1. スジアオノリは身近な場所にある高級食材

スジアオノリはアオノリの仲間で、食べられる藻類だ。生息域は水が汽水である場所で、アオノリ属の中では少し特殊かもしれない。おおまかには、内湾や河口に生息していると考えればよい。実はスジアオノリはアオノリ属の中でも香りや味がよく、高級食材のひとつにも数えられているのだ。名前の由来は見ためで、筋状のアオノリが集まっていることに由来する。よく似た仲間にアオサがいるが、アオサは葉のような形をしており、似ているが違う種だ。また、香りはスジアオノリのほうが豊かだ。スジアオノリは主に西日本に生息しているといわれるが、中でも徳島県や高知県などが有名で、養殖も行われている。スジアオノリは見ためこそ単なる藻にしか見えないかもしれないが、美味しさから需要があり、生産体制も整えられているのだ。
2. スジアオノリの安定供給のため、養殖の研究が進められている

先述のように、スジアオノリは養殖でも生産されている。だが養殖といっても、大きく2つの方法がある。それぞれがどのような方法なのか、簡単に見ていこう。
- 水中での養殖
スジアオノリの従来の養殖の手法だ。あらかじめ網に受精したスジアオノリの胞子を付けたうえで、養殖場に投げ込む。すると時間とともに胞子が発芽しスジアオノリに成長する。そして、十分な大きさに育ったら収穫するという手法だ。メリットは、より天然に近い環境で育てられることや、技術の進歩により安定して運用できるようになったことだ。ただし海水に直接浸しているため、海水温の変化や水害などの影響を直接受けてしまう。したがって、環境の変化に弱いという弱点があるといえる。
- 陸上養殖
近年では、スジアオノリの陸上養殖が進められている。これは、スジアオノリを海で育てるのではなく、海水を引き入れた井戸を使って陸上の容器で養殖する手法だ。最大のメリットは、水温や水質を管理しやすいことだ。とくにろ過による水質の改善は大きく、きれいで安全な状態の水で育てられる。維持管理費は水中での養殖よりかかるおそれもあるが、収穫量の安定性でいえば陸上養殖のほうがよいだろう。
陸上養殖の発達により、スジアオノリをより安定して収穫できるようになる可能性がある。今後の研究にも期待したい。
3. スジアオノリには、身近な料理も含めた活用法が多くある!

スジアオノリは、料理などにどのように活かされているだろうか。例をいくつか見てみよう。
- 青のり粉として使う
アオサ類を粉末状にすると、青のり粉となる。お好み焼きなどに使うのでおなじみだろう。中でも、スジアオノリを使ったものは最高級とされる。もし使う機会があれば、普段の青のりとは違う香りの豊かさを愉しんでいただきたい。
- 和菓子の香り付けとして使う
スジアオノリの香りは、和菓子にも活かされる。たとえば、山口のだるま堂などで有名な青のり羊羹は、羊羹に青のりを練り込んだ緑系の色のお菓子だ。小豆の甘さと青のりの香りが組み合わさり、複雑な味わいを楽しめる。
- 料理に直接使う
スジアオノリを束ねて乾燥させたものが販売される場合もある。これはアオサなどと同様に、料理に加えて食べられるのだ。身近なところでは味噌汁に加える、あるいは卵焼きに巻き込む、煮物の具にするなど、手軽に使えて香りを大幅に豊かにできる。もし手に入れる機会があれば、ぜひいろいろな料理に使ってみてはどうだろうか。
結論
スジアオノリは河口などに生えており一見身近だが、実は香りの豊かさから高級食材とみなされている。水温や天候の影響を受けやすく、収穫量は安定しているとはいえない。養殖技術の研究により、安定して収穫できるよう努力が続けられている。和菓子の香り付けから身近な料理まで使い途は幅広いので、手に入ったら自分にできる範囲で活用し、味わってみるのがおすすめだ。
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