目次
1. いりことにぼしに違いはある?

いりことにぼしに違いはあるのだろうか。
いりことにぼしは広義では同じ意味
まいわし・かたくちいわし・うるめいわし・まあじのいずれかの小魚を煮て干したものを関東ではにぼし、関西ではいりこと呼んでいる。ということは「にぼし=いりこ」で同じものなのだ。ほかに、トビウオ・いか・タイ・かます・あさり・貝柱のような魚介類でも、煮て干したものは広い意味でにぼし(いりこ)だという。
いりこの代表は「かたくちいわし」
先述したようにいりこに加工される魚介類はさまざまな種類があるが、中でも最も生産量と流通量が多いのは、かたくちいわしだ。にぼしと呼んだりいりこと呼ばれたりしているが、ほかにも、へしこ・たつこ・たれ・だしじゃっこ・いんなご・蒸し田作りなど、さまざまな呼び名があるらしい。
「かたくちいわし」のいりこの種類
大きさにより4~5cmの小羽(こば)や、5~6cmの小中羽(こちゅうば)、6~7cmの中小羽(ちゅうこば)、7~9cmの中羽(ちゅうば)、9~10cmの中荒(ちゅうあら)、10cm以上の大羽(おおば)と細かく分類することもある。
2. 料理の基本!いりこだしの取り方

いりこだしを取る方法に、水出しと煮出しがある。水に浸け込み水出しすると、あっさりとしただしが取れ、火にかけて煮出すと濃厚なだしが取れる。いりこだしの取り方について順を追って説明しよう。
いりこの下処理
いりこは、苦みの元となる頭と内臓を手で取り除いておく。しかし、時間がない場合や苦みが気にならない場合は、そのままだしを取っても構わない。大きないりこを使用する場合は、2つに割るとだしが出やすくなる。
水出しの方法
ボウルや鍋に水といりこを入れ、5~10時間放置して水出しする。夜に準備しておけば、翌朝すぐに美味しい味噌汁を作ることができておすすめだ。暑い時期は腐敗を避けるため、冷蔵庫に入れて水出しするようにしよう。作っただしは目の細かいザルや布巾、キッチンペーパーで濾していりこを取り除く。
煮出す方法
まずいりこの頭と内臓を取り除き、中骨に沿い半身に割く。次に水にいりこを浸して鍋を火にかける。沸騰したら火を弱めてアクを取り除きながら5分くらい煮出す。あとは、こし器や紙タオルでこしたら完成だ。失敗しないポイントは沸騰させ続けないこと。いりこを水に浸けておく時間は長ければ長いほどよく、前日の晩から浸けておいても構わない。
粉末のいりこだしを使う方法
いりこの粉末でだしを取る方法には、水出しと煮出しの2通りがある。水出しは水に数時間浸ける方法で、溶けるまでに時間がかかる。しかし、手間がかからないので簡単にできる。煮出しは2~3分お湯で煮る方法で、煮る手間はかかるが短時間で調理が終わる。
3. いりこだしの保存方法

では、いりこだしの保存方法を紹介しよう。いりこだしが余ったときや作り置きしておきたいとき、どのように保存すればよいのだろうか。
冷蔵保存する場合
冷蔵で保存する場合、長期保存には向かないが、使いたいときすぐに使えて便利だ。いりこだしを作り過ぎたときはもちろん、前日に作っておき冷蔵庫で保存しておくと、朝の味噌汁作りが楽になるはず。作ったいりこだしは、冷ましてから保存容器に入れて冷蔵庫で冷やせばOK。保存期間は2日を目安に使いきってもらいたい。
冷凍保存する場合
冷凍保存する場合、冷蔵保存より長期保存が可能なので作り置きに向いている。保存方法は冷蔵保存と同じく冷ましてから、保存容器やフリーザーバッグに入れ冷凍庫へ。保存期間の目安は3週間ほどだが、冷凍室内のにおいを吸い時間の経過とともに風味が変わりやすいので、できれば早めに使いきるようにしてもらいたい。
4. いりこはおやつやおかずにも活用しよう

近年、核家族化が進む中でいりこの上手な使い方が引き継がれておらず、一世帯あたりの年間購入数量は、この50年間で3割になったといわれている。しかし、いりこは味噌汁のみならず、炊き込みごはん・煮物・うどんのような和食からピザのような洋食まで、あらゆる料理に使えるので、だし以外の活用方法も覚えておこう。
いりこのカリカリおやつ
カリカリのいりこを手軽に食べるなら、子どものおやつや給食などで出ることの多いアーモンドフィッシュがピッタリだ。カルシウム・鉄分・ビタミン類を多く含み、栄養豊富なのが特徴である。栄養バランスのよいものを手でつまんで、手軽に食べられるのでおすすめだ。
いりこの佃煮
いりこは、醤油やはちみつなどで甘辛い味を付けて佃煮にすることもできる。いりこの佃煮はごはんにのせて食べられるので手軽に食事にプラスでき、なかなかメニューに取り入れられない小魚を簡単に食べられるのでおすすめだ。いりこをはじめとした小魚には鉄分などの栄養が多く含まれ、ごまやくるみをプラスすれば栄養価もよりアップするだろう。
いりこ味噌
いりこを炒って粉末にして味噌と和えたもので、山口県の周防大島の郷土料理としても知られている。発酵食品の味噌と組み合わせることにより、さらに栄養が増す。アツアツのごはんにかけたり、おにぎりの具として食べたりするのがおすすめだ。
5. いりこの栄養やカロリー

