1. 針供養について

■針供養の基本知識
針供養とは、1年間お世話になった針を供養するという風習のこと。もともと「事八日(ことようか)」と呼ばれる「事を始める」とされていた大事な日に、お世話になった道具を供養するという風習がある。そんな道具を供養するための代表的な行事が、針供養と呼ばれるものだ。針供養は、古くなった針や折れた針をこんにゃくなどに刺して、神社に収めたりすることで針への感謝と裁縫の上達を祈願する行事となっている。
■針供養の由来
針供養の由来に関しては諸説あるが、基本的には中国でおこなわれていたものが日本に伝わり、それが日本の事八日という行事や、和歌山市淡島神社の女性を守る神様の信仰などと交わり、現在の風習になったと言われている。
ただ、東北地方の一部では、針の山を盗んだという無実の罪を着せられたことで海に身を投げた女性を供養するため、などの悲しい言い伝えも残っている。
ただ、東北地方の一部では、針の山を盗んだという無実の罪を着せられたことで海に身を投げた女性を供養するため、などの悲しい言い伝えも残っている。
■針供養がおこなわれる時期
針供養がおこなわれる日は12月8日か2月8日のどちらかになっており、その時期は事八日と呼ばれる日の認識によって違う。各地域によって事八日の認識は変わっているが、事八日の詳しい説明は次項でおこなう。基本的には西日本では12月8日に、東日本では2月8日におこなわれていることが多いようだ。
2. 事八日について

■事八日とは?
事八日とは、2月8日と12月8日のことを指し、さまざまな事を始めたり、納めたりする日とされてきた。そのためそう聞くと、2月8日が一年の事始めで、12月8日が一年の事納めであると考える人が多いかと思う。しかし、実は2月も12月も事始めであり、事納めであると言われている。
その理由は、何を事と認識するかによって、始めの日と納めの日が変わるからである。2月8日を事始めとする場合は、田畑を耕すことなどの労働の事始め、12月8日を事始めとする場合は、新年に神様を迎えるための事始めという認識になっている。
その理由は、何を事と認識するかによって、始めの日と納めの日が変わるからである。2月8日を事始めとする場合は、田畑を耕すことなどの労働の事始め、12月8日を事始めとする場合は、新年に神様を迎えるための事始めという認識になっている。
■コトノカミ
事八日の「コト」は、本来祭り事を表すものであり、「コトノカミ」という神を祀るお祭りのことを指していたと言われている。地方によっての事八日の認識の違いは、このコトノカミを農耕の神としているか、年神としているかの違いである。コトノカミを農耕の神としている場合は、農耕の始まりである2月8日を事始め。年神としている場合は、年神を迎える準備が始まる12月8日が事始めとなる、ということだ。
3. 針供養でこんにゃくを使う理由

■こんにゃくに針を刺す理由とは
針供養では、針をこんにゃくに刺すということをおこなうが、何故針をこんにゃくに刺すのだろうか。その理由は、一年間針仕事をおこなってきた針を、こんにゃくのような柔らかいものに刺すことで、その労をねぎらう意味がある。そのため、ただこんにゃくに針を刺すのではなく、針への感謝の気持ちを込めてこんにゃくに針を刺して供養するという行為なのだ。
■こんにゃく以外も大丈夫?
前述の説明にもあるが、柔らかいものに刺すことでその労をねぎらうという意味があるため、針供養ではこんにゃく以外にも豆腐を使ったり、もちに刺したりするところもある。また、そうやって針の刺されたこんにゃくや豆腐を川に流して供養したり、土に埋めて供養したり、神社に納めて供養したりと、その供養の仕方も地方や神社によってさまざまあるようだ。
結論
モノを大事にし、モノに感謝するという気持ちは、日本人の持つ大事な心のひとつだと言える。針供養も、そんなモノのありがたみを感じる行事のひとつだ。家に錆びた針や折れた針があるという方は、事八日に神社に持ち込み、針供養に参加してみてはいかがだろうか。
この記事もCheck!