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「玄米には毒がある」という噂は本当?アブシジン酸やフィチン酸とは?

「玄米には毒がある」という噂は本当?アブシジン酸やフィチン酸とは?

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:管理栄養士 中山沙折(なかやまさおり)

2021年3月19日

白米よりもビタミン類・ミネラル類・食物繊維などが豊富で注目を集めている玄米。健康志向の高い人は、好んで玄米を食べている人もいるのではないだろうか。しかし、その玄米の魅力に注目がある一方で、「玄米には毒がある」という暗い噂も囁かれている。そこで今回は「玄米の毒性」について調査を実施。本当に玄米に毒性があるのかについて解説する。

  
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1. そもそも毒とは何か?

毒とは人体に著しく悪影響を与える物質のことであり、そのような性質を「毒性」と呼ぶ(※1)。毒にはいくつか種類があるが、自然界の動物や植物に含まれる毒は「自然毒」と呼ばれる。また、自然毒にも数多くの種類があって、例えばフグのテトロドトキシン、トリカブトのアコニチンなどは非常に有名である。このような非常に強力な毒は最悪、命に関わることもあるので注意が必要だ。

2. 噂されている「玄米の毒」の内容とは?

世間一般でいわれている「玄米の毒」の内容には主に以下の2つがある。
  • フィチン酸によって体内のミネラルの吸収が阻害されてしまう
  • アブシジン酸によって細胞内のミトコンドリアが傷つけられてしまう
そして、一般的にはこのような成分をまとめて「玄米毒」と呼ぶことが多い。ただし「玄米毒」という名前はあくまで通称であり、正式にこのような毒があるわけではないので間違えないようにしよう。

3. フィチン酸の働きと毒性の有無

フィチン酸(イノシトール6リン酸)とはビタミンBの仲間であり、穀類や種子に多く含まれる物質である。また、穀類から生成されたフィチン酸は、食品の変色防止や酸化防止のための食品添加物として使われている。そんなフィチン酸の主な働きと毒性の有無について確認していこう。

フィチン酸の主な働き

一般的にフィチン酸には、強いキレート作用があるといわれている。キレート作用とは、ある物質がある金属物質と結びつく働きのことである。そして、フィチン酸の場合はカルシウム・銅・鉄・亜鉛などの必須ミネラルと結合することが知られている(※2)。また、フィチン酸は体内に吸収されないため、フィチン酸の含有量が多いと必須ミネラルは吸収されずに体外へ排出されてしまうという。

フィチン酸の毒性の有無

前述のとおり、フィチン酸には「ミネラルの吸収を阻害する」というマイナス面がある。しかし、玄米中のフィチン酸は、あくまで玄米内のミネラルと結合しているものとされている。そのため、玄米からのミネラルの吸収効率は悪くなるが、野菜・キノコ・海藻などからきちんとミネラルを摂取しておけば、玄米を食べてもミネラル不足・体調不良になる可能性は低いと考えられている。

4. アブシジン酸の働きと毒性の有無

アジシジン酸(ABA)とは植物ホルモンの一種であり、植物の成長や生理作用などに関与しているとされている。また、発芽をコントロールする働きがあるため「発芽抑制因子」と呼ばれている。そんなもう一つの玄米毒とされている「アブシジン酸」の働きと毒性の有無について確認しよう。

アブシジン酸の主な働き

植物ホルモンとして有名なアブシジン酸には種子の休眠・促進、発芽の阻害、気孔の開閉、乾燥・低温に対する反応など、主に植物の成長をサポートする働きがある。また、アブシジン酸はヒトの身体の中にも存在して、血中の好中球の活性化に関わっているとされている(※3)。そのほか、菌類や動物などからも、このアブシジン酸は検出されているそうだ。

アブシジン酸の毒性の有無

アブシジン酸の毒性の有無は、肯定する見解と否定する見解に分かれている(※4)。しかし、食品安全委員会では2010年3月に「米国環境保護庁がアブシジンの残留基準値を恒常的に免除した」ということを報告しており(※5)、一般的にはアブシジン酸には危険性がないとされている。そのため、現時点ではアブシジン酸が毒性を持つ可能性は低く、健康上の問題にはなりにくいと考えられる。

5. 玄米を吸水させれば毒性は失われる?

「玄米を吸水させて発芽モードにすれば毒性は失われる」とする内容も多く見られる。しかし、日本植物生理学会によれば「玄米を水につけてもフィチン酸・アブシジン酸ともに減少を期待するのは難しい」としている(※6)。ただし、玄米は水を吸いにくいため、きちんと時間をかけて吸水したほうが美味しく炊ける。少なくとも2~3時間程度は玄米を水につけておくとよいだろう。

結論

玄米には毒性があるといわれているが、今回調査した限りでは「玄米には毒性はない(少ない)」といえそうだ。そのため、これまで通り美味しく玄米を食べても問題はないと考えられる。ただし、玄米だけでは栄養バランスが偏ってしまうため、主菜・副菜・汁物なども食べて栄養バランスを整えるようにしよう。
【参考文献】
■※1:食品安全委員会「用語集検索(毒性及び毒性試験)」
https://www.fsc.go.jp/yougoshu/kensaku_dokusei.html
■※2:日本食品分析センター「フィチン酸について」
https://www.jfrl.or.jp/storage/file/news_no78.pdf
■※3:化学と生物「植物ホルモン・アブシジン酸の進化と機能」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/55/4/55_256/_pdf/-char/ja
■※4:国立国会図書館「レファレンス事例詳細」
https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000179393
■※5:食品安全委員会「食品安全関係情報詳細」
http://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu03090380108
■※6:日本植物生理学会「種子類の浸水と毒性の減少について (2)」
https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=3681
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  • 公開日:

    2017年12月16日

  • 更新日:

    2021年3月19日

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