目次
1. ししとうとはどんな野菜?

独特の苦みがやみつきになるししとう。天ぷらや炒めものでよく使用するししとうは、そもそもどのような野菜なのであろうか。まずはししとうの概略について見ていこう。
ナス科トウガラシ属の野菜
日本大百科全書によれば、ししとうはシシトウガラシというのが正式名である。ししとうはとうがらしの1変種であり、栽培種として認識されている。そもそもとうがらしはナス科の1年草であるため、ししとうはナス科トウガラシ属の野菜と定義されている。細長く果肉部が薄いという特徴がある。
ししとうの主な栄養と効能
文部科学省の食品成分データベース(※1)を見ると、ししとう100gあたりに含まれる栄養で特筆すべきは、以下である。
- カリウム 340mg
- カロテン 530μg
- ビタミンC 57mg
カリウムは血圧を下げる働きがあるほか(※2)、ビタミンCは皮膚や血管などを健康に保つために重要な役割を果たす(※3)。また、カロテンは皮膚や粘膜の保護にメリットがある栄養素とされている(※3)。
2. 辛いししとうが生まれる理由は?

ししとうは、ピーマン同様に甘とうがらしに分類されている。そのため本来は、辛みがない野菜なのである。それではなぜ、突然辛いししとうにあたってしまうのか。ししとうに辛い個体が生まれる理由を説明する。
ししとうが辛くなる原因は「ストレス」
ししとうが突然変異で辛くなる理由は、意外なことにストレスである。ししとうはそもそも、青唐辛子から辛みを除去した改良種である。そのため、ある条件がそろうと本来の辛みがししとうに戻ってくるのだ。そのストレスとは、栽培過程において気温や水分などの環境がししとうの成長に負荷がかかった場合に起こる。これによって、ししとうの防衛反応が発動、辛みがのってしまうというシステムである。
辛いししとうはどのくらいの確率で生まれる?
それでは、ストレスを被って辛くなったししとうはどのくらいの割合で存在するのだろうか。俗に、ししとう10本のうち1本は辛みのあるものが混ざっているといわれている。とはいえ、これはあくまで俗説であり、実際にそのくらいの割合で生まれるのかは栽培条件によるというのが答えのようだ。
辛いししとうで腹痛や下痢を起こすことも
ししとうは唐辛子の一種でもあり、辛いししとうには辛み成分であるカプサイシンが多く含まれている。このカプサイシンを摂り過ぎてしまうと粘膜が傷付いて胃が荒れることにより腹痛や下痢の原因を引き起こしてしまうことがある。辛いししとうを多く摂取してしまうと、健康に害をもたらすこともあるので注意したい。
3. 辛いししとうかどうかの見分け方

ある程度の割合で存在する辛いししとう。それらを、形状などの特徴から食べる前に見極めることは可能なのだろうか。辛みのあるししとうはストレスを受けた影響で、ある特徴を呈する可能性はある。ビジュアルから辛いししとうを見つけ出す方法を紹介する。
形
辛いししとうについては、生産者もそれとわかるものは除去するという。形状から辛みを有している可能性があるししとうを見分けるには、まず形に注目する必要がある。曲がり具合が目立つもの、平均よりも小ぶりのものは辛い可能性が高くなる。つまり、ストレスなしに育ったししとうはまっすぐに伸びているため、これらは辛くないという理論なのである。
種の多さ
ししとうの内部にある種の多寡も、辛みを感知する指標となりうる。辛いししとうは、ストレスの影響で種の数が少ないことが多いためである。切れば一目瞭然の種の数であるが、指で触った感覚でも、内部に種が少ないことは感知できるのである。種が少なそうなししとうは避けるのが無難だろう。
辛いししとうが苦手な人は形で選ぼう
ししとうを購入する際には、パックに入っていることも多く種の多寡を知ることは難しい。そのため、辛みの少ないししとうを選ぶにはその形状がベースとなる。すっきりとまっすぐに伸びて、大きさも通常サイズのものを選ぶようにしよう。とはいえ、これで辛いししとうを100%回避できるわけではないことはよくよく覚えておく必要がある。
4. 辛いししとうを食べてしまったときの対処方法

ししとうが辛いときはどのような対処法があるのだろうか?気になる対処法を知っておけば、辛いししとうがあっても焦らず対処できる。その方法を見てみよう。
乳製品をとる
ししとうを食べていて、急に辛いししとうにあたったらビックリしてしまうだろう。そんな時は、乳製品を食べるのがおすすめだ。乳製品には辛みを抑える効果があるので、牛乳やアイスなどを食べて辛さを緩和してみるといいだろう。思わず水を飲んでしまう場合が多いが、辛さの原因であるカプサイシンは水に溶けにくいので即効性が期待できないことを覚えておこう。
調理前の時点で辛そうだと感じたときは?
ししとうを調理する前に、形などを見て辛そうな場合は事前に種やヘタの部分を取り除いて調理することで多少の辛さを防ぐことができる。調理前の場合は、辛みをぼかす油や酸を使った料理を作ってみるのもおすすめだ。
5. 辛いししとうが好きな人におすすめのレシピ3選