これまでに紹介したように、いりこには身体にいい栄養素がたくさん含まれている。ここでは、代表的な栄養とカロリーについて紹介していこう。
いりこの栄養と効果
いりこに含まれる栄養成分にはたんぱく質・ナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウム・鉄・リンなどがある。それぞれの100gあたりの含有量と効果は以下の通り。(※1)
たんぱく質(64.5g)...筋肉や臓器、毛髪など身体の大部分を占める栄養素である。ホルモンや酵素などの体調節機能成分でもあり、適量摂取すると免疫力を高めてくれる。(※2)
ナトリウム(1700mg)...人体の浸透圧を調整する働きがある。(※3)
カリウム(1200mg)...人体の浸透圧を調整しむくみなどを改善する働きがある。(※4)
カルシウム(2200mg)...歯や骨を形成し、出血の予防や筋肉の興奮を抑える働きがある。(※5)
マグネシウム(230mg)...骨の形成やさまざまな代謝を助ける働きがある。(※6)
鉄(18mg)...血液中のヘモグロビンに存在し、酸素供給などを助ける働きがある。(※7)
リン(1500mg)...歯や骨を形成し、細胞のpHバランスなどを保つ働きがある。(※8)
たんぱく質(64.5g)...筋肉や臓器、毛髪など身体の大部分を占める栄養素である。ホルモンや酵素などの体調節機能成分でもあり、適量摂取すると免疫力を高めてくれる。(※2)
ナトリウム(1700mg)...人体の浸透圧を調整する働きがある。(※3)
カリウム(1200mg)...人体の浸透圧を調整しむくみなどを改善する働きがある。(※4)
カルシウム(2200mg)...歯や骨を形成し、出血の予防や筋肉の興奮を抑える働きがある。(※5)
マグネシウム(230mg)...骨の形成やさまざまな代謝を助ける働きがある。(※6)
鉄(18mg)...血液中のヘモグロビンに存在し、酸素供給などを助ける働きがある。(※7)
リン(1500mg)...歯や骨を形成し、細胞のpHバランスなどを保つ働きがある。(※8)
いりこのカロリー
いりこには、ちりめん・かえり・ひらごにぼし・うるめにぼし・あじにぼしなど、さまざまな種類のいりこがある。代表してかたくちいわしのいりこのカロリーを調べてみると、100gあたりで298kcalだった。
6. いりこの食べ過ぎは危険?

いりこの身体によい栄養素を紹介してきたが、いりこの食べ過ぎによる弊害があることをご存じだろうか。いりこは1日にどのくらいが適量なのか、また食べ過ぎによる弊害を紹介していこう。
いりこは塩分やプリン体が多い
いりこには身体によい栄養素だけでなく、プリン体が多く含まれているので食べ過ぎると痛風の原因になる。痛風の原因である尿酸はプリン体が元になってるので、食べ過ぎには注意してほしい。また塩分も多いため、高血圧などにも気を付けたい。
1日のいりこの適量とは
いりこの摂取量の目安は、健康な人であれば1日30g以下が適量である。だしとして食べる場合は大量に摂取することはほぼないので、あまり気にする必要はないだろう。ただし、プリン体や塩分は多いので注意してほしい。
結論
いりことにぼしは名前は違うものの、実際には同じものを指すことが分かった。また、いりこは身体によいと思われがちだが、食べ過ぎると身体に悪影響を及ぼす可能性があるので注意してほしい。適量であれば豊富なカルシウムやたんぱく質が摂取できるので、だしだけでなくおやつやごはんのおともとして食卓に取り入れてみてはいかがだろうか。
(参考文献)
※1参照:文部科学省 食品成分表「魚介類/<魚類>/(いわし類)/かたくちいわし/煮干し」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=10_10045_7
※2参照:厚生労働省 e-ヘルスネット「たんぱく質」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-044.html
※3参照:厚生労働省 e-ヘルスネット「ナトリウム」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-024.html
※4参照:厚生労働省 e-ヘルスネット「カリウム」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html
※5参照:厚生労働省 e-ヘルスネット「カルシウム」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-042.html
※6参照:厚生労働省 e-ヘルスネット「マグネシウム」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-034.html
※7参照:厚生労働省 e-ヘルスネット「鉄」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-022.html
※8参照:厚生労働省 e-ヘルスネット「リン」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-038.html
※1参照:文部科学省 食品成分表「魚介類/<魚類>/(いわし類)/かたくちいわし/煮干し」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=10_10045_7
※2参照:厚生労働省 e-ヘルスネット「たんぱく質」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-044.html
※3参照:厚生労働省 e-ヘルスネット「ナトリウム」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-024.html
※4参照:厚生労働省 e-ヘルスネット「カリウム」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html
※5参照:厚生労働省 e-ヘルスネット「カルシウム」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-042.html
※6参照:厚生労働省 e-ヘルスネット「マグネシウム」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-034.html
※7参照:厚生労働省 e-ヘルスネット「鉄」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-022.html
※8参照:厚生労働省 e-ヘルスネット「リン」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-038.html
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