1. ラルドはダビデ像に使われた純白の大理石の桶で熟成!?

ルネサンス時代の天才芸術家ミケランジェロ。名高いダビデ像などに用いたカッラーラ・ビアンコと呼ばれる純白の大理石の産地が、トスカーナ地方にある町・カッラーラだ。その奥地、コロンナータ村の特産品が、なんと大理石の中で豚脂を熟成させるという「ラルド・コロンナータ」。これは、豚の脂に塩とローズマリーなどのハーブや胡椒などをすり込み、大理石の桶に入れ、最低半年ほど熟成させもの。もともとは採石作業に従事する石工たちの冬場の労働食だったという。
2. 舌のうえで溶ける雪のように白いラルド

「ラルド」はいわゆるラードで、真っ白な生ハムといえばいいのだろうか。ひとたび口に入れると、立ちのぼるハーブやスパイスの香とともにゆるゆると溶け、上品な旨味が広がっていく。トンカツの脂身、霜降肉のさし、バターと、とかく脂は人にとって禁断ともいえるほどの官能的な美食快楽をもたらすもの。中でもこのラルドは、一度食べたら忘れられない極上の味。ワインのアテに薄切りにしてそのままでも、少しあぶって、ちょっと溶けたアツアツをパンと共に...というのもオツである。
結論
ラルドとの初対面はイタリアワインの店のカウンター。店主が物語ってくれた、大理石の桶で熟成されるというストーリーもユニークなラルド。寝かせる石桶の効果で、脂身のコレステロールが分解され、成分的にほぼ植物性に近くなるという話も、メタボ世代にとっては嬉しい限りだ。入手できた際は思う存分誘惑に身をゆだね、至福のひと時を過ごしてみたい。
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