目次
1. ヤーコンとは?

ヤーコンとは、南アメリカ大陸アンデス高地原産のキク科スマランサス属の根菜である。形と大きさはサツマイモと非常によく似ており、重さは通常300~600g程度となっている。しかし、果肉は果物の梨のようにシャリシャリとしていて、ほんのりと甘いという。また、日本ではペルー系のヤーコンのほか、品種改良された「アンデスの雪」「サラダオカメ」なども栽培されている(※1)。
ヤーコンの歴史と現在
ヤーコンの歴史は古く、紀元前から南アメリカ大陸のアンデス高地では食べられていたという。適応性が高くて荒れた土地でも育てやすいこと、1株から合計で3~6kg程度も芋が取れることなどの理由から、当時のアンデス人にとっては重要な食料であった。なお、2000年頃まではあまり知られていなかったが、近年はその機能性の高さが明らかになり世界中で注目を集めるようになっているという。
ヤーコンの主な産地と旬
ヤーコンは元々南アメリカ大陸で作られていたが、1984年以降は日本にも導入されて栽培が開始されている。特に涼しい地方での栽培が適しているため、北海道・福島県・岩手県・茨城県などでの栽培が盛んである。ヤーコンは一般的に10~12月頃に収穫されるが、出荷するまでに1~2か月ほど保存しておくことが多い。そのため、11月~翌年2月頃にかけて市場には多く出回るという。
2. ヤーコンの主な栄養価と栄養面の特徴

文部科学省の「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」には、「生ヤーコン」と「水煮ヤーコン」の栄養価がそれぞれ収録されている(※2)。ここではより一般的な「生ヤーコン」の100gあたりの栄養価を紹介する。また、ヤーコンの特徴的な栄養素や成分なども確認しておこう。
生ヤーコン100gあたりの栄養価
- エネルギー:54kcal
- たんぱく質:0.6g
- 脂質:0.3g
- 炭水化物:12.4g
- 脂肪酸
・飽和脂肪酸:0g
・一価不飽和脂肪酸:0g
・多価不飽和脂肪酸:0g - ビタミン
・βカロテン:22μg
・ビタミンD:0μg
・ビタミンE:0.2mg
・ビタミンK:0μg
・ビタミンB1:0.04mg
・ビタミンB2:0.01mg
・ナイアシン:1.0mg
・ビタミンB6:0.08mg
・ビタミンB12:0μg
・葉酸:25μg
・パントテン酸:0.02mg
・ビオチン:0μg
・ビタミンC:3mg - ミネラル
・ナトリウム:0mg
・カリウム:240mg
・カルシウム:11mg
・マグネシウム:8mg
・リン:31mg
・鉄:0.2mg
・亜鉛:0.1mg
・銅:0.07mg
・マンガン:0.07mg
・ヨウ素:0μg
・セレン:0μg
・クロム:0μg
・モリブデン:0μg - 食物繊維:1.1g
(・水溶性食物繊維:0.3g)
(・不溶性食物繊維:0.8g)
ヤーコンの栄養面の特徴とは?
近年ヤーコンが注目されている理由は、イモであるにも関わらずデンプンが少なくて「フラクトオリゴ糖」を多く含んでいるからだ。フラクトオリゴ糖は消化されにくい物質であるため、腸内環境を改善する役割などがあるという。また、ポリフェノール類も多く含んでおり、高い抗酸化作用があるともいわれている。しかも、100gあたり54kcalとヘルシーなのも注目される理由の一つになっている。
3. 美味しいヤーコンを選ぶポイント

スーパーや八百屋などでヤーコンを購入するときには、できる限り新鮮で美味しいものを選ぼう。以下のように「外皮」「形(大きさ)」「重さ」などを参考にして選ぶようにしよう。
- 外皮:ハリがあり、変色がないもの
- 見た目:ふっくらと太っているもの
- 重さ:見た目以上に重く感じるもの
一方で皮に傷や変色が見られたり、細かったりするものは、鮮度が落ちていたり、甘みが弱かったりするという。また、時間が経ち鮮度が落ちると外皮にシワができたり、軽く感じたりするようだ。実際に購入するときには、ヤーコンを手にもって重量感を確認するようにしよう。
4. ヤーコンの下ごしらえのやり方

