1. ぶどうは「洗わずに保存」するのが正しい理由
ぶどうを保存するにあたって基本となるのは、洗わずに保管するという点にある。買ってきたぶどうの果実の表面が汚れているように見えると、ついつい水で洗い流したくなる。しかしこれは禁忌である。その理由はなんであろうか。
ブルームを洗い流さないようにするため
保管前のぶどうを洗ってはいけない理由は、ブルームを除去しないことにある。ブルームとは、果粉とも呼ばれるぶどうの皮に付着している白い粉である。ブルームが残ることによって、ぶどうに含まれる水分が蒸発してしまうのを妨げる作用があるのである。つまり、新鮮なぶどうをなるべくそのままの状態で保ちたければ、洗わずにブルームは残しておくのがベストなのだ。
2. ぶどうの常温保存
ぶどうを保存するにあたって最適の温度は5~10℃とされている。ぶどうは冷蔵庫で保管するのが常識となっているが、そうすることで味が落ちる場合もある。なんらかの都合で冷蔵庫での保存がかなわず常温で保管する場合には、いくつかのコツが有益である。ぶどうを常温保存する場合の注意点をまとめてみた。
冷暗所での保存が基本
ぶどうは冷蔵庫へ入れてしまうと、味も香りもダウンしてしまいがちである。冷暗所で保存するのが理想なので、冷やして食べたい場合は、食べる直前に短時間で冷蔵しよう。ぶどうは当然のことながら傷があればそこから腐敗するため、新聞紙などでくるんでおくとよいだろう。クッションの役割を果たすように、新聞紙はある程度くしゃくしゃにしておくことをおすすめする。また、湿度や水分、高温は傷みの原因となる。1房ずつ新聞紙で包んだぶどうは、冷暗所に置くのが常識である。
保存方法と常温保存期間の目安
水分が命のぶどうは、常温保存の場合の保存期間は一般的に2~3日である。とくにぶどうが旬となる盛夏は、高温のため傷みやすくなることは避けられない。そのため、購入後は早めに食べることがなによりも好ましい。
3. ぶどうの冷蔵保存
ぶどうを入手した人の大半は、まずは冷蔵庫に入れることが多いだろう。前述したように、ブドウは冷蔵することで風味が落ちる可能性は考慮に入れておこう。また、傷みを予防するためだけにただ冷蔵庫に入れるだけではない。ぶどうの冷蔵保存にもいくつかの工夫をするだけで、質を保てるのである。その方法を見てみよう。
冷蔵保存する方法
粒が小さいデラウェアの場合は、房のままキッチンペーパーで優しく包み、なおかつ密閉容器に入れることで鮮度を保持できる。いずれの場合も、付着した水分はしっかり除去するのが重要である。
冷蔵保存期間の目安
ぶどうを冷蔵保存する場合には、粒をばらしておくとより長持ちをする。これは、果実の水分が幹のほうへと逆流することと無関係ではない。新聞紙などにくるんで房のまま冷蔵庫に保存した場合には、最大で5日ほど保管できる。粒をばらして密閉容器に入れた場合には、1週間を目安に食べきるのが一般的である。容器にもキッチンぺーパーを敷いておくと余分な水分を吸い取ってくれる。
4. ぶどうの冷凍保存と解凍方法
ぶどうをより長く保存したい場合に有効なのが冷凍保存である。通常の状態とは異なる食感を楽しめるうえ、常温や冷蔵とは比べ物にならないほど長期の保管が可能となる。ぶどうを冷凍保存する場合の工程を紹介する。
冷凍保存する方法
デラウェアなどの小粒のぶどうの場合は、軸を中心に流水で洗浄しキッチンペーパーで水分を除去、房ごとサランラップに包んで冷凍する。傷んでいる粒はあらかじめ取り除いておこう。また、流水で洗浄する際に直接果実の部分に水を当てると、実が落ちてしまうので注意が必要である。
解凍方法と食べ方
冷凍したぶどうの楽しみ方は、シャーベット風に食べることができる点にある。とくに暑い時期には、シャーベット状のぶどうはのど越しのよいおやつとなる。キンキンに凍っていても、半解凍でもどちらも美味である。小粒のぶどうの場合は、指でつまんでしばらくたつと人間の体温で自然に解凍できる。こちらも、少々凍ったままで口に入れても乙である。
ぶどうジュースにするのもおすすめ
冷凍したぶどうは、水につけると皮が簡単につるっとむける。また、皮ごとスムージーに入れてもいいだろう。ぶどうジャムにしたり、コンポートにしたりと、砂糖で煮て保存する方法もあるが、子どもが喜ぶジュース作りにチャレンジしてみても楽しい。その方法は以下を参考にしてほしい。
- 冷凍したぶどうを鍋に入れてざっくり実を潰す
- 鍋に水を加えて火を入れる
- アクをとりつつ煮る
- ザルに汁ごとあけ、ぶどうを潰しながら濾す
- 濾した液に砂糖とレモン汁を加えれば完成
こうしたジュースを作る際には、たとえば比較的手軽に入手できる種なしぶどう・デラウェアを使えば、さわやかですっきりした酸味を味わえる。完成後は清潔な瓶に入れ、冷蔵庫で保存すれば、3週間ほどもつだろう。
5. 巨峰など大粒のぶどうの保存方法は?
高級感のある大粒のぶどうも、ぜひ上手に保存して最後まで美味しく食べきりたい。基本的には、巨峰などのぶどうの保存法も小粒のそれと大差ない。いくつかの異なる注意点をここでは紹介する。
冷蔵保存する場合
巨峰などの粒の大きいぶどうを冷蔵保存する場合には、新聞紙やキッチンペーパーで包んで野菜室に入れるという方法がまず挙げられる。また、粒をばらす場合には密閉容器に入れて冷蔵する。
冷凍保存する場合
巨峰などの大粒のぶどうを冷凍する場合はどうであろうか。ぶどうの果実の部分を傷付けないように、はさみなどですべてばらす。これらを手早く水洗いし、キッチンペーパーでしっかりと水分を除去する。水気が取れたぶどうの果実は、フリーザーバッグや密閉容器に入れて冷凍するのである。
6. 干しぶどうにすれば長期保存も可能
食べきれなかったり、つい食べごろを逃して劣化しはじめてしまったぶどう。腐って捨ててしまう前にカゴに並べて天日干しにしたり、オーブンや電子レンジで加熱してレーズン作りにトライしてみてはどうだろうか。ポリフェノールたっぷりの皮と種も含み、果実全体をぎゅっと凝縮したレーズンは、栄養価が高い保存食品となる。乾燥することでカリウムやカルシウム、鉄、ビタミン類、パントテン酸なども増えるという嬉しい効果もある。水分の具合については自分で調整できるので、トライしてみると意外とハマるかもしれない。
7. ぶどうの正しい保存方法を覚えて美味しくいただこう
ぶどうは1年のうち出回る期間が限定されている。そのため、欲張って購入しすぎたり、夏の到来ものとして一度には食べきれない量が手に入ることも珍しくない。こうしたぶどうも、きちんとした保存をすれば最後まで美味しく食べることができる。保存のための手間をいとわないことも、美味しく食べきるための極意といえる。
結論
盛夏に清涼感をもたらしてくれるぶどうは、水分が多くデリケートなフルーツであるだけに保存にはことのほか気を遣うことになる。しかし、ちょっとした工夫によって、味も鮮度も落とさずにある程度の期間は保存が可能なのである。気軽に購入できる小粒のぶどうから高級感のある大粒のぶどうまで、上手に保管をして夏の味覚を味わってほしい。
この記事もCheck!