1. 牡蠣の基本的な栄養価とは?
「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」には、生牡蠣・牡蠣水煮・カキフライなどの栄養価が収録されている。そこでまずは基本となる「牡蠣(養殖、生)」の栄養価を確認しておこう。
牡蠣(養殖、生)の栄養価
- エネルギー:70kcal
- たんぱく質:6.9g
- 脂質:2.2g
- 炭水化物:4.9g
- 脂肪酸
・飽和脂肪酸:0.41g
・一価不飽和脂肪酸:0.21g
・多価不飽和脂肪酸:0.6g - ビタミン
・βカロテン:6μg
・ビタミンD:0.1μg
・ビタミンE:1.3mg
・ビタミンK:0μg
・ビタミンB1:0.07mg
・ビタミンB2:0.14mg
・ナイアシン:1.5mg
・ビタミンB6:0.07mg
・ビタミンB12:23.1μg
・葉酸:39μg
・パントテン酸:0.54mg
・ビオチン:4.8μg
・ビタミンC:3mg - ミネラル
・ナトリウム:460mg
・カリウム:190mg
・カルシウム:84mg
・マグネシウム:65mg
・リン:100mg
・鉄:2.1mg
・亜鉛:14.5mg
・銅:1.04mg
・マンガン:0.39mg
・ヨウ素:67μg
・セレン:46μg
・クロム:3μg
・モリブデン:4μg - 食物繊維:0g
(・水溶性食物繊維:0g)
(・不溶性食物繊維:0g)
2. 牡蠣に含まれる特徴的な栄養素
牡蠣はプリプリとした食感が美味しいだけでなく、実はミネラル類・ビタミン類・アミノ酸を豊富に含んでいる(※2)。特にミネラル類は亜鉛や鉄分が豊富で、ビタミン類はビタミンB群が豊富となっている。そんな牡蠣に含まれる特徴的な栄養素についても確認しておこう。
その1.亜鉛・鉄分など
生牡蠣に含まれる亜鉛量は「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」に収録されている全食品中4位とトップクラスとなっている。亜鉛は、たんぱく質やDNAの合成などに必要な栄養素で、味覚などにも関与している(※3)。また、牡蠣は鉄分や銅など、亜鉛以外のミネラル類も多く含んでいる。これらは体内では少量しか存在しないが、人間が健康的に過ごすためには欠かせない栄養素である。
その2.ビタミンB群など
牡蠣はビタミン類も多く含んでおり、特にビタミンB12をはじめとするビタミンB群が豊富となっている。ビタミン類の働きはそれぞれ異なるが、ビタミンB12にはタンパク質や核酸の合成や、アミノ酸や脂肪酸の代謝をサポートする働きがある(※3)。ちなみに成人男性(18~64歳)のビタミンB12の1日の推奨量は2.4μgであり、牡蠣を1粒(20g程度)食べれば1日分のビタミンB12を補える。
その3.タウリンなど
前述の栄養価には記載されていないが、牡蠣にはタウリン・アラニン・グリシンなどのアミノ酸も多く含まれている。特に注目されているのが機能性成分でもある「タウリン」で、これには体内のコレステロールを減らすなどの役割があるといわれている(※4)。タウリンは体内でも生成されるが、不十分であるため牡蠣などの食品から補う必要がある。
3. 牡蠣の重さ別の主な栄養素を紹介
100gあたりの牡蠣の栄養価は前述のとおりだが、牡蠣の粒の大きさ(重さ)はそれぞれ異なる。そこで牡蠣の大きさ(重さ)別に、三大栄養素をはじめとする栄養価を以下にまとめておく。
- 特大(25g程度):カロリー18kcal、たんぱく質1.7g、脂質0.6g、炭水化物1.2g、食物繊維0g
- 大(20g程度):カロリー14kcal、たんぱく質1.4g、脂質0.4g、炭水化物1g、食物繊維0g
- 小(15g程度):カロリー11kcal、たんぱく質1g、脂質0.3g、炭水化物0.7g、食物繊維0g
4. 牡蠣の調理法別の主な栄養価
「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」には生牡蠣以外にも、水煮・フライ・燻製油漬に関する栄養価が収録されている。100gあたりの栄養価は、調理法によって以下のように大きく変化する。
- 水煮:カロリー105kcal、たんぱく質9.9g、脂質3.6g、炭水化物7.1g、食物繊維0g
- フライ:カロリー262kcal、たんぱく質7.6g、脂質11.1g、炭水化物32.9g、食物繊維0g
- くん製油漬缶詰:カロリー298kcal、たんぱく質12.5g、脂質22.6g、炭水化物11.2g、食物繊維0g
- (参考)生:カロリー70kcal、たんぱく質6.9g、脂質2.2g、炭水化物4.9g、食物繊維0g
生牡蠣に比べると、いずれも100gあたりの栄養価は高くなっている。特にフライや燻製油漬のように食用油を使う場合には、脂質量が多くなりカロリーが高くなってしまう。フライや燻製油漬も美味しい食べ方ではあるが、ダイエットやカロリー制限をしている場合には食べ過ぎに注意しよう。
結論
食感も味も美味しい牡蠣は、実はミネラル類・ビタミン類・アミノ酸などが豊富な食材である。しかも現在は養殖物が一年中流通しているので、比較的手に入れやすいことも特徴だ。なお、市販されている牡蠣には「生食用」と「加熱用」があるので、パッケージやラベルなどの表示に従って正しく調理しよう。
【参考文献】
- ※1:文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365419.htm - ※2:広島県漁業協同組合連合会「かきパワー」
http://www.hs-gyoren.jp/kakipw.html - ※3:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf - ※4:厚生労働省e-ヘルスネット「タウリン」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-017.html