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赤味噌なのに甘い、徳島の【御前みそ】とは?歴史や特徴を解説

赤味噌なのに甘い、徳島の【御前みそ】とは?歴史や特徴を解説

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:管理栄養士 藤江美輪子(ふじえみわこ)

鉛筆アイコン 2021年5月13日

古くから日本伝統の食品として大切にされてきた味噌は、現在も日本人の食生活には欠かせない存在だ。流通が発達したことで、地域限定で食べられていた味噌が全国展開し、新たな魅力を発信し続けている。ここでは徳島で造られている「御膳(おぜん)みそ」の魅力に迫る。

  

1. 御膳みその産地と歴史

地域ごとに造られている特色ある味噌を「郷土味噌」と呼ぶのだが、それぞれの名前には地方名が付けられることが多い。たとえば長野県で造られている味噌は「信州みそ」、秋田県で造られている味噌は「秋田みそ」といったような形で、どこで造られている味噌なのか分かりやすい。しかし必ずしも地方名が付けられているわけではなく、歴史的背景が名前の由来になる場合もある。御膳みそは後者の由来をもつ味噌で、御膳とはそのまま食事を出す際に使われるお膳を指している。

阿波藩主のお膳に並んだことが御前みその由来

御膳みそは徳島県で造られている味噌だ。かつて阿波と呼ばれていた徳島県で有名なものといえば阿波踊りや藍染めが挙げられるため、味噌の印象は薄いかもしれない。しかし御膳みそは非常に高品質な味噌として地元の人たちには愛されていた味噌だ。その品質の高さから、天正年間に当時の阿波藩主、蜂須賀公に供されたほどだ。蜂須賀公のお膳に並んだ味噌ということで御膳みそという名前が付いたとされる。

徳島県には御前みその他に「ねさしみそ」もある

ちなみに、徳島県にはもう1つ郷土味噌があるのだが、こちらも蜂須賀公が大きく関わっている。その郷土味噌とは「ねさしみそ」だ。ねさし味噌は大豆のみで造られる豆味噌なのだが、豆味噌を徳島県に持ち込んだのは蜂須賀公だといわれているのだ。蜂須賀公は豆味噌が有名な尾張(現在の愛知県)の出身だったため豆味噌造りを奨励しており、その結果ねさしみそが誕生した。

2. 御膳みその特徴

味噌は原料の違いで3種類に大別される。どれも大豆が主原料なのは変わらないが、大豆のみで造られる豆味噌以外は糀を添加する。米糀を添加して造る味噌は米味噌、麦糀を添加して造る味噌は麦味噌に分けられる。米味噌の生産量がもっとも多く、御膳みそも米味噌に分類される。米味噌と一口にいっても、使用する米糀の量や塩分量の違いによって味わいは大きく異なる。米糀の量で分類すると、使用量が多い順に甘味噌、甘口味噌、辛口味噌となる。

御前みそは甘口味噌だが甘口と辛口両方の特徴をもつ

御膳みそは甘口味噌に分類されるのだが、甘味噌と辛口味噌の両方の特徴を持っている。使用する米糀の量は大豆と同量~約1.5倍と甘口味噌に近い量を使っているのだが、塩分量は11~13%と辛口味噌に近い。また、御膳みそは熟成させているため色が赤い。長期間の熟成は、辛口味噌で行われることが多い。米糀の使用量が少ない辛口味噌は長期間熟成させて大豆の旨みを引き出す必要があるからだ。一方、米糀の使用量が多い甘味噌は熟成期間が短いため、白味噌のように淡い色となる。御膳みそは米糀の使用量が多い味噌なのだが、熟成を行うことでより赤くなり、旨みの強い味噌となっている。

3. 御膳みそのおすすめの食べ方

日本で多く流通している米味噌だが、辛口味噌と甘味噌の特徴を併せ持つ甘口味噌は種類が少ないため、なかなか食べる機会がないだろう。そのため、最初はシンプルに味噌汁にして楽しむのもおすすめだ。出汁に味噌を溶くだけのシンプルな味付けだからこそ、味噌の香りと味わいが引き立つ。御膳みそは赤色の味噌であるため味噌汁の色は濃い色になり、一見塩辛そうに見えるが、米糀による甘みがそのイメージを払拭する。

御前みそは肉や魚の漬け焼きにおすすめ

味噌汁以外で御膳みそを使う場合は、肉や魚の漬け焼きがおすすめだ。焦げ目のついた味噌が香ばしさを強調するため、見ためだけで食欲をそそる。味わいは西京味噌などの白味噌に近いため、西京焼きを食べているように感じるだろう。
また、御膳みそは熟成によってより旨みが強くなっているため、甘くも力強い味わいを楽しめる。そのため、素材の味の主張が強くてもバランスよく仕上がる。鯖など独特な臭みのある魚も、味噌を使うことで臭みが消えるため、魚の美味しさを味わいやすくしてくれる。いろいろな魚や肉の部位で御膳みその漬け焼きを試してみて、その相性のよさを実感してほしい。漬け焼きを作るときは味噌を漬けた状態で冷蔵庫にしまっておくと中まで味がしみ込み、より御膳みその味わいをしっかりと感じられる。

結論

阿波藩主、蜂須賀公のお膳に並んだことからその名が付いた御膳みそ。米糀の使用量は甘味噌に近く、塩分量は辛口味噌に近いという特徴をもつ甘口味噌で、米糀による甘みと熟成による旨みのバランスが非常によい。赤色の味噌であるため、肉や魚の漬け焼きにすると味噌の色が香ばしさを演出し、食欲をそそる。
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  • 公開日:

    2019年12月30日

  • 更新日:

    2021年5月13日

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