1. 無精卵とは?

無精卵(未受精卵)とは産卵はされているが、受精はしていない卵のことである。要するに、メスのニワトリだけで生まれた卵のことである。日本で売られている卵のほとんどは「無精卵」であり、普段から当たり前のように食べられている。また、無精卵を生むニワトリは「白色レグホン」のような産卵鶏(採卵鶏)であり、継続的に無精卵を生めるように品種改良されていることが特徴だ(※1)。
無精卵はなぜ生まれるの?
オスのニワトリがいないのにメスから卵が産まれる理由は、受精の有無に関わらずメスのニワトリは卵子を卵として排出するからだ。そして、その卵が受精していれば「有精卵(受精卵)」であり、受精していなければ「無精卵(未受精卵)」なのである。要するにメスのニワトリが排卵をすれば、卵が産まれるのである。また、ニワトリの排卵は日周期なので、毎日のように排卵・産卵がある。
2. 無精卵と有精卵の違いは?

無精卵と有精卵の違いは卵が受精しているかどうかである。ただ、卵の受精の有無により栄養価・価格面・賞味期限・用途などに違いがあるのか気になる人もいるだろう。そこでそれぞれの違いについて確認しておこう。
違い1.栄養価や味はほぼ同じである
一般的に無精卵と有精卵の栄養価・味は変わらないとされている。これは受精の有無に関係なく、卵にはヒヨコが孵るために必要な栄養素が含まれているからだ。また、栄養価や味の違いは受精の有無ではなく、ニワトリのエサ・水・飼育環境などが強く影響しているからと考えられている。なお、卵には赤玉や白玉などの色味があるが、単に産卵系の品種の違いで栄養価の違いは見られないという。
違い2.値段は有精卵のほうが高い
日本で売られている卵の多くは無精卵であり、有精卵の流通量は少ない。そのため、希少価値のある有精卵は無精卵よりも高値で取引されている。また、有精卵が高値で取引されている理由には、飼育に手間がかかることも関係している。有精卵と表示するには「メスのニワトリ100羽に対してオスのニワトリ5羽を同居させる」「自然の環境で放し飼いする」の条件を満たす必要がある(※2)。
違い3.賞味期限に違いはほとんどない
一般的に無精卵のほうが有精卵よりも持ちがよいといわれている。しかし、卵の賞味期限に関するガイドラインである「鶏卵の日付等表示マニュアル-改訂版-」には具体的な違いは掲載されていない(※3)。いずれも生食でも安全に食べられるよう、基本的にはパック後2週間(14日)としていることが多い。卵を生食する場合はパッケージなどに記載されている賞味期限を守るようにしよう。
違い4.有精卵には食用以外の用途もある
無精卵は食用として使われることが基本だが、実は有精卵は食用以外にも使われている。それがインフルエンザワクチンの製造である(※4)。インフルエンザワクチンを作るためには生きた細胞が必要になり、その際に有精卵が使われているのだ。ワクチンの詳しい製造方法などは割愛するが、有精卵はインフルエンザウィルスを培養するのに向いており医療面でも役立っているのだ。
3. 無精卵と有精卵の見分け方

