1. 発酵とは
発酵は、よく耳にする言葉である。たとえば、醤油や味噌、ワイン、ヨーグルト、納豆も発酵食品である。発酵は、古来より人々の暮らしを豊かにしてきた。というのも、発酵を上手に利用するとある食材が別物へと進化するのだ。多くの場合、メリットが増えていく。
発酵と微生物
発酵ときってもきれない関係にあるのが微生物。発酵とは、微生物が食品の成分をエサに成長する過程で、人間に有益な物質を発生させることともいえる。ほぼ同じ活動だが、人間に不利益を与えるものを腐敗と呼ぶ。じつは、発酵と腐敗は同じ意味で、人間にとっての有益、不利益で分類されているのだ。
発酵の源
発酵を起こす微生物や酵素は、おもに4タイプ。鰹節に代表されるカビ系、ヨーグルトに代表される細菌系、そしてパンやワインに代表される酵母系、アンチョビなどに代表される酵素系。単独での働きもあれば、複合して働くこともある。
2. ピザ生地と発酵
ピザ生地と発酵の関係を紐解いてみよう。ピザ生地はふんわりやわらかく、もっちりとした食感が持ち味。その美味しさを引き出すのが発酵である。ピザ生地は、小麦粉と塩、水のほかに天然酵母かイーストを使って作られる。発酵の鍵となるのが、天然酵母やイースト。これらは糖分をエサに成長し、その過程で炭酸ガスとアルコールを排出する。この炭酸ガスこそ、パンが膨らむ理由である。アルコールは、ピザ生地に美味しさと風味をもたらしてくれる。
天然酵母とドライイースト
天然酵母は、身の回りの酵母を瓶などで培養したもの。天然のものなので、独特の香りや風味があり、発酵のスピードもゆるやか。対してイーストは、人工的に作られた酵母を抽出したもの。働きのいいものだけをチョイスしているので、発酵のスピードもかなり早い。ただ、少し鼻につくにおいがする。
3. ピザ生地の正しい発酵
発酵の回数
パンは、一般的に発酵を2回行う。対して、ピザ生地のレシピは1回と書いてあることも。これは、ピザがパンのように膨らんだ状態で食べるものではないことが関係しているが、イタリアの家庭では2回発酵させることも多い。
ベンチタイムを有効に
長い発酵時間を2回設ける必要はないが、ベンチタイムといって、生地が落ち着くまで休ませる時間を組み込むとぐっと美味しさが増す。20分ほどこねたあとに15分のベンチタイムをおき、その後、20〜23℃くらいの部屋で6時間ほど発酵させるのが理想。もし、時間がない場合は、40℃ぐらいの湯せんにかけるといい。元の生地の2倍の大きさになったら、発酵は完了。粉をまぶした指で生地の中央をくぼませ、すぐに穴が塞がらなければ、成功だ。塞がるようであれば、もう少し発酵時間をのばす。
発酵時間の誤差
前述の通り、発酵は微生物の成長によってもたらされるが、微生物には動きが活発になる温度が存在する。それが20〜23℃。これは発酵のスピードに大きく関係するが、プロでない限り、ピザ生地を一定の温度に保ち続けるのは、なかなか難しいもの。ただ、ピザ生地の場合、万が一やや発酵が進み過ぎてしまっても、焦る必要はない。ピザの場合においては、少々の過発酵は気にならないのだ。パン作り初心者もこれならトライできそうだ。
結論
発酵とはどういうことなのか、そのの仕組みが分かればピザ生地作りをするのに、ハードルはそう高くならない。ピザ生地は、パン生地同様、発酵により美味しさを増すものだ。上手に発酵させて、美味しいピザを楽しもうではないか。
この記事もcheck!