1. 梅は用途によって使い分ける

梅は日本で広く栽培されている果樹である。採れた梅の実は生で食されることはほとんどなく、梅干しや梅酒、梅ジャムなどに加工される。梅を利用したさまざまな加工食品が販売されるなか、健康ブームと相まって、梅の実を調達して自宅で梅干し作りなどを楽しむ人が増えている。
その年の梅を楽しむ風物詩
その年に収穫した梅の実を使って梅干しなどを作ることを梅仕事と言う。梅仕事はまず梅を調達するところから始まるが、何を作りたいかによって、梅の実の熟度を選んで購入する必要がある。熟していない梅の実は青梅と呼ばれ、色が青く実が硬い。熟度が高くなるにつれて黄色味を帯び始め、完熟梅になると黄色く柔らかい実へと変化する。
完熟梅と青梅を使い分けよう
一般に梅干しには完熟梅が適している。熟しきっていない実を使った場合、できあがりは食感が硬めとなる。青梅は梅酒やピクルス、砂糖漬けや味噌漬けなどに向いている。梅ジャムは完熟梅を使うと美味しくできる。
2. 熟していない梅は追熟する

どの梅を買えばよいのか迷う場合は、とりあえず青梅を買っておいて、自宅で追熟させる方法もある。追熟とは後熟とも呼ばれ、熟す前に果実を収穫しておき、後で熟すように処理することである。ちなみに木に果実を残したまま成熟させることを樹熟と言う。
追熟は風通しの良い日陰で行おう
梅の実の追熟方法について説明しよう。梅の実をザルなどに並べ、風通しがよい日陰の場所に置いておく。日光に当てると傷みやすくなるので、室内の方がよいだろう。梅の実の熟度によるが、だいたい1~3日で追熟できる。梅の実の状態をよく確かめながら日数を調節し、実が熟しすぎないように気をつけよう。
梅の実は段ボールや袋に入ったままでも自然に追熟するが、実が重なっていると傷む原因となるので、間隔を開けて並べて追熟させよう。
梅の実は段ボールや袋に入ったままでも自然に追熟するが、実が重なっていると傷む原因となるので、間隔を開けて並べて追熟させよう。
3. 梅の下ごしらえ

梅をよい具合に追熟させたら、いよいよ下ごしらえに入る。まずは流水で梅の実を洗って汚れを落とそう。この時、梅の実を傷つけないように丁寧に洗うこと。
熟度に合わせてアク抜きをしよう
梅の実が綺麗になったら、熟度により必要に応じてアク抜きをする。硬い青梅はアク抜きをする必要があり、完熟梅の場合はアク抜きしなくてよい。アク抜きの方法は、梅の実を水の中に2~4時間ほど浸けるだけである。熟し始めているものはアク抜きの時間を短めにしよう。また完熟梅をアク抜きしてしまうと、実が傷む原因となるので注意しよう。
水分をしっかりふき取り、ヘタをとる
アクを抜いた梅の実は水を切ってからザルの上で自然乾燥させる。梅の実を仕込む前には必ず、キッチンペーパーでヘタなどくぼんだ部分に残る水分をしっかり拭き取るようにしよう。水分が残ったまま仕込むとカビが生えやすくなるのだ。水分を拭き取った後は、竹串を使って梅の実のヘタを取り除こう。ヘタを残したまま漬けると苦味が出やすくなるので、取り除いておく方がよい。
結論
収穫した梅の実を使って梅干しや梅酒などを作ることを「梅仕事」と言う。まずは梅の調達から始まるが、用途によって梅の熟度を選ぶ。熟した梅が必要な場合は、青梅を追熟させることもできる。梅は仕込む前に流水でよく洗い、必要に応じでアク抜きをする。よく乾燥させてヘタを取り除いたら下ごしらえ終了、いよいよ仕込み作業にはいろう。