1. バベットステーキとは

バベットステーキとは、フランス南東部にあるリヨンの郷土料理である。リヨンはフランス第2の都市で、ユネスコの世界遺産に登録されている街でもあり、美食の街としても知られている。
リヨン市民はもちろんのこと、フランスの人々は、とにかくバベットステーキをこよなく愛し、バベットステーキ専門のチェーン店があるほど人気のようだ。
バベットとは、フランス語で「よだれかけ」のこと。これは、バベットステーキに使われる牛肉の部位が、赤ちゃんのよだれかけに似ていることから、そう名付けられたようだ。
ちなみにバベットステーキに使用される牛肉の部位は、牛肉のヒレ肉とくっついているバラ肉の一部で、1頭の牛からわずか2kg弱程度しかとれない、大変な希少部位である。
肉の解体方法は、それぞれの国で異なるため、フランスでバベットステーキに使用される牛肉の部位に該当する部位は、それぞれの国によって微妙に異なり、完全に一致するわけではないようだ。
2. バベットステーキに使用される部位について

前述のように、牛肉はそれぞれの国で解体方法が異なるため、フランスのバベットに該当する部位も微妙に異なってくる。
日本の解体方法では、バベットは、カイノミと呼ばれる部位に該当する。日本では、その形が、ちょうど二枚貝に似ていることからそう名付けられたようだ。バラ肉の中では、フィレと呼ばれる部位に近く、そのためバラ肉でありながら、フィレのような赤身と柔らかさを兼ね備えていて、赤身と脂身のバランスが絶妙で、大変に美味しい部位になる。
カイノミは、高級焼き肉店において、「極上カルビ」として提供される最高級部位になる。
ただ、日本人の料理人の中にもバベット=ハラミだと誤解している人がけして少なくないようだ。実際、日本の飲食店などで提供されるバベットステーキは、ハラミが使用されている場合もある模様。ハラミをバベットステーキ用として販売している精肉店もあるとのこと。
ちなみに、ハラミは、牛肉の横隔膜で、生肉ではなくホルモンに該当する部位になる。見た目は赤身の肉とそっくりで、適度に弾力のある柔らかさで、ほどよい脂身と濃い旨味で大変に美味な部位である。
3. いろいろな部位が使われるバベットステーキ

バベットは、アメリカやイギリスなど英語圏では、フラップミートと呼ばれる部位に該当するようだ。しかしイギリスでも、ハラミのことをバベットと表記して販売している店も多く、日本と同じように、ハラミをバベットだと信じて疑わない人は少なくないようだ。
また、日本でいう「サガリ」をバベットステーキとして販売している店もあるようだ。もちろん、完全に間違いというわけではないが、厳密にはサガリは、フランスではオングレと呼ばれる部位に該当するようだ。
さらに、日本で「イチボ」「ランプ」に相当する部位をバベットステーキ用の肉として、販売しているケースもある。
結論
バベットステーキとはいったいどのようなステーキかについてや、誤解と混乱を招きやすいバベットステーキに使用されている部位についてお伝えした。それぞれの国によって解体方法が異なるため、どの国においても、フランスのバベットと完全に一致する部位が存在しない。そのため、バベットに近い部位は、すべてバベットに該当するといっても、あながち間違いとはいえない状況のようだ。
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