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パクチーとは?栄養や苦手な方向けおすすめレシピ・栽培方法も紹介!

パクチーとは?栄養や苦手な方向けおすすめレシピ・栽培方法も紹介!

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:管理栄養士 中山沙折(なかやまさおり)

鉛筆アイコン 2020年12月23日

タイ料理によく使われるパクチーは、その独特の香りが苦手な方も多いが栄養も豊富だ。本稿ではパクチーの基礎知識やトレンド、栄養や選び方、香りを抑えるコツや苦手な方にもおすすめの食べ方などを紹介する。最後に栽培方法にも触れているので、ご家庭で育ててみたい方はぜひ参考にしてほしい。

  

1. パクチーとは

パクチーがどういった野菜なのか、まずは基本から学んでいこう。

セリ科の一年草(ハーブ)

タイ料理でよく使われるパクチーとは、地中海東部原産とされるセリ科の一年草だ。中国語では「香菜(シャンツァイ)」英語では「コリアンダー」と呼ばれるハーブである。「パクチー」はタイ語であり、生の状態を指す。一方コリアンダーは英語圏で使われるスパイスとして、乾燥させ熟した実の部分を表すことが多い。日本でも、ここ数年で専門店が次々と登場するほど人気急上昇中だ。

パクチーの歴史

パクチーはその高い薬効から、古代エジプトやギリシャ、ローマといった都市で医療に使われていたほど長い歴史がある。日本では平安時代の書物に記録が残っていることから、10世紀までに中国より伝わったと考えられている。

好き嫌いが分かれる

パクチーといえば、その強烈な香りが特徴だ。実はパクチーの香り成分はカメムシと同じ「アルデヒド」由来のものである。中にはパクチーの香りでカメムシを思い浮かべたことがある方もいるだろう。クセや嗜好性が強いため、好き嫌いがはっきりする野菜である。

高い栄養価が注目されている

そんなパクチーだが、タイやベトナムなどでは食欲増進、消化促進効果やデトックス、殺菌作用のほか高い栄養価が評価され、多くの料理に利用されている。栄養価について詳しくは後述するが、とくにビタミン類を豊富に含んでいるのが特徴だ。肌の健康維持や活性酸素の抑制、皮膚や細胞のコラーゲン合成などの効果が期待できる。またパクチーの香り成分に含まれる「ゲラニオール」は、女性ホルモンの一種「エストロゲン」の分泌を助ける作用があるともいわれている。

2. パクチートレンド

独特な風味が特徴のパクチーは、ここ数年まれに見る「パクチーウェーブ」を引き起こしている。

「パクチスト」「パクチニスト」の誕生

子どものころから、エスニック料理やハーブ、スパイスなどに親しんできたと思われる世代が、いわゆる「インスタ映え」するパクチーの山盛り画像をSNSを通じて発信した。ここから「パクチスト」「パクチニスト」と呼ばれる人々が生まれ、パクチーブームのきっかけとなったといわれている。加えて1990年代の、タイ料理ブームを経験した世代の後押しもあったようだ。

さまざまなパクチー料理が登場

サラダはもちろん「パクチージュース」「パクチーかき氷」「パクチー鍋」「パクチースープ」「パクチーパスタ」「パクチーオムレツ」などパクチーが主役の料理がSNSを飾っている。だが本場・タイ料理ではパクチーの山盛りサラダも、パクチーを大量に使用する料理もメニューにはない。あくまで添え物という位置づけだ。パクチーを大量に使うような料理は、創作料理としてパクチー専門店で楽しむことができる。

3. パクチーの栄養と効能

パクチーの代表的な栄養素とその効能を見ていこう。

βカロテン(ビタミンA)

βカロテンはヒトの体内でビタミンAに変わる。活性酸素の活動を抑制したり取り除いたりする作用があり、動脈硬化の防止や老化・がんの予防、肌の健康を維持などに効果が期待されている抗酸化ビタミンの一種だ(※1・※2)。

ビタミンE

ビタミン全般に共通することとして、ヒトの体内ではほとんど合成できない。したがって、食品から効率よく摂取することが重要である。ビタミンEはβカロテンと同じ抗酸化ビタミンの一種で、水に溶けない脂溶性ビタミンに分類される。身体機能を正常に保つのに欠かせない栄養素で、脂肪や肝臓などに蓄えられる(※1・※3)。

