生することもあるので注意が必要だ。湿気がこもりやすくカビの心配があるため、ものを取り出す時だけでなくこまめに中を確認した方がよい。
カビが生えてしまうと食品が安全に保管できず、においが発生することもあるので注意が必要だ。湿気がこもりやすくカビの心配があるため、ものを取り出す時だけでなくこまめに中を確認した方がよい。
指を挟むといった危険性がある
床下収納のフタは重くうっかり手を離すと重力で落ちてくるので、倒れないように注意する必要がある。一般的にはフタと床の隙間にクッション材はないので、気をつけないと指を挟む。特に小さな子どもが近くにいる時は、開け閉めには十分注意しよう。
4. 床下収納で保管するのに適したものは?

床下収納を使いこなすために保管に適したものを把握しよう。収納するものを厳選すれば、使いやすい床下収納になる。
長期保存が可能なもの
缶詰や乾麺、調味料などの日持ちする食品の保存に適している。ボトル入りで長期保存可能な液体は、立てて収納できるので整理整頓しやすい。腐りにくく、冷暗所での保管に適した食品を収納するのがおすすめだ。
出し入れする頻度が少ないもの
床下収納は出し入れしにくいので、開閉の回数はなるべく減らしたい。食品以外であれば、使用頻度の少ないカセットコンロやホットプレート、土鍋などがおすすめだ。シーズン以外使わないものの収納場所に適している。
重くないもの
キッチンペーパーやアルミホイル、ラップや割り箸などストック類なら、軽いため出し入れが負担にならない。2Lのペットボトルなど飲料は意外と重いので、取り出す頻度が高いなら収納するのは避けよう。
逆に床下収納での保管に適さないものは?
床下収納での保管に適さないものもある。トラブルを避けるためにもあらかじめ確認しておくことが重要だ。
・消費期限が短いもの
・頻繁に使うもの
・出し入れする際に腰などに負担がかかるもの
・防災グッズ
災害用の非常食はよいが、防災グッズを入れると取り出す時間がかかってしまう。地震などで棚が倒れると、フタが開かなくなるので注意が必要だ。また、ぬか床など床下収納に適している食品でも、漬けっぱなしのまま忘れてダメにしてしまわないように注意しよう。
・消費期限が短いもの
・頻繁に使うもの
・出し入れする際に腰などに負担がかかるもの
・防災グッズ
災害用の非常食はよいが、防災グッズを入れると取り出す時間がかかってしまう。地震などで棚が倒れると、フタが開かなくなるので注意が必要だ。また、ぬか床など床下収納に適している食品でも、漬けっぱなしのまま忘れてダメにしてしまわないように注意しよう。
5. 床下収納の使い方で注意したいポイント

床下収納を使うにあたって注意したいのは「湿気」「カビ」「害虫」そして「出し入れのしやすさ」だ。それぞれ対策をお伝えするので参考にしてほしい。
湿気対策を講じる
床下収納の注意点として最も大切なのが湿気対策だ。床下収納は湿気が高くなりやすい。とくに食品を収納するときは衛生面が心配なので、除湿剤を入れて湿気対策をしよう。置き型の除湿剤は一番下の隅に置くだけで庫内の湿気を吸ってくれる。
同じく湿気を取る新聞紙を敷いたり、丸めて四隅に置いたりしてもいいだろう。床下収納をいったん空の状態にし、新聞紙を敷いてからスノコを置き、その上に食品などを詰め込んでいくといった方法もおすすめだ。
同じく湿気を取る新聞紙を敷いたり、丸めて四隅に置いたりしてもいいだろう。床下収納をいったん空の状態にし、新聞紙を敷いてからスノコを置き、その上に食品などを詰め込んでいくといった方法もおすすめだ。
カビ対策を講じる
カビは湿度を好むので、湿気対策はカビ対策にもなる。適度な隙間を開けて収納したり、ときどき換気をしたりすることで、カビが発生しにくい環境を作ってほしい。
また、汚れはカビの栄養源になるので定期的な掃除が必要だ。食品などをこぼしたら、すぐに拭き取ってキレイにする。中のものを出して徹底的に掃除するのも効果的だ。床下収納の害虫対策については、こちらの記事でも詳しく解説している。
また、汚れはカビの栄養源になるので定期的な掃除が必要だ。食品などをこぼしたら、すぐに拭き取ってキレイにする。中のものを出して徹底的に掃除するのも効果的だ。床下収納の害虫対策については、こちらの記事でも詳しく解説している。
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害虫対策を講じる
床下収納は湿度が高く虫が発生しやすいため、袋に入った食料品を保存するのは避けた方がよい。たとえ未開封のものでも、コクゾウムシやメイガなどの害虫は袋を食い破って侵入してくる。どうしても収納したい場合は、密閉容器などに入れて保存しよう。また、床下収納の害虫対策は以下の記事でも紹介しているので、ぜひ参考にしてほしい。
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重いものを入れない
床下収納の注意点として、重いものは入れないほうがいいというルールがある。重いものを収納してしまうと、しゃがんだ姿勢で取り出しにくくなってしまい、無理な姿勢で腰を傷める可能性もあるので、重すぎると感じるものは収納するのを控えよう。とくに、両手で抱えなければならないほど重い家電製品や容量の大きい瓶は、床下収納には不向きだ。
6. 床下収納を上手に使うコツ

