1. 牡蠣ってどんな貝?
ゴツゴツと岩のような二枚貝とミルキーな身が特徴的な牡蠣は、英語で「Oyster(オイスター)」という。もちろんオイスターソースの主原料だ。しかしオイスターは牡蠣だけではなく、岩など硬い基盤に着生する、表面が粗く形が不定形な二枚貝すべてを含む。まずは、牡蠣の基礎知識から簡単に解説しよう。
栄養豊富な「海のミルク」
乳白色をした身には、牛乳のように栄養がたっぷり詰まっている。このことから「海のミルク」と呼ばれる。たんぱく質やビタミンも含まれるが、中でもミネラルが豊富でリン・鉄・亜鉛・銅などを多く含む。とりわけ注目したいのは日本人に不足しがちな亜鉛だ。厚生労働省によれば、1日の必要摂取量は成人男性で11mg、女性で8mgとされている。牡蠣の可食部100gあたりには、亜鉛が14.5mgも含まれているのだ(※1・※2)。
広島県は日本一の牡蠣の産地
牡蠣は日本各地で生産されている。2015年の生産量全国トップ3は1位広島県、2位宮城県、3位岡山県だが、宮城県の1.87万トンと岡山県1.07万トンに対し、広島県の生産量はなんと10.68万トンである。広島県は、2位の宮城県の5倍以上の生産量を誇る全国でも有名な牡蠣の生産地だ。
牡蠣は養殖の方が美味しい?
牡蠣はベッコウガキ科とイタボガキ科に大別されるが、細分化すると食用に適さないものもある。世界中で牡蠣といえば一般的に真牡蠣を指すが、これはイタボガキ科真牡蠣属の牡蠣である。食用目的で養殖されている牡蠣のほとんどが真牡蠣であり、また市場に流通している真牡蠣のほとんどが養殖である。
養殖と聞くと天然より劣るイメージがあるかもしれないが、真牡蠣に関しては当てはまらない。なぜなら天然の牡蠣が着生する場所は餌が少ないため身が小さく、味わいも今ひとつといったものが多いためだ。したがって真牡蠣は、養殖の方が美味しいといわれている。
養殖と聞くと天然より劣るイメージがあるかもしれないが、真牡蠣に関しては当てはまらない。なぜなら天然の牡蠣が着生する場所は餌が少ないため身が小さく、味わいも今ひとつといったものが多いためだ。したがって真牡蠣は、養殖の方が美味しいといわれている。
2. 「牡蠣はRのつく月に食べる」といわれるのはなぜ?
牡蠣について調べていくと「Rのつく月に食べる」「Rのつく月以外は食べるな」といった表現に辿り着くことがある。果たしてどういう意味なのだろうか?
Rのつく月とは?
- 1月:January
- 2月:February
- 3月:March
- 4月:April
- 5月:May
- 6月:June
- 7月:July
- 8月:August
- 9月:September
- 10月:October
- 11月:November
- 12月:December
Rとは当然英語だ。したがって12カ月それぞれの月を英語にしたときに「R」が含まれている月のことを指す。ここから分かるように、Rのつく月とはSeptember(9月)からApril(4月)ということになる。この時期に牡蠣を食べよ(この時期以外は牡蠣を食べるな)という意味だ。
この言葉が生まれた背景
実はこれは、欧米に古くから伝わることわざのようなものである。日本にも「花見過ぎたら牡蠣食うな」という似たようなことわざがある。なぜこうしたことわざが生まれたのだろうか?理由は大きく2つ考えられる。
1つは、牡蠣の産卵期が夏であり、甘みのもとになるグリコーゲンが消費され味わいが低下するということである。そしてもう1つは、海水温が上がり貝毒・腸炎ビブリオ・ノロウイルスといった細菌やウイルスによる食中毒のリスクが高まるということのようだ。あるいは、古い時代のことわざなので、冷蔵技術が発達していなかったことも関係しているかもしれない。
1つは、牡蠣の産卵期が夏であり、甘みのもとになるグリコーゲンが消費され味わいが低下するということである。そしてもう1つは、海水温が上がり貝毒・腸炎ビブリオ・ノロウイルスといった細菌やウイルスによる食中毒のリスクが高まるということのようだ。あるいは、古い時代のことわざなので、冷蔵技術が発達していなかったことも関係しているかもしれない。
3. 本当に「Rのつく月」以外に牡蠣を食べてはいけない?