ビタミンB2

ビタミンB2は水に溶ける水溶性ビタミンで、ヒトの体内でさまざまな代謝に関わる「酵素」の働きを助ける作用がある。血液といった体液に溶け込み、過剰に摂取されたものは尿で排出される(※3)。

ビタミンC

βカロテンやビタミンEと同じ、抗酸化ビタミンに分類されるのがビタミンCである。皮膚や細胞のコラーゲン合成に必須な栄養素であり、過酸化脂質の生成を抑える働きも持っている(※1・※3)。

カリウム

カルシウムやリンなどと並ぶ、代表的なミネラルの一種がカリウムだ。ナトリウムの排出を促す作用があり、塩分の摂り過ぎの調節に重要な役割を果たす。また筋肉の収縮にも関わるほか、細胞内液の浸透圧を一定に保つなどさまざまな働きをする栄養素でもある(※4・※5)。

カリウム同じく、人体に欠かせないミネラルの一種が鉄である。不足すると貧血を起こしたり集中力が低下したり、食欲不振を招いたりするほか、筋力の低下や疲労感が抜けにくくなるといった症状を招くこともある(※4・※6)。

4. パクチーの選び方と保存方法

続いて、パクチーを選ぶ際のポイントや保存方法を解説する。

新鮮なパクチーの見分け方

まずは葉に着目し、みずみずしさが感じられるものを選ぶのが基本だ。次に茎だが、こちらはハリがあって太すぎないもののほうが、香りがしっかりあるとされている。とくに薬効を期待するのであれば、香りがしっかりしている個体を選ぼう。

用途別の選び方

パクチーをどんな料理に使うかによっても、選び方が変わってくる。たとえばサラダやちょっとした風味づけには「生」を、煮込み料理や焼き物といった加熱料理あるいは、ピクルスなどに使いたいときは「ドライ」タイプがおすすめだ。

冷蔵保存と冷凍保存の基準

生のパクチーでサラダなどに使うときは冷蔵保存でOKだ。茎を水に浸してから濡らしたキッチンペーパーなどで全体を包み、ジッパー付きの保存袋に入れて野菜室で保存しよう。期間は長くても2週間ほどが目安となる。なお立てられるようであれば、立てて保存するのがベターだ。

一方、冷凍保存すれば1カ月ほどはもつ。葉は使いやすい大きさに刻んでジッパー付きの冷凍用保存袋に入れて冷凍庫へ、根の部分はラップに包んで冷凍室へ入れてそれぞれ保存しよう。なお冷凍したパクチーを使う際は、とくに解凍せずともそのまま料理に使える。

5. パクチーの香りを抑える方法

パクチーはその強烈な香りが苦手で食べられないという方もいるだろう。だがお伝えしたように、ビタミン類を始めとする栄養素が豊富な野菜であるため、摂取できるものなら摂取したいところだ。完全にゼロにすることはできないが、香りを抑える方法があるので覚えておこう。

加熱する

加熱することで、ある程度香り成分を飛ばすことができる。炒め物や煮物、揚げ物などに加えてみると香りをそれほど気にせず食べられるのではないだろうか?

乾燥させる

一方、乾燥させることでも香りを抑えられる。生のパクチーが苦手な方は、試しにドライタイプのパクチーを食べてみてほしい。香りがほとんどないことに気づくはずだ。生のパクチーを買ったときは、天日干しなどで乾燥させるとよいだろう。

包んだり混ぜたりする方法も

餃子や春巻きなど包む料理に使ったり、にんにくや生姜、ほかのハーブや玉ねぎ、納豆やオリーブオイルなど香りが強い食材と混ぜるといった方法もある。パクチーそのものの香りを抑えるというよりも「まぎれさせる」手段だが、試してみる価値はあるだろう。

6. パクチーが苦手な方におすすめのレシピ

パクチーブームではあるものの、やはりパクチストはどちらかというと少数派のようだ。とはいえパクチーは美容効果が高く薬効も期待できることから、普段の食生活に少量でも取り入れたいものである。日常メニューにおすすめの、食べやすいパクチーメニューをいくつか紹介しよう。

