1. 押しずしの特徴、歴史や由来

すし飯や酢で〆た魚を重ねて押しながら寝かせた押しずしは、石川県の文化に基づいた料理である。重しをして押すことで、魚とすし飯の旨みが互いに引き出されなじみやすくなるというメリットがあるそうだ。
押しずしは石川県のおもてなし料理
石川県とくに加賀地区や能登地区では、昔からハレの日に地元産の魚などを使って料理を作りふるまう風習があった。そのおもてなし文化のひとつとして、各家庭で押しずしを作ってきており、押しずしを作るための木枠が嫁入り道具になるほどだった。現在も、お祭りやお祝いなどでは押しずしを食べる風習は引き継がれている。
押しずしの種類
押しずしにはいくつかの種類がある。有名なのが笹ずしや柿の葉ずしだ。笹や柿の葉で押しずしを包んだもので、大きなものもあれば1人前用の小さなタイプもある。家庭用にはおけらずしという簡単なものを作ることもあるようだ。
2. 押しずしの主な使用食材、カロリー、栄養

押しずしに使うのは、主に旬の魚と米、酢などの調味料。春に使う魚はタイ、アジ、イワシなど、秋にはサバやシイラを使う。また、彩りとしてきんかんや木の芽を使うことも多い。かつては魚の代用として油揚げや塩くじらを使う地域もあったという。
押しずしのカロリー
使用食材や量によってもカロリーは変わるが、「柿の葉すし本舗たなか」が公表しているデータによると、1個あたり70~100kcalが押しずしのカロリーといえそうだ。低いものは山菜69kcal、たい73kcal、えび76kcal、さけ79kcal。穴子が82kcal、さば85kcal、うなぎは95kcalと高くなっている。
押しずしの栄養
栄養素に関しては、すし飯を使うため炭水化物が最も多くなっている。押しずし1個あたりに含まれる炭水化物量は約15gと多く、たんぱく質は2~3g、脂質は0.1~2gほどと少ない。魚を使用しているものに関してはDHAやEPAなどの栄養素も期待できるが、1個あたりの含有量は少ない。
3. 押しずしの食習の機会や時季

基本的には、ハレの日に食べられる料理ということで、正月や冠婚葬祭、季節の祭りの時に押しずしが食卓にのぼる。各家庭で大量に作り近所にふるまう習慣は廃れてきているが、寿司屋や総菜屋、スーパーなどで販売されているものを購入し楽しむ人は多い。
加賀おしずし研究会
石川県の押しずし文化を守り広めたいと地元有志が研究会を設立。イベントなどでの押しずしの提供や、新レシピの開発に取り組み、押しずしを若い世代や観光客にも伝えるべく活動している。
4. 押しずしの作り方

昔ながらの基本の押しずしの作り方を紹介する。ここでは魚としょうが、レモン、桜えび、紺のりといった定番のものを使用する。
白米ともち米を合わせて昆布を入れて炊き、すし酢で酢飯を作り、冷ましておく。魚はおろして塩を打ち身をしめてから酢漬けにして、そぎ切りにする。しょうがは千切り、レモンはいちょう切りにし、紺のりは水にくぐらせ戻しておく。水で濡らしたすし枠に経木か笹の葉を敷き、レモンと魚を並べる。その上にすし飯を広げ、紺のりと桜えびとしょうがをのせる。さらに経木を敷き、を繰り返し、3段ほど作ったら重石で押して一晩寝かす。
5. 押しずしの基本の食べ方、アレンジした食べ方

一晩寝かした押しずしは、包丁で四角く切り分けて盛り付けるのが基本の食べ方。祝い事では九谷焼の大皿に盛り付けるのが定番だ。また一口サイズの笹ずしは、弁当にも向いている。出先で笹を剥がしながら頬張るのもよいかもしれない。
炙って食べるのもアリ?
押しずしは基本的になにもつけなくても美味しくいただけるが、好みでしょうゆをつけてもよい。また、表面を軽く炙るというアレンジ方法がある。とくに鱒の押しずしなどは炙ると違った食感を楽しむことができ、より美味しくいただける。
結論
石川県の押しずしは、おもてなし料理のひとつだった。郷土料理にも人々の心がこもっていることがわかる。押しずしは食べやすく見栄えもするため、パーティーメニューにもぴったりだ。子どもと一緒に作るのもおすすめの押しずしを自宅でも楽しんではいかがだろう。
(写真出展)
農林水産省 うちの郷土料理 押しずし
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/oshizushi_ishikawa.html
農林水産省 うちの郷土料理 押しずし
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/oshizushi_ishikawa.html
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