苦味が身上のししとうであるが、辛みを愛するがゆえに辛いししとうでも問題ないという人も多いだろう。そうした辛いししとうは、その特徴を活かして美味しく調理したいものである。辛いししとう好きのためのレシピのアイデアを、いくつか紹介する。
ししとうの下ごしらえ
ししとうは、切らずにそのまま調理に使用することが多い。内部の種を除去するためには、包丁の背で下部から上部に向かって押し出す方法のほか、つまようじを上部から差し込んでぐるぐると回転させながら取り出す方法もある。また、調理中にししとうが膨張する可能性もあるため、フォークなどで実の部分に穴をあけておくことをおすすめする。
ししとうの佃煮
辛いししとうは、甘辛の味付けをして佃煮にしてみるのもおすすめだ。辛いししとうで作ることで、ピリ辛のごはんのおともに最適な佃煮になる。ししとうは適当な大きさに切り、ごま油ににんにくとしょうがで香りを出し、ししとうを加えたら醤油や出汁で煮詰めていく。酒やみりんで好みの味付けをするとよいだろう。作り置きしておいて、冷蔵庫で保存したり小分けにして冷凍保存もできるので、辛いししとうの大量消費に作ってみてもらいたい。
ししとう(唐辛子)味噌
辛いししとうが大量にあるのなら、唐辛子味噌を作ってみるといいだろう。ししとうやにんにく、しょうがなどを炒めて味噌などで味付けをする。辛みをさらにアップさせたい場合は、鷹の爪などを加えてもよいだろう。作り方はシンプルで、ししとうやしょうがを味噌、醤油、みりん、砂糖で煮詰めていくだけである。料理のちょい足し調味料として活用することができるので、辛いししとうはそのまま辛みを活かした調味料に変身させてみよう。
ししとうと豚肉の炒めもの
辛いししとうと豚肉を炒めれば、白飯もすすむおかずとなる。ごま油と味噌を使って手早く炒め、アツアツのまま頬張ればビールのつまみにももってこいである。豆板醤を加えれば、さらに大人の味の一皿として楽しむことができる。
6. 辛くないししとうを栽培するには?

ししとうは、家庭菜園で栽培するにも比較的初心者向きとされている。辛みが少ない、本来のししとうを栽培するにはどんなコツが必要だろうか。ししとうにストレスを与えず、辛みのないししとうを育てるための工夫を紹介する。
まめに水やりと追肥をするなど「ストレス」を与えないことが重要
ししとうは、種まきならば3~4月、苗ならば5月に植え付ける。栽培において気を付けることは、水やりを怠らないことである。日当たりのよいところで育てるのが基本であるが、プランターの場合も朝晩の2回の水やりは基本である。また、1ヶ月に1回は肥料を与えることも美味しいししとうを栽培するための要素である。
7. 辛いししとうかどうかを上手に見分けて美味しくいただこう

ししとうの辛みは、栽培過程におけるストレスが原因で発生する。さまざまな条件によって、辛みのあるししとうが発生することは避けられない現象なのである。しかし、外観から辛みを有する可能性のあるししとうを判別することはある程度可能である。辛いししとうが苦手な場合には、通常とは異なるサイズや形状のししとうは避けるようにしよう。
結論
夏野菜のひとつとして愛されるししとう。炒めものや天ぷらなど、使い道は多い。またししとうに含まれる栄養も、盛夏には健康の一助となってくれるだろう。ししとうを購入するにあたり、辛みのあるタイプが存在するのは避けられない現象である。ししとうにかかるストレスによって発生する辛みは、形状である程度は避けられる。逆に、その辛みを愛する人は夏らしいスパイシーさをさまざまな料理で堪能してほしい。
(参考文献)
1.文部科学省「食品成分データベース(野菜類/ししとう/果実/生)」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06093_7
2.農林水産省「みんなの食育(野菜・果物をとろう!)」
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/minna_navi/topics/topics2_04.html
3.農林水産省「みんなの食育(ビタミンと食物繊維)」
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/minna_navi/topics/topics3_04.html
1.文部科学省「食品成分データベース(野菜類/ししとう/果実/生)」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06093_7
2.農林水産省「みんなの食育(野菜・果物をとろう!)」
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/minna_navi/topics/topics2_04.html
3.農林水産省「みんなの食育(ビタミンと食物繊維)」
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/minna_navi/topics/topics3_04.html
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