パクチーオイル

パクチーに含まれるβカロテンやビタミンEは脂溶性ビタミンで、油と一緒に摂ることで吸収率が高まる。少量のパクチーを刻み、ニンニクや唐辛子と共にオリーブオイルに漬け込んでみよう。ニンニクと唐辛子の風味でパクチーの香りがまぎれやすくなるとともに、少量でも栄養は摂れる。完成したものは、調味油としてパスタやチャーハン、ドレッシングなどに利用しよう。パクチーの量を少しずつ増やしていけば、風味を克服できるかもしれない。

パクチーの天ぷら

パクチーの葉をつみ、水で溶いた天ぷら粉をつけて油でさっと揚げると独特のクセが抜けやすい。ただし火の通りが早いため、揚げ過ぎには注意しよう。お好みの材料とともにかき揚げにしても食べやすい。

パクチーカレー

お伝えしたように、パクチーは煮込むと香りが飛びクセがなくなりやすい。これを生かし、カレーを煮込む際にペースト状にしたパクチーを加えてみよう。入れ過ぎるとカレー全体のパクチー感が強くなりすぎるため、味見をしながら量を調節するとよい。

7. パクチーの栽培方法

パクチーは種からでも苗からでも育てることができる。本稿では苗からの基本的な栽培方法を紹介するので、興味がある方はぜひ育ててみてはいかがだろうか?

パクチー栽培に必要なもの

  • プランター(1株に対し直径15cmほどが目安)
  • 鉢底石
  • 土(野菜の培養土)
苗は株がしっかりしており、下葉(根元の葉)が枯れていないものを選ぼう。また、株が大きすぎると植え付ける際に根付きしにくいため、できるだけ小さな苗を選ぶことをおすすめする。

植え付け

パクチーは一年草で暑さ寒さにはそれなりに強く、植え付けは年に2回ほどタイミングがある。春であれば3〜4月、秋であれば9〜10月頃がよいだろう。日当たりは健康な成長に欠かせないが、当たり過ぎもよくない。プランターの設置場所は「風通しと水はけのよい半日陰」を選ぼう。

またパクチーは「直根性」という根をもち、植え替えられるのを嫌う。そのため植え付けの際は、根を傷つけないように細心の注意を払いながら行い、10〜20cm間隔で植えていこう。最後に根鉢の上の部分が隠れるくらいまで土で覆い、手で株元を軽く抑えれば完了だ。

水やりと肥料

パクチーは水を好む。水やりは忘れずにしっかりと行うことが上手に育てるポイントだ。植え付けが済んで根付いたあとも、土の表面が乾いたタイミングでたっぷり水を与えるとよい。また夏場はとくに水切れを防ぐため、朝夕の1日2回の水やりをおすすめする。肥料については、土作りを自分でする方法もあるが、元肥が最初から施されている野菜の培養土を使うと簡単だ。

間引き

間引きとは、いくつかの苗を残してほかを抜き取る作業のことだ。栽培過程で育ってくると、葉同士が重なるなどして風通しや日当たりが悪くなる場合がある。そのままにすると病気にかかったり、十分育たなかったりするため成長の妨げになっているものがあれば間引きをしよう。間引いたパクチーは廃棄するのではなく、サラダなどにして食べるのがおすすめだ。

花芽摘み

花を楽しむのであれば別だが、葉の収穫が目的であれば花芽摘みも重要な作業である。パクチーが花を咲かせて種を残すたびに、どんどん養分が失われていく。そのため花芽を見つけたらその場で取り除くことが大切だ。「通常とは異なる葉をつけ始めた」「通常のものよりも茎が太い」といったパクチーは花芽を付けるので覚えておこう。

収穫

植え付けから40日ほどで収穫できる。春なら4〜5月頃、秋なら10〜11月頃になるだろう。見た目的には、葉が伸びて20cmほどになったのを目安にしよう。食べる分だけを株元から摘み取るか、株ごと引き抜こう。収穫が遅れると葉が細くなりすぎて、風味が落ちるので注意が必要だ。

結論

パクチーは好き嫌いが分かれる野菜だが、ビタミン類など身体にうれしい栄養素が豊富に含まれている。香りが苦手な方は、本稿で紹介したような加熱・乾燥といったひと工夫を施して香りを抑え、日々の食生活に上手に取り入れていこう。

(参考文献)

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  • 公開日:

    2017年11月28日

  • 更新日:

    2020年12月23日

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