1. シャコはエビじゃない!特徴や違いを確認しよう

シャコは甲殻類という広義ではエビの仲間ではあるものの、種目が異なる。分類の仕方には複数の説があるが、一般的にシャコは口脚亜綱シャコ目、エビは真軟甲亜綱エビ上目十脚目に分類されている(※1)。エビとは異なるシャコの特徴について、具体的に見ていこう。
シャコは攻撃的な肉食動物!捕脚が特徴
シャコにはカマキリのはさみのような前脚があるのが、エビとの大きな違いだ。この独特な前脚は捕脚と呼ばれ、ほかの甲殻類や魚類などを捕食する。エビにも肉食性のものはいるが、シャコは捕脚で甲殻類の殻や貝殻を叩き割るなど、より攻撃的である。
シャコの旬は年2回
シャコは5~7月、11~12月に旬を迎える。産卵前の5~7月の雌のシャコはカツブシと呼ばれ、濃厚な卵も食べることができる。一方11~12月に獲れるものは産卵を終え、脱皮を繰り返し身がしまってくるため、身の甘さを堪能できる。エビは種類や産地によっても旬が異なるが、シャコと比べて通年入手しやすい。
カニとの違いは?
特徴的な捕脚はカニにも近いものを感じるが、カニはエビと同じエビ上目十脚目である。つまり、カニはエビの仲間で、シャコのみ別の種目ということになる。
2. シャコとエビの味や食べ方の違い

シャコはエビやカニと同じ甲殻類ではあるものの、種目が異なり特徴や生態も特有であることがわかった。では、味はどのように違うのだろうか。
シャコはあっさりとしていて柔らかい
エビと比べると、似たような風味が感じられるがあっさりとしているのがシャコの特徴である。また、エビはプリッとした食感が特徴だが、シャコは比較的柔らかい。
シャコは鮮度が命!
シャコは水揚げされてから鮮度が落ちるのが非常に早い。死後時間が経つと、身体が溶けて水っぽくなってしまうのだ。そのため新鮮なうちに調理する必要がある。そもそもエビのように生の状態で販売されることは珍しく、あらかじめ茹でられているものが多い。
調理法や食べ方は?
新鮮なシャコが手に入った場合は、活きた状態のまま茹でるのがおすすめの食べ方だ。鍋に湯を沸かし、湯に対し1~3%の塩を溶かしたら、シャコを入れる。そのあと再沸騰してから4分ほど、計7~10分ほど茹でたらOKだ。
シャコの粗熱が取れたら、殻をむいて食べる。エビと異なり殻が硬いため、キッチンバサミを使いながらむくとよい。わさび醤油につけて食べよう。
さまざまな料理にアレンジも
シャコは見た目にそぐわずクセのないあっさりとした味のため、茹でたものをさまざまな料理に使うことができる。寿司ネタにする食べ方は有名だが、ほかにも酢の物や炒め物、唐揚げや天ぷら、またパスタや炊き込みごはんの具材にしても美味しい。エビと同じような使い方ができると思ってよいだろう。
3. エビアレルギーの人はシャコも危険

シャコはエビとは異なる種目に属するが、エビアレルギーを持つ人は食べるべきではない。シャコにもエビと同様のアレルゲン(アレルギー誘発物質)が含まれるからである。
エビとシャコのアレルゲンは共通
エビアレルギーの原因となる主要なアレルゲンは、甲殻類全般に含まれるトロポミオシンという物質であることがわかっている(※2)。そのため、エビやカニにアレルギーがある人は、シャコを含む甲殻類全般でアレルギーを発症する可能性が高いのだ。
シャコは特定原材料に含まれないため注意が必要
エビとカニはアレルギーを起こす可能性がある特定原材料に指定されており、使用食品に関しては表示が義務付けられる、ところがシャコなどほかの甲殻類は対象品目から外されているため、食べても大丈夫と誤解されがちだ。うっかり食べれば、呼吸困難などのアナフィラキシーショックを起こす可能性もある。エビアレルギーのある人はシャコもNGと覚えておこう。
結論
シャコは種目の違いをはじめ、エビとは異なるさまざまな特徴を持つ。見た目は非常に個性的だが、味はマイルドで美味しいため、新鮮なシャコが手に入ったら速やかに調理しよう。意外と美味しく貴重な食材だが、エビを含む甲殻類アレルギーの人は食べられないため、取り扱う際には注意が必要だ。
(参考文献)
※1出典:富川光・鳥越兼治(広島大学大学院教育学研究科)「食卓で学ぶ甲殻類のからだのつくりーエビ・カニ・シャコ類の教材化に関する研究ー」
https://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/files/public/2/22762/20141217140131381442/AA11618725_56_17.pdf
※2出典:公益社団法人 日本食品科学工学会「甲殻類アレルゲン(柴原 裕亮)」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk/55/11/55_11_571/_article/-char/ja/#:~:text=%E7%94%B2%E6%AE%BB%E9%A1%9E%E3%81%AE%E4%B8%BB%E8%A6%81%E3%81%AA,%E5%AE%89%E5%AE%9A%E3%81%AA%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E8%B3%AA%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%EF%BC%8E
※1出典:富川光・鳥越兼治(広島大学大学院教育学研究科)「食卓で学ぶ甲殻類のからだのつくりーエビ・カニ・シャコ類の教材化に関する研究ー」
https://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/files/public/2/22762/20141217140131381442/AA11618725_56_17.pdf
※2出典:公益社団法人 日本食品科学工学会「甲殻類アレルゲン(柴原 裕亮)」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk/55/11/55_11_571/_article/-char/ja/#:~:text=%E7%94%B2%E6%AE%BB%E9%A1%9E%E3%81%AE%E4%B8%BB%E8%A6%81%E3%81%AA,%E5%AE%89%E5%AE%9A%E3%81%AA%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E8%B3%AA%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%EF%BC%8E
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