日本で考えてみよう。たしかに東北・三陸海岸で広く養殖されている「真牡蠣」の旬は、夏の産卵に備えて栄養を蓄積する冬である。しかし、日本海側を中心に養殖されている「岩牡蠣」は夏に旬を迎える旬の時期についてもう少し詳しく解説しよう。
真牡蠣の旬
旬を迎えた牡蠣は栄養価が高く、身が引き締まって旨味が増す。海面下50cmから3mほどの浅い場所で養殖される真牡蠣の旬は11~3月、つまり冬である(北海道や岩手県の一部の海域では夏に旬を迎えるものもある)。
岩牡蠣の旬
一方の岩牡蠣は5~8月、そう「R」のつかない夏が旬である。岩牡蠣は海面下5~10mほどの岩場に着生し、養殖よりも天然物が多い。そのため大量生産が難しく、真牡蠣に比べて希少価値が高い。当然値段も高く、相場が1粒300~600円程度の真牡蠣に対し、岩牡蠣の値段は1粒1000円以上が普通である。
Rのつかない月でも美味しい牡蠣はある
岩牡蠣の時点で「Rのつかない月に食べるな」は当てはまらないわけだが、ほかにも輸送技術の発達によって季節が間逆である南半球からの牡蠣が届くこともあるし、通年味わえる「三倍体」という品種もある。したがって、当然食中毒などにはくれぐれも気をつける必要はあるが、Rのつかない月でも美味しく食べられる牡蠣はあると考えてよいだろう。
4. 絶品!牡蠣を使ったおすすめのレシピ
牡蠣は美味しいが食中毒の危険性もある。現在は食中毒を回避するためさまざまな対策が講じられているが、十分に火を通して食べることで食中毒のリスクを減らせる。生食が好物という方も多いが、牡蠣を使った料理は幅広くいずれも美味しい。今年の冬はフライ以外の牡蠣料理にもぜひ、チャレンジしてみてほしい。
土手鍋のレシピ
- 牡蠣を洗い、水気を切る
- ネギや豆腐など、好みの具材を食べやすい大きさに切る
- 味噌・砂糖・みりんを入れた鍋を弱火にかけて煮る
- 「3」の味噌を土鍋のふちに塗る
- 水・出汁・具材を鍋に入れて火にかける
牡蠣飯のレシピ
- 牡蠣を洗う
- 酒・みりん・醤油・生姜(千切り)を鍋にかけ、沸騰したら牡蠣を入れる
- 沸騰する頃に火を止め、煮汁と牡蠣の身に分ける
- 煮汁を鍋に戻し、出汁を加えて沸騰させたら灰汁をとって冷ます
- 炊飯器に研いだ米と「4」の煮汁を入れて炊く
- 炊きあがったら「3」で取り出した牡蠣を炊飯器に入れ、少し蒸らす
味噌焼きのレシピ
- 牡蠣を洗い、酒で下味をつける
- 水気を軽く切って片栗粉をまぶす
- フライパンにサラダ油を熱し、牡蠣の両面に焼き色をつける
- 酒を加え、蓋をして蒸し焼きにする
- 味噌・みりん・砂糖・醤油を混ぜて牡蠣にかける
結論
「Rのつく月」以外にも美味しく食べられる牡蠣はある。一般的によく食べられている真牡蠣の旬は冬、温かい料理が美味しい季節だ。広島県の郷土料理である土手鍋で、体を温めながら美味しい牡蠣を堪能してはいかがだろうか?
(参考文献)
- 1:文部科学省 食品成分データベース「魚介類_かき_養殖、生 - 一般成分-無機質-ビタミン類-アミノ酸-脂肪酸-炭水化物-有機酸等」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=10_10292_7 - 2:厚生労働省「亜鉛 _ 海外の情報 _ 一般の方へ _ 「統合医療」情報発信サイト 厚生労働省 「統合医療」に係る情報発信等推進事業」
https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c03/12.html