注意点と併せて押さえておきたい、床下収納を上手に使うためのコツも紹介しよう。実践すれば出し入れのしやすい収納になる。
上から見やすいように収納する
床下収納になんでもかんでも詰め込んでしまうと、取り出す際に苦労することがある。何が入っているか上から見やすい状態にするのがポイントだ。あらかじめ定位置を決めておけば、どこに何があるのか把握しやすくなる。また、小さいものは混ざりやすいので、カゴやケースなどの収納アイテムを使うなどの工夫が必要だ。
重ねずに収納する
床下収納は深いタイプが多いため、ものを寝かして積み重ねるように収納すると出し入れがしにくい。ボトルや袋物も立てて収納し、ものを移動させなくてもすぐに取り出せるよう工夫しよう。瓶やボトルを収納するときはフタにラベルを貼っておくと分かりやすい。
7. 床下収納のボックス内はカゴや仕切りを使うと便利

一般的な床下収納は箱型になっているものだが、そこへ直置きするよりもカゴや仕切りなどを活用したほうが使いやすい。たとえば次のようなアイテムを使うのはいかがだろうか?
床下収納専用カゴ
床下収納は取り出しが大変なため、収納物は取っ手のついたカゴに入れてからしまう。床下収納専用カゴを利用すると便利だ。缶詰などの小さいアイテムや、倒れやすい袋物の食品の収納にピッタリ。カゴごといったん取り出し、作業しやすい床の上に置いてから中のものを整理する、といった使い方もできる。
100均や無印良品の収納カゴ
床下収納専用カゴは700円から2,000円前後と少々値が張る。100均や無印で販売されているプラスチックの収納カゴを利用すれば、費用は専用カゴの半分以下に抑えることができ、リーズナブルだ。サイズが同じものを複数購入すれば、上に積み重ねていくことができるので、床下収納ボックスの空間を無駄なく利用できる。一番上には、取手のついたカゴやケースを置けば中身も取り出しやすい。
ファスナー付きトートバッグ
ファスナー付きのトートバッグを立てて収納すると、簡単に取り出しができる。中身を書いたタグをつけて収納すると、探す手間も省けて便利だ。汚れたら洗濯できるタイプなら清潔に保ちやすい。ペットボトルなど大きく重いものを収納する場合は、十分な厚みとマチがあるトートバッグを選ぼう。
ファイルボックスやゴミ箱
ファイルボックスは、深さがあるので床下収納にピッタリだ。予備の調味料なども倒すことなく収納できる。さらに、取り出し口が斜めに切り込んであるタイプなら、中身も見やすく取り出しやすい収納になるだろう。また、縦長のゴミ箱(未使用)を設置し、一升瓶などの高さのあるものを収納すれば倒れる心配がない。
突っ張り棒も活用できる
突っ張り棒を床下収納ボックスの上部に2本渡し、その間に浅型のプラスチックケースを置くと、左右にスライドさせることができる。ケースの下に収納したものが必要な時でも、いちいちケースを取り出さなくてもいいので使い勝手がよい。ただし、あまり重いものを収納すると突っ張り棒が落下する可能性があるので、軽いものを収納しよう。
8. 床下収納にはサイズがある

床下収納のボックス内にカゴなどを設置する場合、事前にサイズを測っておくことが大切だ。メーカーにより違いはあるものの、たとえば次のようなサイズがある。
床下収納のサイズとは
キッチンの床下収納のサイズは主に「450mm」「600mm」「900mm」「1200mm」の4つだ。標準的なサイズは600mmなので、目安にするとよいだろう。調味料のストックやペットボトル、ホットプレートなども収納しやすい。また、洗面所の床下収納も600mmが基準になる。床下収納のサイズについては以下の記事でも紹介してるので、詳しく知りたい方はチェックしよう。
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9. 床下収納はDIYで後付けできる?

今のお住まいに床下収納がないご家庭もあるだろう。あるいは、床下収納はあるもののスペースを広げたいというケースもあるかもしれない。その場合、DIYなどで手軽に後付けや拡張ができるのだろうか?
DIYによる後付けは難しい
床下収納がない家庭は、DIYで床下収納庫を作りたくなるかもしれない。しかし、床下収納庫を作るためには専門的な知識と技術が必要で、床下の強度や構造を考えずに作業することは非常に危険だ。
コンクリートの位置や木材の強度の確認から始めることになり、さらに大掛かりな工事が必要になる。初心者にとって床下収納のDIYは難しいので、収納スペースを広げたい場合はリフォーム会社に相談しよう。
コンクリートの位置や木材の強度の確認から始めることになり、さらに大掛かりな工事が必要になる。初心者にとって床下収納のDIYは難しいので、収納スペースを広げたい場合はリフォーム会社に相談しよう。
結論
床下収納を使いこなすにはコツが必要だ。メリットやデメリットを把握したうえで、収納するものを厳選する必要がある。湿気やカビ、害虫の心配があるため、対策をすることも重要だ。また、見やすいように収納したり縦に並べたりして、出し入れしやすいように工夫しよう。床下収納専用カゴやファイルボックスといった、アイテムを活用するのもおすすめだ。