1. こごみに含まれる栄養:食物繊維
オシダ科のシダ植物であり全国の山地や湿地、陽地に自生する多年草のこごみ。そんなこごみにはどのような栄養素が含まれているのだろう。
こごみに含まれる不溶性食物繊維
こごみに多く含まれる栄養素のひとつが不溶性食物繊維だ。わらびやぜんまいなど、ほかの山菜の含有量と比べると、どのくらい多く含まれているのだろうか。こごみに含まれる不溶性食物繊維の量は100gあたり4.7gだ。わらびには2.8g、ぜんまいには3.1g含まれており、こごみは山菜の中でも不溶性食物繊維が豊富といえるだろう(※1、※2、※3)。
こごみに含まれる水溶性食物繊維
では水溶性食物繊維の量も、こごみのほうが多く含まれているのだろうか。こごみに含まれる水溶性食物繊維の量は100gあたり0.5gだ。わらびには0.8g、ぜんまいには0.7g含まれており、水溶性食物繊維の量はこごみのほうが少ないことが理解できるだろう(※1、※2、※3)。
2. こごみに含まれる栄養:ビタミン類やミネラルなど
次にこごみに含まれる栄養素である、ビタミン類やミネラルの含有量について紹介しよう。
こごみに含まれるビタミン類やミネラル
こごみに含まれるビタミンA(β-カロテン)の量は100gあたり1100μg(マイクログラム)だ。ビタミンB群は、B2が0.12mg、B6が0.03mg、ビタミンCが27mg、ビタミンEが2.1mg含まれている。ミネラルはカルシウムが26mg、マグネシウムが31mg、カリウムが350mgと多く含まれている(※1)。では、わらびやぜんまいと比較すると、それぞれの栄養素はこごみのほうが多く含まれているのだろうか。
こごみに含まれるビタミン類やミネラルをわらびと比較
わらびに含まれるビタミンA(β-カロテン)の量は100gあたり210μgだ。ビタミンB群は、B2が1.09mg、B6が0.05mg、ビタミンCが11mg、ビタミンEが1.8mg含まれている。ミネラルはカルシウムが12mg、マグネシウムが25mg、カリウムが370mgと多く含まれている。比較してみるとB6とカリウム以外は、わらびよりこごみのほうが多く含まれていることが理解できるだろう(※1、※2)。
こごみに含まれるビタミン類やミネラルをぜんまいと比較
次にぜんまいと比較してみよう。ぜんまいに含まれるビタミンA(β-カロテン)の量は100gあたり500μgだ。ビタミンB群は、B2が0.09mg、B6が0.05mg、ビタミンCが24mg、ビタミンEが0.7mg含まれている。ミネラルはカルシウムが10mg、マグネシウムが17mg、カリウムが340mgと多く含まれている。比較してみるとB6以外は、ぜんまいよりこごみのほうが多く含まれていることが理解できるだろう。こごみは同じ山菜の中でも、栄養を多く含んでいることがわかる(※1、※3)。
3. こごみの栄養を損なわない食べ方
先述したようにビタミンAのひとつであるβ-カロテンを100gあたり1100μg含むこごみ(※1)。β-カロテンの働きを解説すると、がんや老化を予防する抗酸化作用があり、必要に応じて体内でビタミンAに変換される。また鼻やのど、皮膚の粘膜を正常に保つ働きがあるので、免疫力を高めたり感染症を予防したりすることにも役立つ(※4)。
せっかくこごみを食べるなら栄養を損なわずに食べたいものだ。ではどのように調理すれば、こごみの栄養を損なわず味わえるのだろう。β-カロテンは調理方法や食材により吸収率が10%以下~60%と大きく異なる。油脂と一緒に食べると吸収がよいといわれており、効率よく摂取するためには油脂を使うこごみの天ぷらがおすすめだ(※5)。
結論
こごみに含まれる栄養素を同じ山菜の仲間である、わらびやぜんまいと比較して紹介した。すべてというわけではないが、こごみのほうが栄養素の量が多く含まれているものが多い。山菜を食べたいがより多くの栄養素を摂取したいときは、こごみを選んで食べるとよいだろう。
(参考文献)
※1出典:文部科学省「野菜類/こごみ/若芽、生」
※2出典:文部科学省「野菜類/わらび/生わらび、生」
※3出典:文部科学省「野菜類/ぜんまい/生ぜんまい/若芽、生」
※4出典:公益社団法人 益田市医師会立 益田医療センター医師会病院「人参のきんぴら」
※5出典:地方独立行政法人 福岡市立病院機構 該当ページ名:人参~にんじん~
この記事もCheck!