1. ニッキとは?
ニッキとは、クスノキ科ニッケイ属の一種である「ニッケイ(肉桂)」の根皮から作られる香辛料である。日本では特に和菓子の「八つ橋」に使われていることで有名だが、その他にニッキ水・ニッキ飴・ニッキ餅などにも使われている。また、食用としてだけでなく、古くから生薬として使われてきた。なお、シナモンに比べると流通量が少ないため、一般的には高価な香辛料として扱われている。
2. ニッキとシナモンの違いとは?
ニッキとシナモンは特徴や用途が似ていることが多いため、しばしば同じ食材として扱われることもある。しかし、ニッキとシナモンの原料となる品種は異なり、「使われる部分」や「味や香り」なども違っている。そこで以下にニッキとシナモンの違いを分かりやすくまとめておく。
違い1.品種が異なる
ニッキとシナモンの原料は、いずれもクスノキ科ニッケイ属の植物である。しかし、ニッキには国産の「ニッケイ」という品種が使われており、シナモンにはスリランカ原産の「セイロンニッケイ」という品種が使われている。セイロンニッケイは現在もスリランカで多く栽培されているため(※1)、「シナモンはスリランカ産のニッケイから作られる香辛料・スパイス」と紹介されることが多い。
違い2.原材料が異なる
ニッキとシナモンは似た植物から作られているが、使われている部分は異なる。シナモンはセイロンニッケイの樹皮を原料にすることが多い。一方、ニッキに使われるニッケイは、樹皮の香りが弱いため根皮が使われている。根皮を加工できるくらいまで育てるのには長い年月を要するため、大量生産が難しいとされている。そのため、ニッキはシナモンに比べて高価な香辛料として扱われている。
違い3.香りや味が異なる
ニッキとシナモンの主な香気成分はいずれも「シンナムアルデヒド」であるが、それぞれ異なる香気成分を含んでいる。ニッキはクマリンやカンファーなどを含んでおり(※2)、シナモンはオイゲノールやベンズアルデヒドなどを含んでいる。そのため、それぞれ違った香りを楽しむことができる。また、ニッキは辛味が強く、シナモンは甘みが強くなっており、それぞれの味わいも異なっている。
3. ニッキの基本的な栄養価
文部科学省の「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」では、ニッキは「シナモン(粉)」として栄養価は紹介されている(※3)。そこでシナモン100gあたりの栄養価を確認しておこう。
シナモン100gあたりの栄養価
- エネルギー:364kcal
- たんぱく質:3.6g
- 脂質:3.5g
- 炭水化物:79.6g
- 脂肪酸
・飽和脂肪酸:0.96g
・一価不飽和脂肪酸:0.7g
・多価不飽和脂肪酸:0.16g - ビタミン
・βカロテン:0μg
・ビタミンD:0μg
・ビタミンE:0mg
・ビタミンK:0μg
・ビタミンB1:0.08mg
・ビタミンB2:0.14mg
・ナイアシン:1.3mg
・ビタミンB6:0mg
・ビタミンB12:0μg
・葉酸:0μg
・パントテン酸:0mg
・ビオチン:1.4μg
・ビタミンC:0mg - ミネラル
・ナトリウム:23mg
・カリウム:550mg
・カルシウム:1200mg
・マグネシウム:87mg
・リン:50mg
・鉄:7.1mg
・亜鉛:0.9mg
・銅:0.49mg
・マンガン:41.00mg
・ヨウ素:6μg
・セレン:3μg
・クロム:14μg
・モリブデン:3μg - 食物繊維:0g
(・水溶性食物繊維:0g)
(・不溶性食物繊維:0g)
4. ニッキとシナモンは使い分ける必要がある?
ニッキとシナモンは異なる食材ではあるが、基本的には代用可能となっている。そのため、こだわりがなければニッキの代わりにシナモンを使っても問題ない。また、前述のとおりニッキは流通量が少なく、シナモンのほうが入手しやすい。市販のシナモンには「シナモンスティック」や「シナモンパウダー」などがあるので、目的に合わせてこれらの食品を使い分けるとよいだろう。
結論
ニッケイの根皮から作られる「ニッキ」は、古くから八つ橋・ニッキ水・ニッキ餅・ニッキ飴などに使われている。また、近縁種であるセイロンニッケイから作られる「シナモン」は、シナモンロールをはじめさまざまな料理に使われている。ニッキの流通量は多くないため、普段の食事に使うならシナモンで代用するとよいだろう。
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