1. 赤玉ねぎ(レッドオニオン)とは?

赤玉ねぎ(レッドオニオン/紫玉ねぎ)とはヒガンバナ科・ネギ属の玉ねぎの一種で、外皮や表皮が赤紫色であることが特徴の玉ねぎである。辛味や刺激臭が強い普通の玉ねぎとは異なり、甘みが強くシャキシャキとした食感が特徴であり、生のままサラダなどで食べることが可能だ。なお、フレンチなどでよく使われるエシャロットにも似ているが、品種は異なるので混同しないよう注意が必要だ。
赤玉ねぎの主な品種と特徴
日本国内に流通している赤玉ねぎの品種はいくつかある。主要なものは以下のとおりである。
- アーリーレッド:1984年に静岡県浜松市で誕生した品種
- 湘南レッド:1961年に神奈川県農業技術センターで誕生した品種
- くれない:北海道の端野地区で作られている限定品種およびブランド
- 猩々赤(しょうじょうあか):タキイ種苗が交配して作った品種
赤玉ねぎの品種には上記のほかに、早生湘南レッド・岐阜レッド・甲高ルージュなどがある。いずれも通常の黄色い玉ねぎに比べてみずみずしく、甘みが強いことが特徴となっている。また、果肉部分は白く表皮部分が赤いため、彩りがキレイであることも赤玉ねぎに共通する特徴となっている。
赤玉ねぎの旬と流通量
赤玉ねぎは通年で生産されており、旬は地域によって異なる。例えば、神奈川県の「湘南レッド」は6月~7月頃に多く出回り、北海道の「くれない」は8月~翌年3月頃に多く出回っている。また、東京都中央卸売市場「市場統計情報」によれば2019年のアーリーレッドの流通量は約3,879トンであり、地域別に見ると北海道が2,271トン(約58%)の生産量でトップとなっている(※1)。
エシャロットとの違いは?
赤玉ねぎと似ている野菜の一つに赤茶エシャロットがある。エシャロットは玉ねぎの一種であるが、変種であり玉ねぎとは異なる品種となっている。学名で言うとエシャロットは「Allium cepa L. var. aggregatum」であり、普通の玉ねぎの「Allium cepa」と比べても異なることが伺える。また、エシャロットには数多くの種類があり、欧州委員会(EC)には67品種が登録されている(※2)。
2. 赤玉ねぎの栄養価と玉ねぎとの違い

赤玉ねぎは通常の玉ねぎに比べると全体的に栄養価が低めである。しかし、赤玉ねぎには赤紫色のポリフェノールである「アントシアニン」が多く含まれている(※3)。そこで赤玉ねぎの栄養価を確認してから、アントシアニンの特徴について確認していこう。
赤玉ねぎの栄養価
文部科学省の「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」によれば、100gあたりの赤玉ねぎ(生)の栄養価は以下のようになっている(※4)。
- エネルギー:38kcal
- たんぱく質:0.9g
- 脂質:0.1g
- 炭水化物:9.0g
- 脂肪酸
・飽和脂肪酸:0.01g
・一価不飽和脂肪酸:0g
・多価不飽和脂肪酸:0.03g - ビタミン
・ビタミンA:0μg
・ビタミンD:0μg
・ビタミンE:0.1mg
・ビタミンK:0μg
・ビタミンB1:0.03mg
・ビタミンB2:0.02mg
・ナイアシン:0.1mg
・ビタミンB6:0.13mg
・ビタミンB12:0μg
・葉酸:23μg
・パントテン酸:0.15mg
・ビタミンC:7mg - ミネラル
・ナトリウム:2mg
・カリウム:150mg
・カルシウム:19mg
・マグネシウム:9mg
・リン:34mg
・鉄:0.3mg
・亜鉛:0.2mg
・銅:0.04mg - 食物繊維:1.7g
(・水溶性食物繊維:0.6g)
(・不溶性食物繊維:1.1g)
赤玉ねぎに多いアントシアニンとは?
赤玉ねぎには、紫色のポリフェノールであるアントシアニンが多く含まれている。アントシアニンの働きはいくつかあるが、有名なものが「抗酸化物質」として体内の活性酸素を取り除くというものだ(※5)。元々アントシアニンは植物が紫外線や病気から身を守るために使われていた成分だが、人間が摂取すると強い抗酸化作用が期待できるといわれている。
3. 赤玉ねぎの基本的な下ごしらえのやり方

