1. 飯寿司の特徴、歴史や由来

なれずしの一種である飯寿司は、魚や米、野菜を米麹とともに樽に入れて漬け込み乳酸発酵させた寿司のことである。熟成した魚の旨みや野菜や米の甘み、そして乳酸特有のまろやかな酸味を楽しむことができる。飯寿司の読み方は、「いいずし」がなまり「いずし」という。
魚を美味しく保存するために生まれた寿司
飯寿司は北海道から東北地方にかけての沿岸部でよく作られており、元々は漁師料理だった。初雪が降るころの寒い季節に、魚を美味しく保存するために考え出された料理として現在まで伝わっている。飯寿司に使う魚には、北海道で獲れるホッケや鮭、ニシン、サンマ、ハタハタなどが多い。
2. 飯寿司の主な使用食材、カロリー、栄養

飯寿司の使用食材は、主にホッケや鮭などの魚、にんじんやキャベツ、大根などの野菜、しょうが、米、そして米麹である。
カロリーは100gあたり約150~200kcal
鮭の飯寿司は153kcal、ニシンの飯寿司は218kcalというデータがある。魚によっても脂質の多いものと少ないものがあり、脂が乗った魚ほど高カロリーとなっている。材料の種類や配合によっても差は出るが、飯寿司100gあたりのカロリーは150~200kcal程度のようだ。
飯寿司の栄養
カロリーも栄養も使う食材の違いによって異なるが、基本的には魚から主にたんぱく質と脂質、米から炭水化物を摂取できる。また、微量ではあるが野菜からビタミン類や食物繊維も得られる。ミネラル類に関しては、漬け込む際に塩を使うためナトリウムが多い。
3. 飯寿司の食習の機会や時季

飯寿司は低温発酵が必要な料理のため、気温の下がる晩秋から初冬にかけて漬け込まれる。主に、冬の料理・保存食として親しまれている。
正月などハレの日の料理
現在はスーパーなどで購入したものを食べることが多いが、かつてはどの家庭でも作られるほど地域に根付いた料理だった。とくに、晩秋から漬けた飯寿司を正月に食べる慣習があり、ほかにも親族が集まるハレの日にふるまう料理とされていた。現在も、正月などハレの日に飯寿司を食べる家は多い。
飯寿司を伝える取り組み
飯寿司を家で漬け込む人が減ってしまったことをふまえ、各地で団体が発足し飯寿司の作り方や食文化を継承する取り組みが行われている。その動きもあり、飯寿司は若い世代にも知られる伝統的な料理となっている。
4. 基本の飯寿司の作り方

米を硬めに炊き、冷ましてから下処理した魚、野菜、麹とともに樽に入れる。重しをして魚約1kg分の量で30~40日程度漬け込む。出てきた水気をきったら完成だ。
魚の塩抜きが重要
生魚はさばいて塩漬けにしてから、水で塩抜きする。塩抜きをしないと塩辛くて食べられないが、抜きすぎると味が抜けて保存性も落ちてしまう。塩抜きの加減は難しく、飯寿司の味の決め手ともなるため丁寧に行いたい。また、塩漬けではなく酢漬けにする方法もある。
5. 飯寿司の基本の食べ方、アレンジした食べ方

飯寿司は器に適量を盛ってそのままいただこう。食事としても酒の肴としても楽しめる。なれずしには酸味や匂いがきついものも多いが、比較的短期間で仕上げる飯寿司はマイルドで食べやすい。
炙っても美味しい
飯寿司はそのまま食べるのが基本の食べ方だが、少し炙ることで違った美味しさを楽しめる。魚焼きグリルにアルミホイルにのせた適量の飯寿司を入れ、表面に焼き目が付く程度に焼くだけだ。魚の脂が溶けだしてきて絶品である。レモンを絞って食べるのもおすすめだ。
結論
なれずし自体を食べたことのない人にとっては、飯寿司の味は想像できないかもしれない。ややハードルが高いが自宅でも作ることができるため、試してみてはいかがだろう。一般的な寿司よりもごはんの量も少なく消化酵素なども摂取できるため、美味しいだけでなく身体にもよさそうだ。
(写真出展)
農林水産省 うちの郷土料理 飯寿司
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/izushi_hokkaido.html
農林水産省 うちの郷土料理 飯寿司
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/izushi_hokkaido.html
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