目次
1. 世界のスイカの産地NO.1はどこ?

国際連合食糧農業機関(FAO)のデータベースによれば、世界のスイカの生産量ランキングトップ10は以下のようになっている(※1)。なお、カッコ内は2019年の1年間の生産量である。
世界のスイカの産地ランキングトップ10
- 1位:中国(6,086万トン)
- 2位:トルコ(387万トン)
- 3位:インド(250万トン)
- 4位:ブラジル(228万トン)
- 5位:アルジェリア(221万トン)
- 6位:イラン(193万トン)
- 7位:ロシア(179万トン)
- 8位:アメリカ合衆国(168万トン)
- 9位:エジプト(158万トン)
- 10位:メキシコ(135トン)
世界のスイカの産地に関する解説
同データによれば、2019年に世界中で作られたスイカは約1億41万トンである。世界的に見ると中国をはじめとするアジア圏で多く作られており、全体の約80%がアジア圏で作られているそうだ。ちなみに同データによると、日本のスイカ生産量は第31位となっている。
2. 日本のスイカの産地NO.1はどこ?

農林水産省の「令和元年産野菜生産出荷統計」によれば、都道府県別のスイカの出荷量ランキングは以下のとおりになっている(※2)。なお、カッコ内は2019年の1年間の出荷量である。
日本のスイカの産地ランキングトップ10
- 1位:熊本県(4万9,100トン)
- 2位:千葉県(3万5,900トン)
- 3位:山形県(2万7,200トン)
- 4位:鳥取県(1万6,400トン)
- 5位:長野県(1万5,900トン)
- 6位:新潟県(1万5,000トン)
- 7位:茨城県(1万3,400トン)
- 8位:愛知県(1万2,100トン)
- 9位:石川県(1万2,000トン)
- 10位:北海道(1万900トン)
日本のスイカの産地に関する解説
同統計によれば、2019年の全国の出荷量は27万9,100トンとなっている。シェア率で見ると熊本県が約17.6%、千葉県が約12.9%、山形県が約9.7%、鳥取県が約5.9%、長野県が約5.7%となった。スイカは日本全国で作られているが、上位5つで全体の50%以上のシャアを占めている。
3. スイカの名産地トップ5の特徴を紹介!

日本で特にスイカの出荷量が多いのは、熊本県・千葉県・山形県・鳥取県・長野県の5つである。そこで、これらスイカの名産地トップ5のそれぞれの特徴について詳しく紹介する。なお、スイカは作物であり出荷量は毎年変化するため、年によっては順位が入れ替わることもある。
1位:熊本県(シェア率:17.6%)
- 収穫量:52,100t、出荷量:49,100t
熊本県は日本一のスイカの名産地であるが、中でも有名なのが「植木町」である。植木町は良質な水と土壌に恵まれており、日中と夜間の温度差が大きいため非常に甘くて美味しいスイカが出来上がる。植木町を含むJA鹿本管内のスイカは「夢大地かもと」というブランド名で販売されている(※3)。
2位:千葉県(シェア率:12.9%)
- 収穫量:38,800t、出荷量:35,900t
千葉県の産地には八街市・山武市・芝山町などがあるが、特に「富里市」のスイカが有名。富里市で作られている富里すいかは、1936年に皇室に献上されたこともある。糖度が高くて甘みが強いことと、肉質が硬めでシャリシャリとした食感を楽しめることが特徴となっている(※4)。
3位:山形県(シェア率:9.7%)
- 収穫量:31,100t、出荷量:27,200t
山形県の主な産地には村山市・大石田町・長井市などがあるが、特に「尾花沢市」のスイカが特産品になっている。この地域のスイカは「尾花沢すいか」として知られており、8~8.5kg程度の大玉であることが特徴。また、鮮やかな赤い色の果肉とジューシーな食感が美味しく人気がある(※5)。
4位:鳥取県(シェア率:5.9%)
- 収穫量:17,900t、出荷量:16,400t
鳥取県は夏場の日照時間が長いため、スイカが育ちやすい地域となっている。そのため、甘みが強いスイカが採れるそうだ。鳥取県内では特に大栄町が産地として知られており、ここで採れるスイカは「大栄すいか(ブランド名:大栄西瓜)」という名前で全国的に有名である(※6)。
5位:長野県(シェア率:5.7%)
- 収穫量:17,300t、出荷量:15,900t
長野県の主な産地は中信地区(長野県西部)であり、特に松本市波田下原が産地として知られている。波田下原のスイカは「波田のすいか」「下原スイカ」といった名前で販売されており、長野県の日中と夜間の温度差を活かした甘みが強いスイカとして人気を博している(※7)。
4. 番外編!高田三九三作詞の『すいかの名産地』とは?

