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【管理栄養士監修】ビーツの栄養価と栄養素|栄養図鑑

【管理栄養士監修】ビーツの栄養価と栄養素|栄養図鑑

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:管理栄養士 中山沙折(なかやまさおり)

鉛筆アイコン 2021年12月 4日

真っ赤な見た目が特徴の野菜「ビーツ」。スープやサラダなどに使われることが多いビーツだが、実は「奇跡の野菜」や「食べる血液」という呼び名が付くほど栄養価が高いことで知られている。今回はそんなスゴイ異名を持つビーツの栄養価・栄養素について、文部科学省の「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」を参考にしながら解説する(※1)。

  

1. ビーツってどんな野菜?

ビーツの栄養
ビーツ(ビート)とは、ヒユ科フダンソウ属の植物のこと。その根っこは赤カブのような見た目をしているが、実は砂糖の原料になる「テンサイ(甜菜)」などの仲間である。そのため、ほのかな甘みを感じる野菜となっている。ヨーロッパなどで古くから食用とされており、ウクライナやロシアの伝統料理である「ボルシチ」などにも使われている。また、サラダ・炒め物・スープなどにも使える。
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2. ビーツの基本的な栄養価

ビーツの栄養
「日本食品標準成分表」には、生のビーツとゆでたビーツの栄養価がそれぞれ収録されている。そこでまずは、基本となる生のビーツの100gあたりの栄養価を確認しておこう。

生ビーツ(生)100gあたりの栄養価

・エネルギー:38kcal
・たんぱく質:1.6g
・脂質:0.1g
・炭水化物:9.3g
・脂肪酸
 ・飽和脂肪酸:0.02g
 ・一価不飽和脂肪酸:0.02g
 ・多価不飽和脂肪酸:0.04g
・ビタミン
 ・βカロテン:0μg
 ・ビタミンD:0μg
 ・ビタミンE:0.1mg
 ・ビタミンK:0μg
 ・ビタミンB1:0.05mg
 ・ビタミンB2:0.05mg
 ・ナイアシン:0.3mg
 ・ビタミンB6:0.07mg
 ・ビタミンB12:0μg
 ・葉酸:110μg
 ・パントテン酸:0.31mg
 ・ビオチン:-
 ・ビタミンC:5mg
・ミネラル
 ・ナトリウム:30mg
 ・カリウム:460mg
 ・カルシウム:12mg
 ・マグネシウム:18mg
 ・リン:23mg
 ・鉄:0.4mg
 ・亜鉛:0.3mg
 ・銅:0.09mg
 ・マンガン:0.15mg
 ・ヨウ素:-
 ・セレン:-
 ・クロム:-
 ・モリブデン:-
・食物繊維:2.7g
 (・水溶性食物繊維:0.7g)
 (・不溶性食物繊維:2.0g)

3. ビーツの特徴的な栄養素や成分

ビーツの栄養
ビーツは「奇跡の野菜」や「食べる血液」と呼ばれている栄養価が優れた食品だ。その理由は、ビタミン類・カリウム類・食物繊維などを多く含むだけでなく、ベタレインという抗酸化物質やベタインなどのアミノ酸を含んでいることが関係している。そんなビーツの栄養面の特徴を確認しておこう。

その1.ビタミン類

ビーツは葉酸・ナイアシン・パントテン酸などのビタミンB群を多く含んでいる。また、少量ではあるがビタミンEとビタミンCも含んでいる。特に多いのが葉酸で、100gあたり110μgの含有量となっている。葉酸には赤血球の形成を助けたり、核酸(DNAやRNA)やたんぱく質の再合成を促進したりする働きがある。成人男性(18~64歳)の葉酸の1日あたりの推奨量は240μgである(※2)。

その2.ミネラル類

ビーツは、カルシウム・マグネシウム・鉄・亜鉛などのミネラル類をバランスよく含んでいる。特にカリウムを多く含んでおり、含有量は100gあたり460mgとなっている。カリウムにはナトリウムを排出して、細胞の浸透圧を調整したり、水分を保持したりする役割などがある。日本人はナトリウム(食塩)の摂取量が多いため、ナトリウムの排出を促すカリウムの摂取が重要とされている(※2)。

