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紅茶【ただにしき】の特徴を解説!明治維新抜きには語れない?

投稿者:ライター 井澤佐知子(いざわさちこ)

監修者:管理栄養士 小林里穂(こばやしりほ)

2019年9月13日

「ただにしき」とは、明治維新後の茶業の発展に多大な役割を果たした重要人物である多田元吉の名字が冠された紅茶である。1970年代中頃まで日本国内でも生産が盛んであったただにしきは、現在は「幻の」という形容詞がつけられる希少な紅茶となってしまった。販売するに足る量が栽培されているのは、静岡県裾野市にある不二聖心女子学院が所有する農園のみである。ただにしきについて、詳細をみてみよう。

1. 文明開化の象徴ともいえる茶ただにしき

紅茶「ただにしき」の存在は、明治維新を抜きには語れない。徳川幕府瓦解後、明治政府に抜擢されて日本人として初めてインドのダージリンの地にたどり着いたのが、多田元吉である。彼が持ち帰った紅茶の種が、ただにしきの由来となっている。和紅茶としてふたたび脚光を浴びているただにしきとは、どのような経緯で生まれたのであろうか。

■生糸と並ぶ日本の産業「茶業」

明治維新前は神奈川奉行所に勤めていたという多田元吉は、明治時代には勧業寮に配属されていた。当時、政府は緑茶を生糸と並ぶ日本の輸出品とすべく、栽培と生産に力を入れていたという。しかし、緑茶の質が悪化したことによりこの戦略は失敗、明治政府は西洋人が好む紅茶の生産に乗り出す決心をする。そして、多田元吉を中国とインドに派遣したのは1875年。多田は当時40代半ばの働き盛りであり、熱病や赤痢に苦しみながらも中国からアッサム、ダージリンに到達し、紅茶の種子を日本に持ち帰るのである。

■静岡の茶業試験場で誕生

多田が持ち帰った紅茶の種子から実生選抜および改良が行われ、静岡の茶業試験場でただにしきが誕生した。多田は、日本帰国後休む間もなく茶業の普及にまい進、紅茶伝習所を設立している。多田が育てた後進の中には、「やぶきた」の生みの親である杉山彦三郎もいる。当時、日本に滞在していた英国人も、日本の土壌は紅茶の生産に適していると伝えるほど、日本では紅茶の生産が近代化、普及していくのである。

2. 奇跡的に生き残った茶ただにしき

1970年代に紅茶の輸入が自由化されたのち、ただにしきは日本各地から姿を消してしまう。奇跡的に、その存在が認められたのは静岡県の裾野にある学校が有する農園であった。現在も、この農園でその栽培が続けられている。年間生産量400㎏という希少価値のあるただにしき、いったいどのような味がするのであろうか。

■明治初期から農園を所有する女子高

裾野市にある不二聖心女子学院は、静岡県における名門校である。この学校が明治の初期から所有している農園には、さまざまな紅茶が栽培されている。ただにしきは、不二農園が茶業試験場から直接もらい受けたものとして伝えられている。栽培面積は、5,000㎡弱。希少性が高い和紅茶である。1970年代中頃までは日本各地で生産されていたというただにしきは、奇跡的にこの農園にその痕跡を残したことになる。

■和紅茶のさきがけとなったただにしきの味わい

文明開化のシンボルともいえるただにしきは、昨今話題の和紅茶の先駆をなす品種のひとつだ。その味わいは、甘みと渋味がしっかりとしているのが特徴だ。重厚感ある味ながら、和菓子・洋菓子いずれとも相性がよい。富士山のふもとで、大自然の恩恵を受けて生産される滋味というべきかもしれない。苦難を経て茶業を近代化に導いた先人たちの思いも込められているにちがいない。

3. ブランド化が進む茶ただにしき

紆余曲折を経て現在にいたる茶業。
江戸幕府崩壊後、徳川慶喜に従って静岡に移住した多田元吉はこの地で没した。彼がまいた茶の種は、静岡県が茶の一大生産地となるという実を結ぶ。多田元吉は、紅茶だけではなく質のよい緑茶の数々の器機も発案し、一時は低迷していた茶業を再興させた功労者の1人なのである。ただにしきが残る裾野市では、この希少な和紅茶のブランド化を推進している。緑茶の消費が下降している近年、紅茶生産に再び注目が集まる。ただにしきは、その中でも今後の増産が期待される品種である。

結論

和紅茶の流行によって再び脚光を浴びる「ただにしき」。明治初頭、武士を捨て茶業のためにすべてをささげた多田元吉にゆかりの深い紅茶である。その味わいは奥が深く、重厚感のある甘みと渋味が特徴とされている。歴史的にも貴重な存在であるただにしき、先達たちの思いとともに味わいたいものである。
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