1. 島根県のすまし雑煮、その特徴

雑煮天国の島根県。特産品を使用した多種多様な雑煮の中で、岩のりと贅沢な出汁を使ったタイプがすまし雑煮と呼ばれている。その特徴をみてみよう。
出雲大社とも関係がある格式高き岩のり
すまし雑煮は、アゴやイリコ、ハゼなどの出汁を丁寧にとり、具は岩のりだけという非常にシンプルながら奥の深い雑煮である。
小豆雑煮、五色雑煮、鮎雑煮など、島根県には場所によってさまざまな雑煮が食文化として残る。岩のりをつかったすまし雑煮は、奥出雲を中心に食べられてきた歴史がある。具となる岩のりは十六島海苔(うっぷるいのり)と呼ばれ、その美味は古来朝廷や代々の将軍に献上されるほどであったという。また、8世紀に『出雲国風土記』にその美味が記されたほか、出雲大社の教えを布教していた御師(おし)たちが、この十六島海苔をもって各地を周っていたことも古文書に残っている。御師たちが全国の信者に配った岩のりには、「雑煮に入れれば、その年の邪気を払うことができる」と記されていた。つまり、縁起物としても尊ばれていたことがわかるのである。
小豆雑煮、五色雑煮、鮎雑煮など、島根県には場所によってさまざまな雑煮が食文化として残る。岩のりをつかったすまし雑煮は、奥出雲を中心に食べられてきた歴史がある。具となる岩のりは十六島海苔(うっぷるいのり)と呼ばれ、その美味は古来朝廷や代々の将軍に献上されるほどであったという。また、8世紀に『出雲国風土記』にその美味が記されたほか、出雲大社の教えを布教していた御師(おし)たちが、この十六島海苔をもって各地を周っていたことも古文書に残っている。御師たちが全国の信者に配った岩のりには、「雑煮に入れれば、その年の邪気を払うことができる」と記されていた。つまり、縁起物としても尊ばれていたことがわかるのである。
あっさりとした味わいが特徴のすまし雑煮
島根県の東部で食べられるすまし雑煮は、かつお出汁と岩のりだけで味が決まる。そのため、てらいのない品のよい味わいで知られている。西部では、干し鮎出汁を使ったり、具にこんにゃくなどを加えたりすることもある。いずれにしても、出汁の佳味をいかすことに変わりはない。
十六島海苔は近年ますます高級食材となり、これを使ったすまし雑煮も正月ならではの贅沢となっているのである。
十六島海苔は近年ますます高級食材となり、これを使ったすまし雑煮も正月ならではの贅沢となっているのである。
2. すまし雑煮、そのカロリーは

餅以外には、出汁と岩のりだけというシンプルなすまし雑煮。
カロリーは、丸餅を2個入れた1人分でおよそ150kcalである。ほとんどが、餅のカロリーといって過言ではないだろう。
また、すまし雑煮のポイントである十六島海苔は、通常の海苔よりもたんぱく質が多く、良質なミネラルを含んでいることでも知られている。
カロリーは、丸餅を2個入れた1人分でおよそ150kcalである。ほとんどが、餅のカロリーといって過言ではないだろう。
また、すまし雑煮のポイントである十六島海苔は、通常の海苔よりもたんぱく質が多く、良質なミネラルを含んでいることでも知られている。
3. すまし雑煮の食習

すまし雑煮は、ほかの雑煮と同じく正月に食べる行事食である。雑煮そのものはシンプルなだけに、数の子や煮しめ、刺身などの正月の料理とともに食べる風習がある。
かつては、すまし雑煮に白い餅を入れるのは正月3が日だけであった。4日以降は、よもぎが入ったてんこ餅をすまし雑煮に入れていたというが、これは若干風味が落ちる。現在は、白い餅もふんだんに食べることができる時代になり、てんこ餅を入れる風習はすたれている。
かつては、すまし雑煮に白い餅を入れるのは正月3が日だけであった。4日以降は、よもぎが入ったてんこ餅をすまし雑煮に入れていたというが、これは若干風味が落ちる。現在は、白い餅もふんだんに食べることができる時代になり、てんこ餅を入れる風習はすたれている。
4. すまし雑煮の作り方

島根県の特産である岩のりが手に入れば、すまし雑煮は日本全国どこでも簡単に作ることができる。必要な材料は、出汁、薄口しょうゆ、丸餅、かつおぶし、岩のり。これだけである。
シンプルなだけに、出汁をとる作業は丁寧に行うのが望ましい。
使用する丸餅は、焼いたり出汁で煮込んだりはせず、食べる前にほどよい柔らかさに茹でる。これに、出汁と醤油をあわせたすまし汁をかけると崩れずにほどよい食感で食べることができる。
岩のりとともに、かつおぶしをたっぷりかけるとさらに磯の香り高き佳味となる。
シンプルなだけに、出汁をとる作業は丁寧に行うのが望ましい。
使用する丸餅は、焼いたり出汁で煮込んだりはせず、食べる前にほどよい柔らかさに茹でる。これに、出汁と醤油をあわせたすまし汁をかけると崩れずにほどよい食感で食べることができる。
岩のりとともに、かつおぶしをたっぷりかけるとさらに磯の香り高き佳味となる。
5. すまし雑煮のアレンジ

島根県の郷土料理すまし雑煮は、高価な十六島海苔がポイントとなっている。しかし、この岩のりは極寒の12~2月しか獲れない希少品でもある。島根県でも、もみのりで代用する家庭もあるという。
そこで、島根県外でこの海苔の入手が難しい場合には、ほかの具を入れた雑煮にするのも手である。もちろん、すまし雑煮のもうひとつのポイントである出汁は、しっかりと美味しくとる必要がある。また、あっさりと仕上げるために、水菜や湯葉などの見ためも優しい和食の食材を使用すれば、すまし雑煮のスピリットは活かせるといえるだろう。あまりごたごたと多種の具材は加えないほうが、すまし雑煮らしい品格が保てるのである。
そこで、島根県外でこの海苔の入手が難しい場合には、ほかの具を入れた雑煮にするのも手である。もちろん、すまし雑煮のもうひとつのポイントである出汁は、しっかりと美味しくとる必要がある。また、あっさりと仕上げるために、水菜や湯葉などの見ためも優しい和食の食材を使用すれば、すまし雑煮のスピリットは活かせるといえるだろう。あまりごたごたと多種の具材は加えないほうが、すまし雑煮らしい品格が保てるのである。
結論
雑煮天国島根県に伝わるすまし雑煮は、非常にシンプルながら天平の昔から朝廷に献上されてきた岩のりを使用している。出汁と岩のりだけで、正月らしい風格のある雑煮ができあがるのである。具がたっぷりの雑煮ももちろん美味しいが、正月らしい神々しさ漂うすまし雑煮も、ぜひ家族で味わって食文化の深さを語り合いたいものである。
(写真出展)
農林水産省 うちの郷土料理 すまし雑煮
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/sumashizoni_shimane.html
農林水産省 うちの郷土料理 すまし雑煮
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