その3.食物繊維

ビーツの食物繊維量は、100gあたり2.7gとなっている。食物繊維には水に溶ける「水溶性食物繊維」と水に溶けない「不溶性食物繊維」の2つがある。このうちビーツに多いのは、不溶性食物繊維と呼ばれるほうだ。不溶性食物繊維には、腸内では消化・吸収されず、ぜん動運動を活発にして便通を改善する働きなどがある(※3)。現代人は食物繊維が不足気味なのでビーツで補うようにしよう。

その4.ベタレイン

ビーツが「奇跡の野菜」と呼ばれている理由は、ベタレインという抗酸化物質を多く含んでいるからだ。ベタレインは赤色色素である「ベタシアニン類」と黄色色素である「ベタキサンチン類」の2つに大別される。いずれも強い抗酸化作用を有しており、体内の活性酸素を取り除く働きがあるとされている。なお、赤紫色の見た目をしているが「アントシアニン」は全く含んでいない(※4)。

その5.ベタイン

ビーツには、ベタイン(トリメチルグリシン)と呼ばれるアミノ酸の一種も含まれている。さまざまな食品に含まれているが、植物ではビーツのようなヒユ科の植物に多いという。なお、ベタインには肝臓からの脂肪排出を促したり、脂肪流入を防いだりする働きなどがあると期待されている。現在は有効性に関して明らかになっていないが、機能性成分として非常に注目を集めている(※5)。

4. ゆでるとビーツの栄養素は流出する?

ビーツの栄養
「日本食品標準成分表」には生ビーツのほかに、ゆでたビーツの栄養価も収録されている。生の場合とゆでた場合の栄養価には大きな差はあまり見られない。しかし、以下のようにビタミンB群やカリウムなどの水溶性の栄養素が流出してしまうので注意が必要だ。

生ビーツとゆでたビーツの水溶性栄養素の比較

・ビーツ(生):カリウム460mg、ナイアシン0.3mg、ビタミンC5mg
・ビーツ(ゆで):カリウム420mg、ナイアシン0.2mg、ビタミンC3mg

下ゆで方法を工夫してビーツの栄養素を残そう

ビーツの栄養素をなるべく多く残したいのであれば、蒸したり、電子レンジで下茹でしたりするなどの工夫が必要だ。また、スープにビーツを使う場合は汁ごと飲むことで流出した栄養素を摂取できる。食べ方も工夫して、ビーツの栄養素を残さず摂るようにしよう。

5. ビーツの栄養面に関するよくある質問

ビーツの栄養
ここまでビーツの栄養素や栄養価を詳しく解説してきた。しかし、まだ「ビーツの糖質量がどれくらいなのか」「1日にどれくらい食べていいか」などが気になる人もいるだろう。そこで最後にビーツの栄養面に関するよくある質問・疑問に回答する。

Q1.ビーツの糖質量はどれくらいか?

「日本食品標準成分表」には、糖質量は収録されていない。しかし、ビーツの100gあたりの炭水化物量は9.3gであり、食物繊維量は2.7gであることから、糖質量は約6.6gと計算できる。テンサイ(甜菜)の仲間であることから、ほかの野菜と比べると糖質量はやや多めとなっている。

Q2.1日にどれくらい食べていいか?

ビーツの1日あたりの上限量は、明確には設けられていない。しかし、ビーツはβカロテンの含有量が少ない淡色野菜に分類されるため、厚生労働省が策定した「健康日本21」に従って「1日に230g以上食べる」のが望ましい(※6)。淡色野菜には玉ねぎや白菜、キャベツなどがあるので、これらの野菜と合わせて1日に230g以上を食べるようにしよう。

結論

ビーツは、ビタミン類・ミネラル類・食物繊維などを多く含んでいるだけでなく、抗酸化物質である「ベタレイン」やアミノ酸の一種である「ベタイン」などの機能性成分も含んでいる。そのため、奇跡の野菜や食べる血液などと呼ばれている。シャキシャキとした食感も美味しいので、サラダや漬物などにして食べるのもおすすめだ。
【参考文献】
※1:文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
※2:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年)」
※3:厚生労働省e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」
※4:園学研「ビート(Beta vulgaris L.)におけるベタレイン含量の品種間,生育ステージ間および部位間による差異」
※5:農畜産業振興機構「てん菜を原料とした機能性素材」
※6:厚生労働省「健康日本21」
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  • 公開日:

    2020年1月13日

  • 更新日:

    2021年12月 4日

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