楽曲『すいかの名産地』は、アメリカ民謡の訳詞でも知られている高田三九三氏が作詞した童謡である。原曲はアメリカ民謡の『ゆかいな牧場(マクドナルドじいさんの牧場)』であり、テンポのよいメロディと「イーアイ・イーアイ・オー(E-I-E-I-O)」というフレーズが特徴的となっている。高田氏が訳した本曲では「イーアイ・イーアイ・オー」の部分が「すいかの名産地」に変わっている。
5. スイカの産地に関するよくある質問

ここまでスイカの名産地について解説してきた。しかし中には「スイカの原産地はどこか」「日本ではいつから栽培されているのか」などが気になる人もいるだろう。そこで最後に、スイカの産地に関するよくある質問・疑問に回答する。
Q1.スイカの原産地はどこなのか?
スイカの原産地は諸説あるが、現在では南アフリカ原産の植物であると考えられている。また、エジプトの壁画などにスイカの種を食べている様子が描かれていたり、遺跡の中からスイカの種が発見されたりしているため、紀元前から食べられていたとされている。その後、ギリシャやインド、中国などに広がっていたという(※8)。
Q2.日本ではいつからスイカが作られている?
日本にスイカが渡来した時期は明らかになっていないものの、南北朝時代の臨済宗の僧である義堂周信の『空華集』にスイカの詩があるため、14世紀ごろまでには食べられていたのではないかと考えられている。また、江戸時代の頃には品種改良なども進んでおり、さまざまな種類のスイカが食べられていたという(※8)。鹿児島県の「徳光スイカ」は江戸時代から作られているそうだ(※9)。
結論
世界のスイカの名産地は中国であり、日本のスイカの名産地は熊本県であった。また、日本のスイカの名産地に注目すると、熊本県のほか千葉県・山形県・鳥取県・長野県などでもスイカが栽培されている。地域ごとに特徴が異なるため、産地を知るとともに地域ごとのスイカを楽しむようにしよう。
【参考文献】
- ※1:国際連合食糧農業機関「Watermelons」
http://www.fao.org/faostat/en/#data/QC/visualize - ※2:農林水産省「作物統計」
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/sakumotu/index.html - ※3:農畜産業振興機構「「夢大地かもと」―熊本県山鹿市、植木町(すいか)―」
https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/santi/0506/santi1.html - ※4:千葉県庁「すいか|旬鮮図鑑」
https://www.pref.chiba.lg.jp/ryuhan/pbmgm/zukan/yasai/suika.html - ※5:おいしい山形推進機構「生産量は全国第三位 甘くておいしい「すいか」」
http://www.yamagata.nmai.org/crops/umaimono/vegetables/watermelon.html - ※6:鳥取県商工労働部兼農林水産部市場開拓局「スイカ」
https://www.pref.tottori.lg.jp/178200.htm - ※7:JA全農長野「スイカ」
https://www.nn.zennoh.or.jp/products/fruits/more/watermelon/post-48.php - ※8:スイカ倶楽部「スイカの歴史」
https://suika-club.com/knowledge/history/ - ※9:指宿市考古博物館「徳光スイカ」
https://www.city.ibusuki.lg.jp/marugoto/spot/%E5%BE%B3%E5%85%89%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%82%AB/
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