ヤーコンは生でも食べることが可能だ。しかし、カットすると変色しやすいため、水に浸けて酸化を防ぐ必要がある。そこで以下のようにして、ヤーコンの下ごしらえを行うようにしよう。
- ピーラーなどでヤーコンの皮を剥く
※皮は捨てずにキンピラなどにするとよい - ヤーコンを適当な大きさにカットする
- カットしたヤーコンを酢水にさらしておく
5. ヤーコンの美味しい食べ方5選

ヤーコンはサラダ・和え物・炒め物・酢の物・煮物・揚げ物・漬物などさまざまな方法で美味しく食べられる。生で食べるとヤーコン本来のシャリシャリ感を楽しめて、煮たり炒めたりするとホクホク感が味わえる。ここではそんなさまざまある食べ方の中から、おすすめの5種類を紹介する。
食べ方1.ヤーコンサラダ
ヤーコンの食感や味わいを存分に楽しむならヤーコンのサラダがおすすめだ。シンプルなもので良いなら、短冊切り(細切り)にしたヤーコンをマヨネーズで和えれば完成となる。また、キュウリやニンジンを一緒に和えたり、七味や粒マスタードでアクセントを付けたりしても美味しく食べられる。
食べ方2.ヤーコンの浅漬け
サラダと同じように浅漬けにしてもヤーコンの食感が楽しめる。作り方は簡単で、スライスしたヤーコンをチャック付き保存袋に入れて、昆布だしと塩を揉み込んで一晩置いておくだけだ。また、さっぱりとした味わいにしたいなら、千切りした大葉を一緒に漬け込むのがおすすめとなっている。
食べ方3.ヤーコンの天ぷら
ヤーコンを天ぷらにするとサツマイモのようなホクホクとした食感を楽しめる。作り方は、ヤーコンを1cm程度の厚さに輪切りにする。それから小麦粉と卵を合わせた衣をまぶして、170℃程度に熱した油で両面がきつね色になるまで揚げれば完成。できた天ぷらは塩や天つゆなどで美味しく食べよう。
食べ方4.ヤーコンの炒め物
ヤーコンを炒め物の具材に使うのもおすすめだ。中華炒めやソテーなど、さまざまな炒め物に使うことができる。ヤーコンの食感を楽しみたいなら短冊切り、アクセントとして使いたいなら細切りにするとよい。色々な味付けを試して、自分好みのヤーコン炒めを探してみよう。
食べ方5.ヤーコンの皮のキンピラ
ヤーコンの皮を使ってキンピラを作るのもおすすめだ。皮が薄いと食べ応えが足りないので、皮をやや厚めに剥いておくのがコツ。フライパンにゴマ油を引き、ヤーコンの皮とニンジンを一緒に炒めよう。食材に火が通ってきたら、醤油・酒・砂糖・みりんを入れて炒め煮にすれば完成となる。
6. ヤーコンの上手な保存方法

ヤーコンは適切に温度管理をすれば長期保存が可能だが、一般家庭では難しい。そのため、購入したらできるだけ早めに使い切るようにする。丸のまま保存する場合は、乾燥を防ぐためにヤーコンを新聞紙などに包んでから、ポリ袋に入れて冷暗所で保管しよう。また、使いかけを保存する場合は、ヤーコンをラップで包んでから、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存しよう。
結論
南アメリカ大陸原産のヤーコンは、フラクトオリゴ糖やポリフェノールなどが豊富であることから昨今注目を集めているようだ。また、その味わいや食感も独特で美味しいため人気がある。流通量こそ少ないが、スーパーや八百屋で売られていたり、オンラインショップなどで購入できたりするので興味があるなら探して見るといいだろう。
【参考文献】
- ※:日本ヤーコン協会「ヤーコン」
https://www.yacon.jp/%E3%83%A4%E3%83%BC%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%81%A8%E3%81%AF/ - ※1:農研機構「ヤーコンの新品種「アンデスの雪」、「サラダオカメ」」
https://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/warc/2003/wenarc03-01.html - ※2:文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365419.htm