1. シャリとは?
シャリにはいくつか意味があるが、食事においては主に米粒や白飯などを意味する言葉である。特に日本では寿司用語として知られており、寿司屋でシャリといえば「ご飯(寿司飯)」のことを指す。寿司ではシャリよりネタのほうが注目されがちだが、本当に美味しい寿司を握るにはシャリのほうが重要とされている。なお、古くは赤酢を使った「赤シャリ」が一般的であった。
銀シャリとは?
銀シャリとは、炊きたての銀色に輝く白飯を意味する隠語である。銀シャリという言葉が使われるようになったのは、昭和中旬頃といわれている。当時、第二次世界大戦中(また大戦後)には白米は非常に高価な食糧であり、麦飯に比べて白く輝いていたため「銀シャリ」と呼ばれていたという。なお、シャリは寿司飯を指すことが多いが、銀シャリは白飯を指すことが多くなっている。
2. シャリはいつから使われている?
シャリという言葉が使われた時期は明確には分かっていない。しかし、真言宗の開祖として知られている空海(774~835年) は、『秘蔵記』の中で「天竺呼米粒為舎利。仏舎利亦似米粒。是故曰舎利。」と記している。これは簡単に現代語訳すると「天竺では米粒のことをシャリと呼ぶ」という意味になる。そのため、少なくとも8~9世紀頃にはシャリという言葉が使われていたと考えられる。
3. シャリの由来には何がある?
シャリの由来は現在でも明確にはなっていない。しかし、一般的には「舎利(仏語における遺骨のこと)に似ているから」という説や「サンスクリット語で米を意味するsari(シャリ)が使われた」という説などが有力となっている。そこでいくつかシャリの由来について確認しておこう。
その1.「舎利と似ていたから」という説
シャリは漢字にすると「舎利」であり、この舎利には梵語(サンスクリット語)で「遺骨/お釈迦様の骨」という意味がある。そして、白飯の色味や形が火葬したあとに残る遺骨(または分割されたお釈迦様の骨)に似ていたため、僧侶の間でご飯のことを「シャリ」と呼ぶようになる。なお、辞典などでも「遺骨に似ていることから」と説明されていることが多い。
その2.「サンスクリット語が使われた」という説
サンスクリット語では、米粒のことを「sari(シャリ)」と呼んでいる。それが仏教を通じて日本にも伝わり、日本でも白飯をシャリと呼ぶようになったという説である。なお、中国では舎利を意味する「sarira(シャリ)」と、米を意味する「sari(シャリ)」が混同されてしまい米のことも舎利と呼んでいるそうだ。しかし、この中国での間違いは、日本の「シャリ」とは関係ないとされている。
その3.「酢飯がシャリシャリしているから」という説
一般的にシャリの由来には、仏教やサンスクリット語が関係しているとされている。しかし、中には酢飯を作るときに「ご飯と酢をシャリシャリと混ぜ合わせるから(シャリシャリという音が鳴るから)」という説もあるようだ。寿司屋ならではのシャリの語源といえるだろう。
4. 美味しくシャリを作るポイント
寿司は古くから「シャリ6割、ネタ4割」といって、シャリのほうが美味しさの決め手として重視されてきた。また、最も美味しいシャリは「米がお酢をよく吸っており、それでいてサラッとしているもの」とされている。そこでここでは、シャリを美味しく作るポイントについて紹介しておこう。
ポイント1.うちわなどでよく冷ます
一般的にシャリ(酢飯)を作るときには、うちわや扇風機などで冷ますことが多い。この理由はいくつかあって、冷やすことで「白飯のツヤ感が引き立つこと」「程よく風味を感じるようになること」などが関係しているという。そのため、シャリを作るときはしっかりとご飯を冷やすのが望ましい。
ポイント2.新米より古米を多く使う
美味しいシャリを作るときには、古米を使ったほうがよいとされている。この理由は新米のほうが水分量が多いため、お酢を合わせると「ベチャ」とした食感になりやすいからだ。一方、古米は水分量が少なくなっているため、お酢を合わせても美味しく仕上がるとされている。
結論
シャリとは、寿司屋で使われることが多い「ご飯」の隠語である。しかし、その語源を調べてみると仏教やサンスクリット語などが関わっている可能性があるようだ。また、一般的には「舎利と似ていたから」という説が有力であるということも豆知識として覚えておくといいかもしれない。
【参考文献】
※:高野山大学密教文化研究所紀要「高野山舎利会の儀礼をめぐって」
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