1. 居酒屋の前菜の呼び方

居酒屋や料理店では、注文した料理が提供される前に、小鉢料理などが出されることがある。具体的に提供される料理はお店によって異なるが、一般的にこれらの料理は、お通し(おとおし)、突き出し(つきだし)、先付け(さきづけ)などと呼ばれている。また、この呼び方には地域差があり、関東では主に「お通し」が使われており、関西では主に「突き出し」や「先付け」が使われている。
居酒屋の前菜の主なメニュー
居酒屋や料理店などで提供されるお通しや突き出しはお店によって異なるが、一般的には塩辛類、枝豆、酢の物、和え物、珍味類などが提供されることが多い。また、通常は小鉢やお猪口、珍味入れなどに少量入っている状態で提供されることが多くなっている。
2. お通しや突き出しの由来・意味

居酒屋などで出される前菜の呼び方には地域差があり、関東では「お通し」と呼び、関西では「突き出し」と呼ぶことが多い。ここでは、それぞれの由来や意味などについて紹介する。
関東で使われる「お通し」とは?
辞書・辞典を調べると、お通し(通し)とは「料理屋で客の注文した料理ができる前に出す簡単な食品」などと解説されている。また、お通しには「注文を厨房・会計に通した」という意味があり、店員が間違いなく注文を受けたという証明になっているそうだ。このお通し制度が誕生した時期は明確ではないものの、いくつかの文献から昭和初期には誕生していたとわかっている(※1)。
関西で使われる「突き出し」とは?
こちらを辞書・時点で調べると、突き出し(つきだし)とは「本料理の前に出す小鉢物など」「酒の肴として出すちょっとしたつまみ」などと解説されている。お通しには注文を受けてから提供するという意味があるが、突き出しには「客の注文に関係なくまず提供する」という意味があるそうだ。諸説あるが、料理店が自分の店の味を客に確認してもらうために提供していたと考えられている。
3. お通しや突き出しの目的・役割

お通しや突き出しには、お客にとってもお店にとってもメリットが多い制度である。そこで、お通しや突き出しの目的・役割などについて確認しておこう。
お客側にとってのお通し・突き出し
手早く提供されるお通し・突き出しは、酒の肴にすることができる。お店によっては短時間で提供できるスピード料理を用意していることも多いが、通常は注文から料理が提供されるまでに時間がかかる。そのため、お通しが提供されることで、すぐに乾杯することが可能だ。空腹時にお酒を飲むのはよくないため(※2)、お通しや突き出しは身体をいたわることに役立つ。
お店側にとってのお通し・突き出し
お通し・突き出しは有料であるため、お客から席料・チャージ料を取れる。海外でいうところのチップに相当するものといえるだろう。お通しの代金はお店によって変わるが、一般的には300~500円程度であることが多い。なお、店舗によってはお通しカットができる場合もあるようだ。その他、お通しは注文を受けた客に提供するため、店員同士で最初の注文を受けたか分かるメリットもある。
4. おつまみやアテとの違いとは?

お通しや突き出しと似た言葉に、「おつまみ」や「アテ」がある。これらはお酒と一緒に提供される料理の総称であり、必ずしも最初に出されるわけではない。例えば、お酒と一緒に食べる場合であれば刺身・焼き物・揚げ物などもおつまみ・アテと呼ばれる。なお、この酒の肴の呼び方にも地域差があり、関東では「おつまみ」と呼び、関西では「アテ」と呼ぶことが多くなっている。
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結論
居酒屋や料理店などで注文した料理が提供される前に出される前菜は、関東では「お通し」、関西では「突き出し」と呼ばれている。そんなお通しはお客にとっても、お店にとってもメリットが多い制度である。お酒に合う料理もたくさんあるので、お酒のおつまみとして楽しむとよいだろう。
(参考文献)
- ※1:レファレンス協同データベース「1.日本で席料やお通しが一般的になったのはいつごろか知りたい。」
https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000291982 - ※2:e-ヘルスネット「飲酒のガイドライン」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-03-003.html
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