赤玉ねぎは正しく切ることで本来の甘みや香りを楽しめるようになる。赤玉ねぎを美味しく食べるためにも、以下に紹介している手順に従って下ごしらえを行うようにしよう。
- 玉ねぎの繊維に対して垂直に切る
- トレイなどに広げて10~15分程度放置する
- 水の入ったボウルに2~3分程度つける
- キッチンペーパーでしっかりと水気を取る
4. 赤玉ねぎの美味しい食べ方

赤玉ねぎは甘みとみずみずしさが美味しいので、生のままサラダなどにして食べるのがおすすめだ。ただし、サラダ以外にも炒め物・揚げ物・酢漬けなどにしても美味しいし、彩りを活かして料理のトッピングにするのもよい。さまざまある中から赤玉ねぎを美味しく食べる方法をいくつか紹介する。
食べ方1.赤玉ねぎのサラダ
定番は赤玉ねぎのサラダである。火を通していなくても、十分な甘みと程よい辛味を味わうことができる。和風テイストにするなら大葉やのりと合わせても美味しいし、おつまみ感覚で食べるなら蒸した鶏ささみ・鶏むね肉などと合わせてもよい。お好きな食材と一緒に合わせて作ってみよう。
食べ方2.赤玉ねぎのピクルス(酢漬け)
長期保存もできる赤玉ねぎのピクルス(酢漬け)もおすすめだ。鮮やかなピンク色に染まるので、付け合わせとして出すのもよい。作り方は下ごしらえをした赤玉ねぎを酢・砂糖・塩で作った調味料の中に漬け込むだけ。冷蔵庫に一晩置いておけば、しっかりと味の付いたピクルスが完成する。
食べ方3.赤玉ねぎのカレー
生で食べるほうが美味しい赤玉ねぎだが、カレーなどに使うことも可能だ。赤玉ねぎを使うと、普通の玉ねぎを使ったときよりもうま味を感じることもある。また、作り方は普段通りのカレーと同じでよい。「赤玉ねぎのピクルス」を付け合わせにすれば、赤玉ねぎを思う存分楽しめるだろう。
5. 赤玉ねぎを美味しく保存する方法

赤玉ねぎは通常の玉ねぎよりも水分量が多いため、カビが発生しやすいので注意が必要だ。また、感想にも弱いため夏の暑い時期を除けば常温保存がおすすめだ。通気性があるネット袋に入れて、風通しがよく涼しい冷暗所に保存しよう。正しく保存できていれば1か月以上使用することができる。
また、夏の暑い時期や使いかけのものは冷蔵保存するほうがよい。冷蔵保存する際は乾燥に気をつける必要があるため、丸のままなら新聞紙に包み、使いかけならラップに包むようにしよう。なお、赤玉ねぎからの水分で湿気がこもりやすいため、ビニール袋などには入れないことがポイントだ。
また、夏の暑い時期や使いかけのものは冷蔵保存するほうがよい。冷蔵保存する際は乾燥に気をつける必要があるため、丸のままなら新聞紙に包み、使いかけならラップに包むようにしよう。なお、赤玉ねぎからの水分で湿気がこもりやすいため、ビニール袋などには入れないことがポイントだ。
結論
赤玉ねぎは加熱せずにそのまま食べるのが一番のおすすめだが、炒め物・揚げ物・酢漬けなどにしても美味しく食べることができる。栄養価こそ普通の玉ねぎには劣るものの、甘みとみずみずしさは赤玉ねぎならではの特徴なので上手に使い分けるようにしよう。
【参考文献】
- ※1:東京都中央卸売市場「市場統計情報(月報・年報) 」
http://www.shijou-tokei.metro.tokyo.jp/ - ※2:EC「EU Plant variety database」
https://ec.europa.eu/food/plant/plant_propagation_material/plant_variety_catalogues_databases/search//public/index.cfm?event=SearchVariety&ctl_type=H&species_id=1&variety_name=&listed_in=0&show_current=on&show_deleted= - ※3:神奈川県農業総合研究所研究報告「赤タマネギにおける色素発現メカニズムに関する研究」
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010672878.pdf - ※4:文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06156_7 - ※5:厚生労働省e-ヘルスネット「抗酸化物質」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-009.html
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