無精卵と有精卵の主な見分け方には「卵のパッケージなどを見る」「卵を割って確認する」「ライトを当てる」などいくつかある(※5)。それぞれのやり方や特徴などについて確認しておこう。
その1.売り場の表示を確認する
一番簡単なのが、スーパーの売り場やパッケージに書いてある表示を確認する方法だ。売り場にある卵は基本的には無精卵であり、有精卵の場合にはパッケージなどに「有精卵」と記載されている。ただし、パッケージに「有精卵」と記載されていても、有精卵は自然な交配で作るため中には受精していない無精卵が混じっていることもある。有精卵と書いてあっても100%ではないので注意しよう。
その2.卵を割って胚の大きさを見る
卵を割ったときに無精卵か有精卵かを確認することも可能だ。黄身の部分には成長するとヒヨコになる「胚」と呼ばれる3~4mm程度の白い点があり、これを見ることで判断できるのだ。まず、無精卵の場合は受精していないため胚がはっきりとは見えにくい。一方、有精卵の場合は受精しているため胚がくっきりと見える。また、時間が経つと大きくなり、箸でも掴めるようにもなる。
その3.ライトで照らして確認する
日数を要するが卵を割らずに無精卵か有精卵かを判断する方法の一つに「検卵」がある。検卵とは暗い部屋で10~14日程度温めた卵にライトを当てて、内部に血管などがあるかを確認するというものだ。血管などが見当たらなければ無精卵であり、血管などが見つかれば有精卵である。通常は養鶏場などで行われる方法で、有精卵かどうかを判断するために用いられている。
4. 人気のこだわり無精卵を紹介!

市販の卵の多くは「無精卵」であり、スーパーやコンビニエンスストアなどでも簡単に手に入れることが可能だ。しかし、中にはネットショップなどでしか手に入らない無精卵もある。そこでここではECモールなどで人気のこだわり無精卵をいくつか紹介しておこう。
おすすめ1.藤野屋「こだわり平飼いたまご」
「こだわり平飼いたまご」は、大分県にある養鶏業者・藤野屋が販売している無精卵である。こちらの卵は久住高原の「藤野屋久住農場」にて平飼い状態で育てているニワトリから取れたものであり、黄身がこんもり、白身がプルプルとしていることが特徴である。藤野屋のオンラインショップなどで購入が可能で、20個入り、40個入り、5kgサイズ、10kgサイズなどがある。
おすすめ2.オーストリッチファーム湯原「平飼い卵 コク旨濃厚」
「平飼い卵 コク旨濃厚」は、岡山県にあるオーストリッチファーム湯原が販売している無精卵である。旭川の上流にある湯原温泉郷で平飼いされているニワトリから取れたこだわり卵となっている。楽天市場などで購入可能で、6個入り、10個入り、30個入りなどがある。
おすすめ3.糸島ファームハウス「天上卵」
「天上卵」は、福岡県にある糸島ファームハウスUOVOが販売している卵である。こちらも平飼いで育てた鶏から取れた卵であり、弾力感があることが特徴となっている。有精卵と無精卵の両方を作っているが、オンラインショップでは無精卵の天上卵を購入することが可能だ。サイズには大玉と中玉があり、それぞれ20個入り、40個入り、80個入りが販売されている。
結論
メスのニワトリは受精の有無に関係なく排卵があれば卵を産む。そして、受精していなければ「無精卵」であり、受精していれば「有精卵」である。一般的なスーパーで売られている卵は「無精卵」ではあるが、栄養・味・価格・賞味期限・用途などで比べると無精卵と有精卵ではいくつか違いはあるので、必要に応じて使い分けてみるといいだろう。
【参考文献】
- ※農林水産省「有精卵と無精卵の違いを教えてください。」
https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1611/02.html - ※1:農林放送事業団「有精卵と無精卵はどう違う?」
https://www.agriworld.or.jp/agriworld1/tikusan/chikusan/lint061221.html - ※2:日本養鶏協会「鶏卵の表示に関する公正競争規約の説明」
http://www.jpa.or.jp/news/fairtrade/pdf/kiyaku02.pdf - ※3:鶏卵日付表示等改訂委員会「鶏卵の日付等表示マニュアル」
https://www.jz-tamago.co.jp/wp/wp-content/uploads/2020/03/E05_3_m_1.pdf - ※4:国立科学博物館「続報:新型インフルエンザ ― ワクチンの働きと免疫」
https://www.kahaku.go.jp/userguide/hotnews/theme.php?id=0001259544251941&p=4 - ※5:畜産改良センター岡崎牧場「ヒヨコになる卵とならない卵の違い」
http://www.nlbc.go.jp/okazaki/tamahiyoniwa/tamago/yuseiran-museiran.html
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